【特集】

〜激化するサービス競争〜

賢く使い分けよう! 21世紀の検索エンジン

 インターネットで情報収集する際になくてはならない「検索エンジン」。いま、この検索エンジンに変化の波が訪れている。2000年6月にBlink(米)、9月にGoogle(米)とWAKANO(韓)など、海外で生まれた新しいタイプの検索エンジンが続々と日本に上陸してきた。それに対抗する形で11月には国内の大型検索エンジンgooが大幅なサイトのリニューアルを行なった。検索サイトの多くがフリーメール、掲示板、オークションなどのコミュニティ機能や辞書、地図、経路探索などの情報ツール、ショッピングモールとの提携などさまざまな機能を取り込んだポータルサイトと化しつつある一方で、ブリンクのような人間の持つ情報を上手にシステム化した新種の検索エンジンの発展も目覚しい。今世紀最後となる本特集では、多種多様化する検索エンジンの上手な活用法とこれからの検索エンジンについて探ってみたい。なお、今回の特集は「日本語検索」を中心としている。

検索エンジンの進化の過程を追う
■「ディレクトリ型」と「ロボット型」の融合

 インターネットの普及が始まり、ウェブサイトの数が増え始めて最初に登場した検索エンジンがYahoo!を代表とするディレクトリ型検索エンジンだ。ディレクトリ型では、人間が内容を審査して分類し、キーワードを付けて登録した情報を検索する。「料理」など、ある程度大きなテーマのサイトなら確実に探し出せるし、広告のみのジャンクサイトは除外される。しかし、「ハーブを使ったクリスマス料理のレシピ」など、細かいテーマで情報を探し出すことは困難だ。

 そこで人気を集めたのがディレクトリ型に次いで登場したロボット型検索エンジンだ。ロボット型では、“ロボット”と呼ばれるプログラムをインターネット上に走らせ、自動的に集めたページ情報を全文検索する。全文検索であるため、細かいテーマでの検索が可能だ。また、料理とは関係ない「私のヨーロッパ体験記」のようなサイトから、料理のレシピ情報を拾い出すこともできる。しかし、情報を詳細に拾い出すという性格上、ロボット型ではノイズ情報が多くなる。例えば料理のレシピを求めて「クリスマス料理」で検索すれば、「クリスマス料理が食べたいよ〜」と書かれた個人日記ページまで検索されてしまう。

 ロボット型の欠点が目立つようになると、弱点を補い合うために、双方の検索エンジンの融合が進められた。現在では、ロボット型の検索エンジンのほとんどがディレクトリ型の機能を備えている。大きなテーマで検索したとき、関連カテゴリーが表示されれば、目的のページに達する率はグッと高くなる。

 また、代表的なディレクトリ型検索エンジンのYahoo! JAPANでは、ロボット型のgooと提携し、検索結果がゼロになったときには、自動的に同じキーワードでgooで検索した結果が表示されるようになっている。

■目的にあったページを効率よく表示するためのさまざまな試み

〜リンクの多さをサイトの判断材料にして成功したGoogle〜

 より効率よく検索結果を利用するには、目的に合いそうなページが優先的に表示される必要がある。これまでも、ロボット型検索エンジンでは、キーワードが文中に現れる数や、タイトルや見出しに使用されているかなどで、そのキーワードが重視されているページを判別し、優先的に表示してきた。しかし、それだけではごくマイナーなページや古い情報が優先的に表示されることがあり、じゅうぶんとは言えない。

 最近ではどうやって目的にあったページを優先的に表示するかで、各検索エンジンでさまざまな試みが行なわれている。例えば今年9月に日本語サービスを開始したロボット型検索エンジンGoogleでは、あるページがほかのページからどのくらいリンクされているかを、表示優先度の判断材料として採用した。多くのページからリンクされているということは、多くの人に利用されている。そういうページを質が高いページとして優先的に表示しようという考え方だ。目的にぴったり合うかはわからないが、キーワードを含むページの中では、人気が高いサイトが先に表示されやすい。確かに、この特集で実施した主要検索エンジンの実力比較でも、Googleは質が高いページが表示される確率が高かった。この方法はgooでも最近取り入れられている。より確実な検索のために、今後期待できる方法だ。

〜「更新」に着目したフレッシュアイ〜

 不要な情報をふるい落とす方法として「新しさ」に着目したのがフレッシュアイだ。フレッシュアイでは、基本的に1カ月以内に更新されたページしか登録しない。古い情報は最初から除外してしまうのだ。その代わり、新しい情報の更新は重点的に行なっていて、ニュース・政府・企業関連など、約5,000の重要ページは、1日140回ものデータ更新をしている。これは約10分ごとの更新となり、ほぼリアルタイムでの検索が可能になる計算だ。

