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【業界動向】

JPドメインのレジストリ業務、民間会社に移管へ
~JPNIC総会が承認~

■URL
http://www.nic.ad.jp/

 日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は、JPドメインのレジストリ業務を行なう民間会社を今月末にも設立する。22日に開催されたJPNICの臨時総会で、新会社の設立と汎用JPドメイン業務の移管について承認された。予定では、2001年2月22日より、新会社において汎用JPドメインの申請受付が開始される。

 社団法人のJPNICは現在、公益法人としてレジストリ業務を行なっているが、同業務が収益事業の色合いを帯びてきている、公益法人という体制では増大するレジストリ業務に備えた設備投資が困難──との理由で、レジストリ業務の民間会社への移管を計画していた。JPNICの理事会はすでに11月に開かれた総会で一度、新会社設立に関する議案を提出。しかし、計画があまりにも唐突だったため、総会での承認は得られず、採決が持ち越しとなっていた。

 JPNICではその後、検討期間を延長するとともに会員向けに説明会を開催。アンケートを実施し、会員の意見を聞くなどして計画内容の再検討を行なってきた。その結果、22日の臨時総会では、有効投票総数831票のうち賛成644票、反対141票、棄権46票という結果となり、議案が可決された。

 新会社は、2001年1月上旬に設立手続きを完了。資本金は当初6,000万円程度で、新会社の役員や持ち株会が出資する。さらに2月中旬には、JPNICの現物出資により1億2,000万円程度を増資。汎用JPドメイン業務を開始する時点での資本金は1億8,000万円程度となり、JPNICが3分の2の株式を保有することになる。なお、新会社の役員については、「現在のJPNIC理事および職員等で常勤可能な者」から「公平性・中立性を配慮」しながら、JPNIC理事会で決定する。

 新会社には、汎用JPドメインの導入開始時より、レジストリ業務が3段階に分けて移管される。まず第1段階では、JPNICが行なっているレジストリ業務のうち、新たに導入される汎用JPドメインについて新会社に業務委託される。この時点では、JPドメイン業務に関する委任同意は、従来と同様にICANNとJPNICとの間にあり、新会社はあくまでもJPNICの業務代行という立場になる。第1段階は、今年度中に完了する。

 続く第2段階では、ICANNと新会社の間で契約が進められ、汎用JPドメイン業務のすべてが新会社に移管される。JPNIC側で既存の属性型/地域型JPドメイン業務が継続される一方、新会社では指定レジストラを通じ、登録者に対して汎用JPドメインの登録・管理サービスを提供する。第2段階は、2001年度中を目指して行なわれる。

 第3段階では、汎用JPドメインに加え、既存のJPドメイン業務も新会社に移管。2002年度中をめどに、レジストリ業務のすべてが新会社に分離される。以降JPNICでは、営利法人ではまかなえない「教育・国際・情報提供事業」と、「IPアドレス割当事業」に専念する。ただし、新会社における公平性と中立性を保つため、3分の2の出資比率は確保していくほか、新会社に設置される「JPドメイン名諮問委員会」にも参加。この委員会を通じて、重要な方策決定に対してはコミットしていく。

 レジストリ業務の民間会社への移管ということで、問題となるのはその独占性だが、JPNICでは「レジストリは一意性確保の必要から自然独占となる性質を持つ」としたうえで、「世界的な観点からも、JPドメイン名の市場シェアは低く、価格支配力を有してはおらず、不当な価格設定を行なうことは考えられない」と説明している。

 また、JPレジストリそのものを公募すべきとの考えについては、時間があれば公平的だと認めながらも、「公募条件(仕様書・評価項目など)そのものの確定に多大な労力と期間を要し、すで顕在化している課題への対応が遅れる」「システム面、業務運営面で実質的に連続性が保たれる保証がない」ことを理由に、既存の企業に業務委託するのは不適切と判断。JPレジストリ業務の安定した運営のために、1)JPNICのノウハウを引き継ぎ、業務を円滑に継承できる、2)出資/支援によりJPNICのイニシアティブを確保できる、3)JPドメインが置かれている状況に対応して迅速な移管が行なえる──といった条件を満たすため、JPNICが自ら新会社を設立することが望ましいという結論に達したとしている。

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(2000/12/22)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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