【イベント】

日本オラクル、「Oracle OpenWorld 2000」を開催

■URL
http://www.oracle.co.jp/oow2000/

会場の様子  日本オラクル株式会社は、14日よりプライベートショー「Oracle OpenWorld 2000」を、東京ドームシティで開始した。新製品「Oracle9i」(別記事参照)の発表や多数の企業ブースなど、好調ぶりが伺えるイベントとなった。

 「Oracle OpenWorld」は、1994年から始まった日本オラクルのプライベートショー。7回目となる今回は、展示場を東京ドーム、セミナーや講演を東京ドームホテルなどで展開。参加のパートナー企業は100社以上、またセミナー・講演は178件と、プライベートイベントとしては大規模だ。
 展示会はホームベースのあたりが講演・ショーなどのメインステージが立ち、反対側のライト~レフトのあたりを日本オラクルのブースがぐるりと囲んでいる。その間に、パートナー企業の各社が入る形だ。オラクルのブースは、「9i」を中心にした「プラットフォーム」、CRMやERPなど「E-Business Suite11i」を活用できる業務を紹介する「ソリューション」、先端的なサービスをまとめた「E-Biz Highway」など、6エリアに分かれての展示で、興味ある分野に向かいやすい形だ。来場者はスーツ姿の企業ユーザーらしき人が多く、各ブースのステージタイムは立ち見も多い盛況ぶりだった。

 初日の14日は、開幕のオープニングセッションとして、日本オラクル代表取締役社長・新宅正明氏と、米Oracleワールドワイドマーケティング総責任者・Mark Jarvis氏が登場。OracleがEビジネスを活用し、グループ全体で10億ドル(約1,100億円)のコスト削減に成功したことをテーマに、企業がEビジネスに取り組むことの意味と効果を紹介した。

 セッションでは「EビジネスのEには“efficient”(効率のよい)も含まれている。Eビジネスで効率化を図るためには、テクノロジー・構造・プロセス・文化(社員意識)の変化が必要」(Jarvis氏)と述べ、Oracleが行なった効率化の過程を具体的に取り上げた。

 以前は世界に72の人事システム・経理システム・メールサーバーなどがあり、また43のデータセンターを利用していたが、それを1つに集約することで、情報活用の効率化とコスト削減の両方を図れたといった事例を紹介。他にも、ユーザーがWebブラウザーからサポートセンターへ質問することで、サポート対応のコストを1人あたり320ドルから10ドルへ削減、また経費の精算処理に3週間・1件につき60ドルかかっていたのが、イントラネット利用で3日・10ドルで可能に……など、実に多くのステップを見直し、Eビジネス化を図っている。「インターネット=メディアではなく、インターネット=ビジネス」(Jarvis氏)とし、「どんな会社でもEビジネス活用で10~20%の経費節約ができる。競合より早くEになることが、競争に勝つことでもある」(同氏)と、Eビジネス化促進を呼びかけた。
オープニングセッションでの新宅社長
「8i」を使ってマルチメディアコンテンツを最適化して配信する技術
ファーストリテイリングの堂前取締役

 午後には10月に開設した通販サイトが人気の「ユニクロ」運営元・株式会社ファーストリテイリング常務取締役・堂前宣夫氏がカンファレンスに登場。ユニクロのIT戦略として、サプライチェーンのコントロール、各店舗の自律的運営のサポート、オンラインでのダイレクト販売の3点とし、「“お客様が欲しいと思ったときに、欲しいものがいつでもどこでも誰でも買える”ことを目指した販売チャネルの1つとして、ネット店舗を活用していく」(堂前氏)と述べた。今後はどう展開するかと聞かれ、「商品の数を増やしていく方向はある。あと、現在電話などの通販で利用しているカタログと、ネットでの商品も揃えていく方向」という。計画段階で初年度から利益が出る程度にIT関連投資は抑えており、「まず売上げの見込みを立てて、そこからITや物流、原料のコストが決まっていく」のが同社の特徴でもあるという。Eビジネス化での今後の展開については、堂前氏は「現在、顧客情報の一元化はほとんどできていない状態。CRMは利便性はいいとは思うが、1to1マーケティングなどは考えていない。お客様に対してうるさくしたくないためで、追加してお客様が便利になる機能なら加えていくだろう」と語り、慎重なところを見せていた。

 講演・セミナーは常に十数件が並行して行なわれている状態で、この日は最後に「スペシャルキーノート」として、日本オラクルの佐野力会長がまず登場。「他の外資系企業との決定的な違いに、米Oracle会長のLarry Ellison氏の日本への理解がある」と述べ、Ellison氏のサンフランシスコの自邸(敷地内に7棟の日本家屋を建築中で、「New Katsura of SanFranciso」と呼ばれているという)のビデオを紹介した。

 次いでEllison氏がVTR講演で登場。「これまでの25年で、Oracleは100近いアプリケーションを開発、販売してきたが、これは顧客企業に数個~十数個のアプリケーションを組み合わせて導入してもらう結果となって、複雑すぎるものだったといえる。新しい『Oracle 9i』では、わずか2つのアプリケーションを導入することで、すべてを統合できる」と発言。「『9i』でソフトは幼年期から成熟期へ進む」、「今後はソフトも、ソニーや三菱のテレビなどと同じように、完全な製品として提供することができる」(以上Ellison氏)と、「9i」についての自信を見せていた。

 さらに先ほどのJarvis氏と、米Oracleインターネット・プラットフォーム・マーケティング総責任者 Jeremy Burton氏が登場。2人で掛け合いながら、「9i」の新機能のベンチマークテストを披露。「Ellison氏のお土産に」と言いながらeBayでミグ戦闘機に入札してみたり、「Microsoftの弁護士から止めるように言われていますが、彼らは米国なので」と言ってMicrosoftのクラスタリングと「9i」の機能を比較して見せたりし、会場を沸かせていた。

 「Oracle OpenWorld 2000」は15日まで、東京・水道橋の東京ドームシティで開催中だ。

VTR講演を行なったEllison氏(写真はスクリーンより)
Jarvis氏(右)とBurton氏(写真はスクリーンより)
クラスタリングの結果を比較した画面

(2000/12/15)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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