 そのほかのロボット型検索エンジンも、ニュースは別扱いで、一般ページよりも高い頻度で更新している。例えばgooでは、一般ページの情報が更新されるのは数週間に1度だが、ニュースサイトは1日数回更新される。後述するが、午前中のニュースはその日の夕方にはほぼどこの検索エンジンでも検索可能になっていた。

 infoseekではニュースを別枠で情報収集していながら、別ディレクトリに入って検索する必要があり、非常にわかりにくい。しかし、更新日を何日以内と限定できるフレッシュサーチ機能や検索結果を更新日付で並べ替える機能は、イベントや観光情報などで新しい情報を求めるときなどに有用性が高い。

〜クリック数で人気を計るgooなど〜

 ページの人気度をはかる手段はほかにもある。gooでは、goo内部でクリック数の多いページを判断材料にする「クリック人気」機能を最近追加した。検索結果が多すぎたとき、「クリック人気」を選択すれば、クリック数が多いものが優先的に表示される。これも人気サイトを知る上ではある程度役に立つだろう。しかし、大勢がついクリックしがちなエッチ系サイトなどが優先表示されてしまうという弱点もあるようだ。

 より目的に近いページを表示するということで、あらかじめ主要情報を別のデータベースに登録しておき、そのキーワードが入力されたときに確実に表示する機能も、多くの検索エンジンで採用されている。例えばキーワードに企業名を入れた場合、その企業のホームページを第1候補として表示する。gooの「ぴったりgoo」、infoseekの「ジャストシーク」、フレッシュアイの「ずばリンク」などがあり、また、特にサービス名はないが、LYCOSやexciteでも企業情報などは別扱いで表示される。

■メタ検索、ブックマークを使った検索など、新型サービスの登場

 これまでの検索エンジンはユーザーが使いこなすものだった。例えば目的に合わせてディレクトリー型とロボット型を使い分けたり、AND/OR/NOTなどの条件検索ツールを駆使してデータを絞り込むなど、ユーザーの知識が豊富であるほど、目当ての情報を素速く探し出せる。しかしネット初心者にとってはこのような検索テクニックの習得は荷が重い。また、ウェブ上の情報量が急激に増大し、ネットに関する知識を持っていても、情報を絞り込むことがむずかしくなってきている。そこで、よりわかりやすく、目的の情報を簡単に見つけだせる検索エンジンが求められている。

 最近ではそんなニーズに応えるいろんなタイプの検索エンジンサービスが登場しはじめた。例えば、キーワードを入力すると、複数の検索エンジンをまとめて検索し、結果を表示してくれるメタ型検索エンジンだ。9月に日本でもサービスを開始したメタ型検索エンジンWAKANOでは、複数の検索エンジンを検索した後、検索結果を独自に解析し、頻度の高い用語ごとに関連ありそうなものをグループ化して表示してくれる。テーマによってはうまく働かないこともあるが、目的のページを素速く探すためには、大きな手がかりとなる。

 また、自動化したロボット型の時代から再び“人”に注目し、人の持つ情報をうまく活用しようとする動きもでている。その1つが6月にサービスを開始したブリンク・ドットコムだ。ブリンクでは、会員が持っているブックマーク情報を共有することで、全文検索ではわからない関連検索が可能になる。この方法なら、会員の誰かが「役に立つ」と判断したサイトのみが検索対象となる。

 さらに“人”にナビゲーションをさせて、目的の情報にユーザーを誘導しようとしているのが、2001年2月に日本でのサービスを予定しているリクルート・アバウトドットコム・ジャパンだ。リクルート・アバウトドットコム・ジャパンは、細分化されたテーマごとに“ガイド”に委託し、整理された情報を提供しようとしている。所謂検索エンジンとは異なるが、一般ユーザーがより簡単に情報を得るという点では、検索エンジンの大きなライバルとなる可能性がある。

 

特色ある検索エンジン4社にサービスの狙い・今後の戦略を聞く

◎存在意義は「検索」。ロボット検索の精度を高めてユーザーの期待に応える〜goo
http://www.goo.ne.jp/


gooカンパニー マーケティング ・ディレクターの国枝 学氏

 ロボット型検索エンジンの老舗「goo」。現在では検索サービスにとどまらず、EC、コミュニティ、マーケティング、ニュース配信など多角的なサービス展開を行なう巨大ポータルサイトとなっている。昨今ではYahooを初めとした大手検索エンジンのサービス多様化が進み、検索エンジンはメディアとしての成長を遂げている。しかし、gooのサービスの基本にあるのはあくまで「検索」と語るのはgooカンパニー マーケティング・ディレクターの国枝 学氏だ。

