|
■URL
インプレスの提供するストリーミング放送局「impressTV」が開局した。この放送局は、近い将来に起こりうるネットワークのブロードバンド化、次世代携帯電話やPDAなど新しい情報端末の登場を踏まえコンテンツを提供する。弊誌の兄弟メディア「INTERNET Watch PLUS」も11月21日23時30分から放送される。収録現場潜入レポートとあわせて、この番組の見どころや今後の企画を紹介しよう。
● impressTVとは、そしてINTERNET Watch PLUSとはimpressTV局長・萩原和彦氏、INTERNET Watch PLUSディレクター・布村珠美さんにお話をうかがった。
萩原局長IW編:そもそもimpressTVって?
萩原:一言でいえば、ブロードバンド時代の未来型インターネット放送局です(笑) 我々の目指すところは「映像ポータル」なんです。例えば、Jストリームと組んだストリーム配信や、オンライン決済・課金機能を埋め込んだコンテンツを提供します。こうして、視聴者やコンテンツパートナー(企業)に、impressTVという名のプラットフォームを開放していきたい。
IW編:具体的には?
萩原:ライブストリームとオンデマンドの2本立てです。ライブでは、TVのスイッチを入れると番組が見られるように、impressTVに接続すれば、即座に旬の情報を見られる、というユーザーの視聴形態を育てていきます。このライブは無料です。
IW編:それでは収益が得られないが?
萩原:そこでオンデマンドが登場します。ライブで流したものを、単純にオンデマンドに落として映像データベースにするのではなく、コンテンツごとにビジネスモデルの因子を埋め込んでね。例えば、プロモーションビデオを使った音楽のカウントダウン番組に連動したダウンロードサービスとかね。視聴者は、気に入った曲のボタンをクリックすればいい。 ライブで視聴形態をつけつつ、料金徴収形態はオンデマンドで行なう。もちろん、メディアとしての広告モデルもありですね。これが、impressTVです。
IW編:既存のメディア、例えば地上波との違いは?
萩原:両者の決定的な違いは、impressTVが付加機能を持っていることです。1つは、コンテンツごとに付加機能を持たせていること。今後は、視聴形態が間違いなく変化していきます。そこで、将来的には、次世代携帯電話(IMT2000)やPDAなどにも配信を行なう。さらに次のステップとして、コミュニティ機能、例えば一般視聴者から映像ソースを貰って、それをどんどん流していくつもりです。携帯電話などのカメラで現場から中継してもらって、24時間視聴者が作る番組とかね。
布村ディレクター布村:従来のTV番組制作と同じことをするのでは、断然、今のTVの方が良いに決まってます。それに、人海戦術で来られたら太刀打ちできません。だけど、真似をする必要はぜんぜんないわけで、むしろインプレスならインターネットだろって。じゃあ、そこで何ができるのかと問われれば、我々はできることをやるだけなんです。
萩原:最初は、IT・ME(Music & Entertainment)・FINENCEチャンネルを自社で、それにリクルートの「ケイコとマナブ」チャンネルの4チャンネルを配信します。これは、TV局を同時に4局立ち上げるのと同じ感覚ですよ。でも、impressTVのスタッフは現在13人だから、それなりのやり方を考えなきゃならない。
布村:だけど、身軽に動けるんです。ぱっと作ってぽっと出せる強みがある。それに、お金がないからといってヘッポコなものは作りません。
萩原:ITチャンネルはインプレス色だし、MEはリットーミュージック、FINANCEは「FINANCE Watch」のパイプを使うし。インプレスの事業は、雑誌で言うならば専門誌の深さ、こういう強みをテーマに深くてニッチなものを作っていきたい。
IW編:ところで、日本にはストリーミング市場が存在すると思うか?
萩原:これは存在する。これから衛星や携帯電話の技術が進歩してインフラがブロードバンドになれば、いつまでもメールとWebだけじゃ帯域が余っちゃうでしょ。白書によれば、すでにストリームを楽しんでいる人が5%、これからやってみたいと思う人が3%ということで、インターネット人口が3,000万人になれば240万人の市場になる。現在のCSの市場が200万人ちょっとだから、すぐに抜きますよ。リクルートがCSで月額500円課金している「ケイコとマナブ」チャンネルを無料で配信する意味がわかりますか?
☆ ★ ☆
IW編:INTERNET Watch PLUSについて教えてください。
渡辺キャスター布村:大きく分けて3部構成になってます。第1部がニュースロールと呼んでいる部分で、INTERNET Watchのニュースの中から面白いものをセレクションして「先週はこんなニュースがありました」と。でも、「ありました」だけじゃINTERNET Watchを読めばいいことですから、普通の人の感覚に近いキャスターの渡辺理佳さんにとって何がどう面白かったのか、生の声の部分を前面に押し出します。また、一般の人に縁遠い記者発表会とはどういうものなのかとか、記事にならなかった部分について「私はこう思う」と記者自身の言葉で解説してもらいます。
IW編:第2部は何ですか?
布村:いわゆる特集で「ウィークリートピック」と呼んでいます。毎週違った切り口でサービスや人物を取り上げます。第3部は、バラエティロールで、「やってみました」「行ってきました」をお伝えします。実際に、渡辺キャスターやスタッフが体当たりでいろいろなものに挑戦します。ライブ感覚重視で、見ていて楽しいなと思わせられれば。
萩原:同じサービスを取り上げても、文字で読むのと映像で見るのは違う。INTERNET Watchの名前を借りている以上は、それにのっとりつつも、PLUSの部分、つまり別の感覚を視聴者にお届けしたい。
IW編:今、どんな企画を予定しているか?
布村:Jストリームがシステムを担当した、とある会社の決算報告ライブ中継の舞台裏とか、インターネット家電を取り上げて、開発者に「なんで作ったの?」と突撃取材するとかですね。他には、サイバーポリス潜入とか、複数のオークションに商品を出してみて「一番高く売れたところはどこでしょう?」とか。ワイドショー的というか、やじうま的なスタンスです。
萩原:ストリームでやると画面が小さいので、絵で勝負というよりは、「面白い」か「役に立つ」かというファクターを持っていないとダメだね。PC Watch PLUSは「役に立つ」を、INTERNET Watch PLUSは「面白い」を目指します。
IW編:ありがとうございました。
ほかにも、「渡辺理佳はわりとイケイケでノリノリだ」など、現場の和気藹々とした雰囲気が伝わってくる「楽しい」インタビューだった。
● INTERNET Watch PLUS撮影現場潜入Photo■ 「ニュースダイジェスト」撮影風景
「ニュースダイジェスト」は、INTERNET Watchで報道されたニュースの中から気になるニュースを3本程度ピックアップするコーナー。それぞれのニュースは、渡辺キャスターによるオチで締めくくられる。収録は、社内1Fのスタジオで行なわれる。中村ディレクターは、結構オヤジで、時には下ネタも交えながら、スタッフ全員と番組を創っていく。そんな撮影現場は笑いが絶えない。
中村映像ディレクター
|
ニュース原稿を撮影中に急遽書き換えることも |
立石カメラマン
|
■ 「ニュースの見どころ」撮影風景
「ニュースの見どころ」は、INTERNET Watch編集部員が登場して、最近の出来事に独自のコメントするもの。ネタのピックアップは編集部員の好みによる。布村ディレクターとしては、業界の裏話などを期待しているようだが、怖くて言えないネタもある。下は、第1回目の収録現場。編集部員Aが手に持っているものは……?
まずは打ち合わせ
|
撮影は順調に進む
|
編集作業ブース
|
(2000/11/21)
[Reported by okada-d@impress.co.jp]