【業界動向】

「米国はネット犯罪防止のためにもっと予算を使うべき」と米調査会社

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http://www.gartner.com/public/static/aboutgg/pressrel/pr20001207a.html

 調査会社の米Gartner Groupは7日、米国政府がインターネットにおける犯罪防止するために十分な予算を立てていないとする調査結果を発表した。

 これは法の執行機関担当者とインターネット犯罪の専門家により、インターネット犯罪に関して連邦の法執行機関に与えられる予算、また、インターネット犯罪に対する法執行機関の成果に関して話し合うために実施された会議に基づいたものだ。Gartner Groupの副社長Richard Hunter氏は「Willie Sutton(米国の有名な銀行強盗)は“そこにお金があるから銀行を襲うのだ”と言った。今日のインターネット犯罪者たちは銀行を襲う必要がない。今の技術をもってすれば彼らは何万もの人を襲いながら、捕まる可能性はもっと低いのだ」と述べている。

 Gartner Groupによれば、法執行機関に対してインターネット犯罪捜査に費やすための予算の97%が米国の300人の連邦捜査官に与えられている。しかし、これは米国にいる法執行機関の捜査官の600,000人の数字と比べるとわずか0.1%にすぎない。また、2,000年のうちに連邦がその裁量で法執行機関のために費やす予算は170億ドルと見積もられているが、そのうちインターネット犯罪関連の訓練や人員補強やサポートに費やされる予算は1,000万ドルに過ぎない。それは法執行機関が費やす予算のうちのたった0.1%だ。

 連邦議会は法執行機関の研究とトレーニング、人員補強のために新たに提案された1億3,840万ドルの提案を受け入れそうにない。したがってGartner Groupによれば、インターネット犯罪のために費やされる連邦予算はすべての連邦法執行機関の費やす予算の1%を超えることはないだろうと計算される。この状態は2004年まで続くことが予測される。しかしながらこの同じ期間にインターネット犯罪によって失われる経済損失は1,000%も増大すると見積もられているのである。

 Richard Hunter氏によれば「犯罪者は一般的に戦略的に考えることはしない。彼らは通常をどのように逃げるかという戦略を立てることすらしない。そしてそれは損害を減らすのに役に立つかもしれない。その同じ間に人々や企業はそれぞれの電子的なセキュリティーの責任を負わなければならず、その責任は彼らが自分の家のセキュリティーを守るよりももっと大きな責任なのだ。彼らは決済記録をタカの目のように鋭く見つめなければならない。守ってくれる人は少なく、インターネット上で犯罪者を追跡しようとする試みが初期の段階にあるこの時代においては、多くの犯罪はこの3年の間処罰されることは少ないだろう」とコメントしている。

(2000/12/8)

[Reported by taiga@scientist.com]


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