 「gooのアイデンティティは『検索エンジン』にあります。今後ECなどのサービスにも力を入れていくつもりですが、私たちが『楽天』になろうというつもりはまったくないんです。うちを通してユーザーの方に多くのオンラインショッピングモールを検索してもらって、結果としてEC利用者の幅を広げるといった手助けをしていきたい」

 検索精度を上げること、また「検索」を主軸としたナビゲーションサービスを増やすことが今後の課題。gooでは現在日本語サイト3,500万サイトのデータベースを持ち、2種類のロボットが3日に1回、ニュースサイトは1日に2回クロールして巡回し、2〜3週間に1回全データベースを更新している。来年の年明けにはデータベースを増強し、Googleの規模にまで拡大するという。

 「ヒット数が多すぎるというのが、ロボット系の検索エンジンの悩みのタネでしたが、外からどれくらいリンクを張られているかで重要度を計る方法をとったことで、かなりゴミ情報を排除できるようになりました。また、gooのユーザーがかつてクリックしたサイトで構成された『クリック人気による絞込み結果』などを活用してもらうことによって、知りたい情報に早く辿り着けるように工夫しています」(国枝氏)

 このほか、gooでは欲しい情報の更新情報を定期配信してくれる「メールde goo」を10月に、ユーザーが知りたい情報についてメールで質問できる「教えてgoo」を11月にスタート。対象者がかなりセグメントされたサービスの展開も開始している。12月からはEC商品を比較できる検索エンジンサービスなどもスタートさせた。

 

◎ブックマークを共有することで広がる未知の世界〜ブリンク
http://www.blink.co.jp/go


ブリンク・ドットコム株式会社 代表取締役社長 柴田浩典氏

 私たちは普段ネットサーフィンをしている時「もう1度訪れよう」または「これから頻繁に訪れよう」と思ったサイトにのみ「ブックマーク」をつける。つまり、ブックマークされたサイトというのは誰かに「良質の情報を得られるページ」と認可されたものと言っていいだろう。このブックマークに着目し、検索やコミュニティ機能として有効活用するシステムを作り出したのが「ブリンク」の提供するサービスだ。

 ブリンクの主なサービスの特徴は「ユーザーが自分のブックマークをブリンク上に置くことで、自分のPCを持っていなくても出張先など、世界のどこからでも自分のブックマークを活用できる」、「会員の中で公開されているブックマークを使った『関連検索』ができる」、『同じ趣味・趣向を持つ人同士のコミュニティが作れる」など。米国Blinkではすでに70万人の会員数を持ち、1億3千万のブックマークを保存している。6月末からサービスを開始した日本でも順調に会員数を伸ばし、600万強のブックマークを保存している。

 さて、ブックマークを使ったブリンクの「関連検索」だが、実際にはどのように行なうのだろう? 私たちは普段ブックマークを分野ごとにフォルダ別に整理する。例えば「電機メーカー」というフォルダの中に日立、SONY、三菱などのURLを入れておく。ブリンクはこのフォルダ内のURLを使って「関連検索」を行なうのだ。つまり、A氏がブックマークしている「電機メーカー」フォルダ内のURLと一致するURLが入っているBさん、Cさん、Dさんなどのフォルダ(フォルダの名前は検索にはまったく関係しない)のURLを表示してくれるという仕組みだ。他人のブックマークを使った関連検索も可能だし、フォルダ内のURLの数を増減することで、検索結果は変わる。文章で理解するより、実際にブリンクで検索してみた方がその面白さは一目瞭然だが、自分と同じ興味・目的を持つ人から自分がまだ持っていないURL情報を拾い出せるというのは、なかなか画期的である。

 「整理されたブックマークを使って知識を共有・拡張しようというのが我々の考えです。私たちはこれを『散策』と読んでいますが、キーワードを打ち込んで目的のサイトを探す方法がピンポイント型だとしたら、関連検索は『こんなURLもあるんだよ』といった提案型の検索方法だと考えています」(ブリンク・ドットコム株式会社 代表取締役社長 柴田浩典氏)

ブリンクにはこの他「ヒットチャート」と呼ばれる、人気サイト・最多アクセスサイト・最新登録サイトなどが表示される機能も付いている。これなどはネット初心者にとってはかなり有効だ。今後は12月末までにブックマークに対する「キーワード検索」サービスをスタートするほか、携帯電話などへのサービス拡大などを視野に入れている。

 

