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【レポート】

“人気女性サイト”は存在しない? W-SOHOが女性サイトの現状調査を発表

■URL
http://www.a-girl.co.jp/1025/release.htm (シンポジウムのリリース)

W-SOHO代表の伊藤淳子氏
 増える一方の女性サイトを前に、その存在意図を問いかける調査結果が登場した。女性ネットワーカーによる団体「W-SOHOリーダースリンク」(以下W-SOHO)がまとめたものだ。
 W-SOHOは、女性の起業家やWebマスターなどを中心に「女性リーダーならではの打ち明け話や情報交換をしよう」という趣旨で設立されたメーリングリスト。月間約1,000通のトラフィックがあり、活発な活動を続けている。ここで飛び出した「女性サイトは本当に利用されているのか?」という疑問をきっかけに、女性ユーザーと女性向けサイトに対してアンケートを敢行した。その結果が、10月25日にW-SOHO主催で開催されたシンポジウム「21世紀の女性市場戦略~見られるサイト、見られないサイト~」で発表された。

 調査は今年9月~10月に「第1回女性ポータルサイト利用調査」として、約800名の女性と約80の女性向けサイトから有効回答を得て集計したものだ。女性ユーザーにはWebサイトでのアンケートに回答してもらい、また女性サイトには直接アンケートを依頼している。
 まず回答者の年齢やインターネット歴、職業などの傾向を発表。年齢は30代が計50.4%、20代後半が20.2%で、女性サイトのメインターゲットとなる20代後半~30代が7割を占める。職業は会社員が24.4%、専業主婦が23.6%、次いで自営・自由業・SOHO、兼業主婦・パートタイマー…となる。
 インターネット利用歴(以下ネット歴)は、半年~1年未満が21.2%でもっとも多く、1年~2年未満の18.4%、半年未満の14.6%と続き、1999年から今年にかけてインターネットを始めた人が全体の半数を占める。その一方で5年以上のユーザーが9.7%に上っている。インターネット利用時間は1日3時間未満が全体の70.9%を占めるが、ネット歴が浅いユーザーは利用時間が短く、ネット歴が長いユーザーは利用時間も長い傾向があるという。また1日の受信メール数はネット歴に比例して増えていくが、送信メール件数は利用歴の長短にかかわらず1~5件という回答がもっとも多く、メールを受け取るが自分から送るのは少ないという傾向も見られる。

ディスカッションの模様。向かって左からスターツの新井氏、Womenjapan.comの金古氏、Cafeglobeの青木氏
 この基本データを踏まえ、女性サイト利用率や女性サイトに期待するコンテンツなどの集計を公開した。定期的に(週に1度以上)利用する女性サイトがあるか? という質問では、ネット歴半年未満のユーザーは39.4%が「ある」と答え、ネット歴に比例して利用率も上がり、5年以上のユーザーは81.9%が「ある」と答えている。反面、「ポータルサイトが必要か?」という問いには16.6%が「必要」と答えた以外は、「わからない・必要ない」という答えが圧倒的に多い。サイト主催者側は38.4%が自らを「ポータルサイト」だと名乗っているが、利用している側は女性サイトをポータルサイトだとは捉えていない状況にあると言える。
 またユーザーが女性サイトで欲しい情報として、1位に「旅行・温泉」が上がり、以下「グルメ・レストラン」「ショッピング」「SOHO・在宅勤務」「テーマパーク・アミューズメント施設」と続くが、サイト側が注力するコンテンツは「美容・ダイエット」が1位、以下「ショッピング」「妊娠・出産・育児」「出会い・恋愛・結婚」「SOHO・在宅勤務」となるなど、サイト側の狙いと女性の欲しい情報の差異も見受けられた。

 W-SOHO主催のエイガアル代表・伊藤淳子氏は、「コミュニティを名乗る女性サイトでも、ユーザーがコミュニティと認識していないところが多い。サイトの大小や資本力はユーザーにはほとんど関係がなく、作りっぱなしのサイトなのか、ユーザーにレスポンスを返しているのかでも差が出ているように感じられる。ただ、回答した女性の半数以上が認める女性サイトはなく、際だって人気を集めているサイトがない、まだキラーコンテンツが登場していない段階だと言える。また女性の年齢や職業・居住地より、ネットリテラシーの違いでの回答差が大きい点は注目に値する」と、女性サイトの現状を分析していた。アンケート結果はまだ集計途中で、具体的なサイト名などは出せない状態ということだった。

 調査結果の発表に加えて、女性サイトスタッフや金融機関代表などによるディスカッションなども開催された。ジャパンネット銀行の宮井 芳行社長や、「OZMALL」運営のスターツ・新井社長、Cafeglobeの青木陽子編集長などが登場し、各サイトの特色や女性にアピールする努力、サイト運営などについて討論した。

 今回の調査結果は集計を完了した後、W-SOHOのWebサイト上で一部公開されるほか、データベースの提供や書籍としての出版を予定しているという。

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■【2000年9月18日】急増する“女性向けポータルサイト”の現状

(2000/10/25)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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