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米Pihana PacificのLambert Onuma会長(左)とピハナパシフィック株式会社・事業開発担当バイスプレジデントの上田敏樹氏 |
現在日本で稼働している大規模IXとしては、NSPIXPやJPIXがあるが、NSPIXPはあくまでも学術研究用という位置づけ。このため、「本当に商用IXと呼べるものは1つしかない」(ピハナパシフィック株式会社・事業開発担当バイスプレジデントの上田敏樹氏)として、商用IXを東京で展開することにした。ただし、JPIXと競合しようというのではなく、「もし何かトラブルがあったとき、IX全体としてバックアップしていく」という意味で、日本にも複数の商用IXが必要だという。JPIXには現在70社程度のISPが接続しているとしており、まずはこれらのISPをターゲットに、負荷分散あるいは危険分散としてPihana PacificのIXを利用してもらう考えだ。上田氏は、IXに接続する必要性のある大規模ISPは今後1年で150社程度に増加するとみており、そのうち50社程度の接続を見込んでいる。データセンターは、広さが約7,500平方メートルで、約3,000のラックスペースが用意される予定だ。
Pihana Pacificのサービスの特徴は、「キャリアニュートラルであること」(米Pihana PacificのLambert Onuma会長)。特定キャリアの回線やネットワークとセットでサービスが提供される他社のデータセンターとは、この点が大きく異なっているという。実際、同社では東京のほか、ソウル、台北、香港、シンガポール、シドニー、ロサンゼルス、ホノルルにデータセンターを開設するが、Pihana Pacific自身がバックボーン回線を用意するわけではない。キャリアも一顧客としてPihana Pacificのデータセンターに接続する。その一方で、データセンターに入るASPやコンテンツプロバイダーが、自分の利用する回線やネットワークをそれらの中から選べるようになっている。「回線の利用が見込めるとわかっていれば、キャリアは必ず接続してくる」(上田氏)としており、東京については国内の地域系および国際系キャリアが5社程度接続する見込みだ。
なお、サービス料金については、キャリアが接続するのであればポートの使用料、ASPやコンテンツプロバイダーがハウジングするのであればラックスペースの使用料のみという方式だ。例えば、そこにハウジングされているASPが、そこに接続している、あるキャリアを利用したとしても、それによってPihana Pacificにコミッション料が入る仕組みではない。中立性を保つということに最も重点を置いているとしている。
そこで疑問となるのが利益性だが、「Pihana Pacificでは“スイッチ”それ自身から利益があがると考えている」(Onuma会長)としており、IXとラックの使用料を2本柱とした上で、セキュリティやネットワーク管理、ハードウェア導入などの付加価値サービスも順次追加していく計画だ。Onuma会長は、かつてDECの研究所において、中立系IXである「Palo Alto Internet Exchenge(PAIX)」の開発に携わった人物。「PAIXは、わずか1万平方フィート(約930平方メートル)のスペースだが、IXとコロケーションのみで売上は年間1,000万ドルを超えている」としており、Pihana Pacificのデータセンターについても開設から18ヶ月で利益が出ると見込んでいる。
同社では、今後1年から1年半で、前述した8カ所を含めて15カ所から20カ所のデータセンターをアジア太平洋地域に開設する計画だ。このうち日本には2カ所ないしは3カ所を開設する考えで、東京のほか、2001年後半には大阪での開設が予定されている。
(2000/11/30)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]