◎ユーザーに便利な技術の開発こそ使命。今後はEC進出を視野に〜WAKANO
http://www.wakano.co.jp/


ラスエンタープライズ
KMS事業部兼経営支援部 常務取締役ユン・ジュジョン氏

 今年9月にメタ検索エンジン「WAKANO」のサービスを開始した韓国のネット事業会社ラス21の日本法人・株式会社ラスエンタープライズ。WAKANOは国内の主要な検索エンジンの中から好きなものを選んで同時に稼動させ、インターネット上の文章を検索し、類似した文章ごとに独自に生成した細部項目別に表示するといった知能型の自動分類を行なう。検索に多少時間がかかるが(これは日本語の問題だそう。文章にスペースが入る英語や韓国語の処理に比べて、日本語は処理にどうしても時間がかかる)、複数の検索エンジンの検索結果を分類して表示してくれるという便利さが大ヒット。ラスエンタープライズKMS事業部兼経営支援部 常務取締役のユン・ジュジョン氏はWAKANOの検索技術こそがディレクトリー検索、ロボット検索に続く第3世代の検索エンジンと語る。

 「際限性を高めると正確度が落ちるというのが検索エンジンの持つ悩みです。ディレクトリー型だと際限性がない(情報をたくさん拾ってこれない)。ロボット型だと情報はたくさん拾ってくるが、正確さが落ちる。正確さを高めるには自然語に近いキーワードを入れて処理を行なうのが一番ですが、技術的に不可能ではないけれど、コストがかかりすぎて現実的ではない。だから自動分類機能を使うんです。「インターネット」というキーワードを入れても、「インターネット産業」、「インターネットニュース」などのサブカテゴリーをつけてあげて、ユーザーが見る正確度を上げてあげる。うちの検索システムはメタ検索という部分を抜いた自動分類だけ見てもらっても、十分新しい世代のものだと思っています」

 ベンチャー企業は絶えず研究・開発をしないといけないと語る成氏。大手検索エンジンはその努力を怠っていると手厳しい。

 「検索エンジンのランキング方法を変えるには莫大な費用がかかります。そのため、大手検索エンジンは技術を変えられない分、メディアに走っている。でもそれはベンチャー企業としてはどうなんでしょう。ただ目をひくサービスを増やすのではなく、ユーザーに本当に便利なサービスを開発することが我々の役目ではないでしょうか」

 WAKANOのサービスはWAKANO自体の検索エンジンも使っているとは言うものの、よその検索エンジン機能を利用して行なっているわけだが、そのことで何かクレームをつけられたりといったことはないのだろうか?

 「いまのところ文句を言われるということはないですね。でもうちは他の検索エンジンでヒットしたサイト上位30件以上は表示しないし、ユーザーはWAKANOとそれ以外のところをうまく使い分けてくれればいいと思うんですよ」(ユン氏)

 WAKANOではすでに韓国、日本、アメリカ、ドイツでサービスを展開しているが、現在中国版を開発中。韓国語では自然語に近い検索がもうすぐ可能になる。日本でも2、3年後には自然語処理を可能にしたいという。目標としては、検索エンジンに調べ物を頼んだら、頼んだ通りのものを用意してくれるといった秘書のような役割ができるレベルを目指す。このように新しい検索技術の開発に余念のないWAKANOだが、決して検索エンジンを主流としたビジネス展開をしようとは考えていない。

「今、必要なサービスだと考えいてるからメタ検索サービスを提供していますが、弊社はソフトウェア開発、ナレッジマネージメント、ネットビジネスなどさまざまな事業を行なっている会社です。今後考えているのは世界規模のECサイトを立ち上げることです。翻訳や仲介サービスも全部我々が請け負って、ユーザーは世界中のサイトから自由にショッピングできるといったサービスを2002年には開始したいと考えています」(ユン氏)

 世界規模のECサービスを展開していこうと考えているラス21にとって、検索エンジンサービスを提供することで広く自社の技術力を世界にアピールすることに成功していると言っていいだろう。

 

◎「詳しい人に教えてもらう」をネットで実現〜リクルート・アバウトドットコム ・ジャパン
http://www.recruit.about.co.jp/ 


リクルート・アバウトドットコム ・ジャパンCEO江幡哲也氏

 私たちは実生活で何かの情報を知りたい時、どうするだろうか? 図書館などで調べる人もいるだろうが、やはり「その分野に詳しい知人に聞く」がダントツ一番ではないだろうか? この「詳しい人に教えてもらう」をネット上で可能にしたのが2001年2月にサービスを開始するリクルート・アバウトドットコム・ジャパン(以下RAJ)だ。従来のディレクトリ型やロボット型の検索エンジンとはまったく異なるRAJのサービス内容を一言で説明すると、システムではなく「人」を使った情報推奨サービス。具体的には「スポーツ」「グルメ」など13分野200テーマに対して、その分野に詳しい「ガイド」と呼ばれるサイトの編集長をたてて、推奨するサイトのリンク集やテーマにまつわる記事を編集してもらう。また、メールニュースやユーザーとのコミュニケーションの場である「フォーラム」の主宰もガイドが行なう。この「ガイド」システムにより、ユーザーは自分の知りたい情報を、その分野の専門家のオススメ情報から選ぶことができたり、質問するといったことが可能になる。RAJが狙う層はネット初心者。初心者にしてみれば、膨大な情報量のインターネット上で自分で1から情報検索をするより、その分野に詳しい人のオススメ情報の中から選んだ方がずっと無駄な時間を短縮できるというわけだ。

