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【年末企画】

INTERNET Watchが選ぶ2000年の74大ニュース[その8]

“ドットコム”と“クリック&モルタル”がようやく同列に
~日本のEC事情7大ニュース~

第1位Amazon.com、日本進出(11月)
第2位ヤフー、オークションの不正出品で警察の捜索に(11月)
第3位ヤフー、オークションの常時出品が100万件突破(8月)
第4位ユニクロがオンラインショップを開設(10月)
第5位楽天、インフォシークを買収(11月)
第6位セブンドリームドットコム、サービス開始(7月)
第7位ソニーの直販サイト「ソニースタイル」開設、PS2販売で混乱も

 2000年の日本EC事情は、期せずして“ドットコム”と“クリック&モルタル”の双方が肩を並べる状況となった。というより、日本の流通業界もインターネットに目を向けざるを得なくなったからだが、おかげでニュースには事欠かない1年だったといえる。

 ドットコム組で目に付いたのは、まず「Yahoo!オークション」。一人勝ちといってもいいほどの快進撃で、2000年2月には20万点だった常時出品商品数が、8月には100万点に増加している。1999年末に開設、動向が期待されていた「eBay Japan」はすっかり出遅れた形だ。Yahoo!オークションの好調ぶりを受けてか、PC関連商品を中心に人気だったオークションサイト「My Trade」はサービス終了となってしまった。

 この好調ぶりの反面、オークション詐欺などの不正行為も増加しており、不正商品対策協議会からのヤフーに対する消費者保護要請や、11月にはヤフーへの警察の捜索が行なわれるといった事態も起きている。ヤフー側はエスクローサービスを充実させることで消費者への対応をアピールしており、今後の普及が注目されるところだ。

 もう一つのドットコムの目玉が「楽天」だろう。商品数が63万点、1ヵ月に1億5,000万ページビューと、オンラインモールとしての規模をさらに拡大。4月の株式店頭公開も話題となった。日販と共同でのオンライン書店展開(来年開店)、また11月には検索サイトのインフォシークを買収するなど、ヤフーへ対抗する体力を蓄えている様子が伺える。他にはオークションやECのプラットフォームを他サイトに提供する「Bidders」や「ネットプライス」らの活動も目立った。

 一方のクリック&モルタルでは、コンビニエンスストアのブランド力や店頭を利用したEC展開がまず挙げられる。セブンイレブンの「セブンドリームドットコム」をはじめとして、ファミリーマートの「ファミマドットコム」、ミニストップなど17社の連合による「ときめきドットコム」(サービスは2001年開始)などだ。現在はCDなど音楽関連商品やPC、チケットといった取り扱いが多いものの、ユーザーの声を反映した商品を開発、販売を行なうといった独自の動きや、店頭のキオスク端末を利用した販売(いずれもセブンドリーム)も始まり、今後どう差別化が進むかは楽しみなところ。また、西友による即日配達のネットスーパー(現在は地域限定)、生協グループのオンライン進出、無印良品の「Muji.net」など、流通大手がそれぞれの特性を生かしてのオンライン展開も始まっている。

 そして、10月にショッピングサイトを立ち上げた「ユニクロ」。50色のフリースジャケットを5サイズで展開するという、リアルの店頭ではスペースを取りすぎて不可能な売り方をオンラインで展開したことは、EC業界に一石を投じたと言えるだろう。

 最後にクリック&モルタルとドットコムの全面戦争ともいえるオンライン書店分野について。「紀伊国屋書店」と、文教堂による「J-BOOK」という既存書店が優位に立っていたこの分野に、夏には「bk1」と「bol」、そして秋には真打ちとも呼べる「Amazon.co.jp」が登場して一気に“オンライン書店戦国時代”と呼びたい状況になった。11月の同分野のウェブアクセスはAmazonに一気に傾いたものの、他のオンライン書店サイトがこのままでいるとは思えない。来年の今ごろはどんな状況になっているかが読めない、激動のシーンになることが予想される。

(2000/12/27)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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