 「何か調べ物をしたい時にまず最初に訪れるサイトでありたいですね。RAJを使って基本的な目的は達成させる。その後、その情報を深追いするのであれば、別の検索エンジンを訪れるといった使い方をして欲しい」。(リクルート・アバウトドットコム・ジャパンCEO江幡哲也氏)

 「人」のオススメ情報から必要な情報を収集・検索するというコンセプトは「ブリンク」とも似通っているが、ブリンクが「ブックマークを使った検索システム」という革新的な技術を使ったサービス提供なのに対し、こちらは「ガイド(人)の魅力」といったアナログさ、文系っぽさが売りだ。江幡氏は以前から「人」を通じたインターネットナビゲーターサービスをやりたいと考えていたが、まだまだ日本のネットユーザー層にはサービス精神にとんでいるガイド向きな人材の不足を感じていたという。

 「去年の夏くらいから、日本でもそろそろ出来る時期がきたなと感じたんです。たまたまアメリカのAboutが行なっているサービスが自分が考えていたものと類似していたため、交渉した結果、日本でのサービス展開となりました」(江幡氏)

 米国Aboutのサイトは(http://about.com)、700以上の分野で構成され、それぞれの分野を専門のガイドが管理している。個々のサイトではユーザの利用経験を反映したベストリンク集、コミュニティ機能、ECなどの機能・情報を提供し、全米のインターネットサイトにおいてユニークユーザ数で第7位にランキングされている。また、米国AboutのガイドからTVに出演して人気を博したり、本を出版するなどといったスターの存在を生んでいる。日本のRAJでもガイドをさまざまなメディアに登場させていこうと考えており、手始めにリクルートが発行している雑誌媒体などに登場させる。また、各ガイドには担当編集者が付き、サイト運営における編集や技術についてのサポートをきめ細かく行なうという。

 

徹底調査! 主要検索エンジンの実力拝見
 では、どのようなときにどの検索エンジンが、どれくらい期待に応えてくれるのか、いくつかのテーマで実際に試してみよう。検索エンジンによってはさまざまな検索ツールを用意しているが、「使いやすさ」を考慮して、あえて複雑な絞り込みや条件指定はしないことにした。一般的なユーザーにとっては、何気なくポンと検索語をほうり込めば欲しい答えを出してくれる方が嬉しい。ここでは2つ程度のキーワードを使ったAND検索か、メニュー選択で可能な機能のみ使用することにする。

◎今回比較した検索エンジン(順不同)

■Yahoo! JAPAN
http://www.yahoo.co.jp/
代表的なディレクトリ型検索エンジン。ロボット型のgooと提携している

■OCN navi -NTT DIRECTORY-
http://navi.ocn.ne.jp/
ロボット型データとディレクトリ型データを選択して検索できる

■goo
http://www.goo.ne.jp/
ロボット型だが、ディレクトリ情報も用意されている。ニュースサーチや企業情報サーチも可能

■LYCOS Japan
http://www.lycos.co.jp/
ロボット型だが、ディレクトリ情報も用意されている。検索結果が情報源、ニュース、カテゴリなどに分類して表示される

■Excite Japan
http://www.excite.co.jp/
ロボット型だが、ディレクトリ情報が用意されている

■infoseek
http://www.infoseek.co.jp/
ロボット型だが、ディレクトリ情報が用意されている。更新日付で絞り込める

■フレッシュアイ
http://www.fresheye.com/
ロボット型だが、ディレクトリ情報が用意されている。また、1カ月以内に更新した情報のみ検索できる

■Google
http://www.google.com/
ロボット型。多くのページからリンクされているページを優先的に表示する

■WAKANO
http://www.wakano.co.jp/
メタ型。ほかの検索エンジンで検索した結果を独自に分類して表示する。ディレクトリ情報も用意されている

■ブリンク
http://www.blink.co.jp/go
個人のブックマークを収集してしてデータベース化している

 

◎検索テーマ(1) 「明確な対象(キヤノンのホームページを見たい)」
 まず最初に明確な対象として「キヤノン」という有名メーカーのホームページを探してみよう。有名なところほど「キヤノン製品大売り出し」のようなページが大量に表示されるため、ホームページを見つけにくくなる。その会社のホームページをどれだけ簡単に見つけだせるかがポイントだ。

 このとき、うっかり名前を間違えても検索できるかどうかが気になる。有名会社でも、固有名詞は案外間違えて記憶していることが多い。そこで、正確な「キヤノン」以外に、間違えやすい「キャノン」というキーワードでも検索してみた。

・Yahoo! JAPAN
 「キヤノン」で検索すると、関連カテゴリがずらずらと表示されて、案外わかりにくい。それでも「キヤノン」というカテゴリを選択すると、「キヤノンホームページ」がトップに表示された。検索語を「キャノン」にした場合でも、結果は同じ。「キヤノン」と「キャノン」は同等と判断されているようだ。

・OCN navi -NTT DIRECTORY-
 最初にディレクトリ型検索の「登録情報」を選べば、「キヤノン・グローバル・ホームページ」が2番目に表示され、キヤノンのホームページへと導いてくれる。「キャノン」では、誤って「キャノン」と記載されたホームページしか表示されない。初期設定の「ロボット」のまま検索すると、1,2699件が検索されるが、最初に表示されたものの中には目的に合うページはなかった。

・goo
 「キヤノン」「キャノン」ともに一般のロボット検索「WEBサーチ」で検索すると、「ぴったりgoo」としてトップにキヤノンのホームページが表示された。「ぴったりgoo」は、あらかじめ登録されたキーワードに対して、会社名ならその会社のホームページなど、最も適当なページをを表示する機能だ。一般検索結果では、「キヤノン」と「キャノン」の検索結果は異なっている。「ヤ」と「ャ」は区別しているものの、「ぴったりgoo」では間違いやすい語として「キャノン」も登録されているのだろう。企業情報を集めた「企業情報サーチ」では「キヤノン」は表示されるが「キャノン」では検索できない。

・LYCOS
 「情報源」として、トップにキヤノンのホームページが表示された。「情報源」「ニュース」「カテゴリ」などに分類されて表示されるので、目的別に探しやすい。「キャノン」でも同様の結果が表示されるが、検索総数は21,005から23,999に増加した。おそらく「キャノン」は「キヤノン」とみなすように登録されているのだろう。

・excite
 「キヤノン」では、トップに企業情報としてホームページが表示される。「キャノン」では検索結果が異なる。トップに表示されるのはキヤノン販売のホームページだが、「キャノン販売」と表示されている。登録ミスがケガの功名となってヒットできたのだろうか。

・infoseek
 「ジャストシーク」として、トップにキヤノンのホームページが表示される。「ジャストシーク」は、gooの「ぴったりgoo」と同様、あらかじめ登録されたページを表示する機能だ。「キャノン」でも結果は同じ。

・フレッシュアイ
 「ずばリンク」としてトップに表示される。これもgooの「ぴったりgoo」と同様の機能。「キャノン」では、同じく「ずばリンク」で「Canon 《リンク集》」が表示され、キヤノンのホームページを開くことができた。

・Google
 トップにホームページが表示される。「キヤノン」と「キャノン」の検索数は共に71,700件で、区別はしていないようだ。

・WAKANO
 トップではないが、10件の「ベスト参考サイト」の中にホームページを見つけることができた。「キャノン」でも、結果は異なるが「ベスト参考サイト」の中にホームページが検索されている。「ヤ」と「ャ」の区別は、WAKANOではなく使用した検索エンジンに依存すると思われる。

・ブリンク
 「全てのブリンクブックマーク」から検索すると、2番目にホームページが表示された。「キャノン」では、あまり関係ないページが2件表示されたのみ。

 ディレクトリ型が有利だろうという先入観念があったが、ディレクトリ型の要素を積極的に取り込んだロボット型のほうが、案外わかりやすく表示された。また、有名企業の場合は、間違えやすい名前対策もとられている検索エンジンが多い。どの検索エンジンでも特に問題なく検索できた。

 

◎テーマ(2)「ある程度限定したテーマ(よく効く二日酔い対策は?)」
 今度はある程度限定したテーマとして、二日酔い対策を調べてみよう。「ふつかよい」には「宿酔い」の字もあるが、あまりむずかしく考えず「二日酔い」のみをキーワードにする。二日酔いで痛む頭を駆使しなくても検索できることが望ましい。

・Yahoo! JAPAN
 「二日酔い」をキーワードにした検索では、漢方薬販売会社のサイトが1件表示されるのみ。

・OCN navi -NTT DIRECTORY-
 「ロボット」で検索すると、トップページに二日酔いに関するリンク集が表示され、すぐにさまざまな対策を読むことができた。「登録情報」で検索すると、31件表示されるがドリンク剤の宣伝ページが多い。

・goo
 「WEBサーチ」では、「二日酔い」で4287件が表示される。最初の方のページである程度わかるが、「クリック人気」機能を使うと、クリック数が多いページが表示されるので情報を探しやすくなる。ディレクトリ型検索の「ディレクトリサーチ」では、該当するページはない。

・LYCOS
 トップに「ウェブサイト」として、医学ページが表示された。二日酔い講座が掲載されていて、詳しい情報を得ることができる。また、続いて表示される「ウェブページ」の中にも役に立つページが多い。

・excite
 「二日酔い」のディレクトリが存在し、トップに表示された。その中を見ると、さまざまな二日酔い対策ページが登録されている。

・infoseek
 38,129件が表示されたが、最初の方に比較的役に立ちそうなページが表示されている。さらに「厳選サイト」をクリックすると、12件に絞り込まれたが、「二日酔い」について詳しいのは一部のみのようだ。

・フレッシュアイ
 ある程度役に立ちそうなページが表示されるものの、最近更新されたページでないと検索できないので、ほかのサイトで表示された有用ページは表示されない。

・Google
 二日酔い対策に役立ちそうなページが、最初の方に表示される。

・WAKANO
 「ベスト参考サイト」10件の中に、有用そうなページが表示される。

・ブリンク
 「全てのブリンクブックマーク」の中には「二日酔い」をキーワードとするページは存在しなかった。

 メインテーマになりにくいキーワードでは、ディレクトリ型で検索するのはむずかしい。しかしテーマが限定されていれば、ロボット型ではまあまあ問題なく検索できる。gooの「クリック人気」やinfoseekの「厳選サイト」は、テーマによっては役立ちそうだ。exciteでは、「二日酔い」という細かいテーマのディレクトリが存在していたため、有用ページを見つけだすのが簡単だった。

 

◎テーマ(3)「最新情報(クリスマスで遊びに行くところを探す)」
 街はすっかりクリスマスムード。「ちょっと暇ができたから、きれいなクリスマスツリーでも見に行きたいな」と思ったときに、どこに行けばいいのかを探してみよう。欲しいのは、もちろん今年の情報だ。最新情報をうまく拾い集められるかがポイントとなる。

・Yahoo! JAPAN
 「クリスマス」で検索すると、「クリスマス」というカテゴリが表示され、その中に「Yahoo! JAPAN - クリスマス特集2000」というサイトが登録されている。ここで今年の「厳選イルミネーションスポット」は調べがつくようだ。また、「クリスマス」カテゴリのさらに下に「イルミネーション」「クリスマスツリー」などのカテゴリもある。

・OCN navi -NTT DIRECTORY-
 「クリスマス」だけでは、クリスマスに関する全般的な情報ばかり検索されてしまう。「クリスマス イベント」と2つのキーワードでAND検索を実施すると、クリスマス期間中のイベント情報ページなどが表示された。ただし、1996年など古い情報も表示されてしまうので、登録日を見ながらの選別が必要。「登録データ」よりも「ロボット検索」のほうが結果はよいようだ。

・goo
 「クリスマス」で「ぴったりgoo」として「goo『クリスマス特集』」が表示された。ここでイルミネーションガイドをチェックできる。「クリスマス イベント」で検索すると、「お出かけスポット&イベント」の中の「クリスマス」カテゴリが表示されるが、表示されるのはネット上でのイベントサイトが中心のようだ。

・LYCOS
 「クリスマス」で検索すると「情報源」としてLYCOSのクリスマス関連のサイトが表示されるが、こちらはネット上のイベントなどが中心のようだ。「カテゴリ」の「クリスマスプラン」を開くと、イルミネーションやホテルのイベント情報を調べられる。

・excite
 「クリスマス」で検索すると、「祝日&年中行事」の中に「クリスマス」ディレクトリがある。イベント以外の情報も多いが、イルミネーションガイドなどはここである程度わかる。「クリスマス イベント」で検索すると、古い情報もでてきてしまうので、あまり効率がよくない。

・infoseek
 「クリスマス」で検索したあと「更新日を限定」で「3日以内」などに限定すると、今年のイベント情報のサイトのみが表示される。またページを日付順に表示することもできるので、新しい情報を求めているときには便利だ。

・フレッシュアイ
 「クリスマス」で検索すると「ずばリンク」として「クリスマス《リンク集》」が表示され、クリスマス総合情報やイルミネーションを簡単に調べられる。フレッシュアイではもともと1か月以内に更新されたページしか検索されないので、昨年の情報が表示される心配はない。

・Google
 「クリスマス」では、総合的な情報が多いため「クリスマス イベント」で検索してみた。多少古い情報も入っているが、イベントガイドサイトやホテルのイベント情報など、面白そうなサイトが表示される。

・WAKANO
 「クリスマス」では、総合的な情報でイベント情報はうまくみつけられなかった。「クリスマス イベント」で検索してみると、「ベスト参考サイト」には手頃なサイトがないが、「実時間自動分類」では、「クリスマスイベント」などの分類で、イベント情報を簡単に見つけられた。

・ブリンク
 「クリスマス」で「全てのブリンクブックマーク」から検索したが、参考になりそうなイベントサイトは見つけられなかった。また「クリスマス イベント」に一致するサイトは表示されなかった。

 最新情報ということでいくつかのニュースも調べてみた。ロボット型検索エンジンはすべてのサイト情報の更新には時間がかかるが、新鮮さが命のニュースサイトは別枠で情報を更新している。例えば12月20日午前中に発表された大相撲番付表は、その日の夕方にはすべてのロボット型検索エンジンで検索可能になっていた。また、それ以上に更新が遅れそうなディレクトリ型検索エンジンでも、「大相撲」で検索すれば日本相撲協会のホームページが表示されるため、最新情報をキャッチできる。最初から新聞社やテレビ局サイトを検索することもできるので、どういう情報がほしいのか明確にわかっていれば、最新情報を入手するのはそれほどむずかしくない。

 それに比べて、漠然としたイベント情報は調べにくい。情報の「新しさ」と「内容」の両方で要求にあうサイトが見つからないのだ。こういう情報を探すには、詳細なカテゴリ分けがされている検索エンジンか、フレッシュアイやinfoseekのような日付順に検索結果を絞り込める検索エンジンを利用するとよいだろう。

 

◎テーマ(4)「漠然としたテーマ(何か面白そうなホームページを見たい)」

 「何か面白そうなものはないか」といった漠然としたテーマで検索エンジンを使うのはむずかしい。キーワードを指定しなければ、ロボット型は利用できない。ディレクトリ型では、興味のあるテーマのカテゴリや検索エンジンのお勧めサイトマークを参考にすることはできるが、自分の好みに合う情報を見つけるためには、多くのページを開かなくてはならないだろう。

そんなときに注目したいのがブリンクだ。ブリンクの「関連検索」機能では、自分のブックマークと共通するブックマークを保存している人が、ほかにどんなブックマークを持っているかを調べることができる。自分と同じような趣味の人が見ているサイトを教えてもらえるのだ。 もちろん、個人の興味が完全に一致することなどないから、検索はブックマーク全体ではなくフォルダ単位で実行する。例えば好きなアーティストのサイトを集めたフォルダを指定して「関連検索」を実行すれば、共通するサイトを保存しているほかの人のフォルダから、別のサイトを探し出して表示してくれる。 フォルダの中味は狭い分野に限定した方が、興味があるサイトが検索される確率は高くなる。しかし限定しすぎると、今度は新しいサイトを検索できない。

 現時点では「電機メーカー」のような一般的なテーマには有効だが、「好みの作家」のようにあまりにも趣味的なテーマでは、まだ思うような結果は得られない。大勢の会員により詳細に分類されたフォルダが登録された時により実力を発揮するシステムだと言えそうだ。

 

【まとめ】
 大手の検索エンジンには多少の個性はあるが、キーワードごとに反応は変わってくるので、「こんな目的にはこれ」と明確には指定しにくい。強いてあげるなら、より多くの情報を探したいときはgooかLYCOS、情報の新鮮さに注目するならフレッシュアイかinfoseekといったところだろうか。目的にあった情報を探したい時はGoogleが有効そうだ。レスポンスの速さ、画面のシンプルさもありがたい。

 使い勝手では、gooではせっかくニュース情報を別枠で更新していながら、「ニュースサーチ」を指定しないと最新ニュースが表示されないのが残念だった。検索方法を指定するよりも、検索結果を自動的に分類して表示してくれるLYCOSのようなシステムの方が、ユーザーとしてはありがたい。

 広範囲の情報の中からエッセンスを拾い出したいときには、WAKANOが便利だ。まずWAKANOで概要を調べ、より詳細な情報が必要なときには情報源の検索エンジンで調べ直すといいだろう。

 

●多様化するサービス。ユーザーは賢く併用を
 新型検索エンジンやRAJなどの情報サイトの参入で、検索エンジンの競争はますます激しくなりつつある。楽天のインフォシーク買収やライコスのブリンクとの提携、Googleの検索エンジンがBIGLOBEで採用といったニュースも記憶に新しいが、生き残りをかけて、メイン機能の検索エンジン以外のサービスを充実する検索サイトも増えてきた。

 ユーザーの立場では、競争によって、より便利なサービスになることは歓迎できるが、サブ機能よりもメインの検索機能の充実を期待したい。特にブリンクのような人間の持つ情報を上手にシステム化した情報サイトの発展が楽しみだ。また、今後の技術の発達により、日本語ではむずかしい自然語検索や自動翻訳検索の実用化が望まれる。ユーザーは各検索エンジンの性質を理解した上で、上手に活用したい。

(2000/12/25)

[Reported by Kuniko Umekata / tanimoto@impress.co.jp]


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