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【特集】

一足先に楽しむ“300kbps”
~ブロードバンド対応ストリーム映像サイト集~


 CATVやADSLなどによる高速アクセス回線サービスの普及に合わせ、国内でもブロードバンド対応を謳ったウェブサイトやコンテンツが登場している。その中でも特に象徴的なのがストリームによる動画配信だが、これまでのエンコードは28kbpsや56kbpsを想定したものが中心。速くてもせいぜい100~128Kbps程度だった。それが最近では、ブロードバンドユーザー向けに300kbps、中には500kbpsというものまで登場している。

 そこで今回の特集では、国内でもちらほら見かけるようになった、これらブロードバンド向けのストリーム映像サイトを集めてみた。なお、今回紹介するサイトでは、Real PlayerかWindws Media Playerのいずれか、もしくは両方に対応している。また、一部のサイトではQuick Timeも使われている。

●インターネットテレビ局

 インターネット上で番組形式で動画を配信する、いわゆる“インターネットテレビ局”は以前から存在していたが、ナローバンドでの放送は画面サイズも小さいしクオリティも低く、お世辞にもテレビとは言えない状態だった。それがここにきて、300kbps用のファイルを合わせて提供するところも現われ、ようやくテレビらしくなってきた。一般のテレビ番組にはないニッチ性や、オンデマンド視聴が可能な点など、ブロードバンドユーザーならぜひ利用するメリットはあるだろう。

 中でもおすすめなのは、「フォーリンTVジャパン」。ニュース、映画、音楽、スポーツなど8つのジャンルで番組を提供している。ストリームは56kbps、100kbps、broadband(300kbps)の3種類。日本のオリジナルコンテンツはもちろん、米foreignTV.comやMedium4.comなどからの豊富な海外コンテンツも、日本語による解説付きで紹介されているのがうれしい。なお、昨年4月には映画「シベリア超特急」を全編無料で配信するなど、貴重なコンテンツを提供しているのも特徴だ(現在は「シベリア超特急2」の予告編を公開中)。

 「akibaTV.com」や「parco.tv」は、ともにブロードバンドコンテンツ開発のオルカビジョンが手がけるサイト。比較的ジャンルを絞り込んだ、インターネットテレビ局の専門チャンネルと言える。akibaTV.comでは、“秋葉原”をテーマに、パソコンやIT、デジタル文化などを伝える番組を配信。56kbps、64kbps、128kbpsのほか、一部の番組で300kbpsが用意されている。一方、parco.tvはファッションビルのパルコとの共同事業で、ファッションやライフスタイルなど女性をターゲットとした番組を展開している。現在試験サービス中で、4月より本格配信を開始する予定。ストリームは64kbps、128kbps、300kbpsの3種類ということで、先発のakibaTV.comよりも高速側にシフトしているのがわかる。

 このほか、昨年11月に開局した「impress TV」でも、従来のナローバンド向けのほかに、「BROADBAND Channel」として300kbpsにも対応。IT関連ニュースや音楽関連の情報/ノウハウ番組(野村義男氏が楽器の新製品を紹介する「digimartTV」など)をリアルタイムおよびオンデマンド配信している。

■フォーリンTVジャパン
http://www.ftv.co.jp/

■akibaTV.com
http://akibatv.com/

■parco.tv
http://parco.tv/

■impress TV
http://impress.tv/

●映画/アニメ

 映像コンテンツの中でも、映画やアニメ作品については、やはり高いクオリティが求められる。その点、ストリーム配信は、まだまだテレビやビデオパッケージにはかなわず、宣伝効果を狙う意味あいが大きい。

 その代表が、映画情報サイト「ISIZE MOVIE」だろう。公開予定もしくは公開中の映画や新作レンタルビデオの紹介とともに、予告編も視聴できるようになっている。Windows Media Player用の中帯域/高帯域の2種類のファイルのほか、一部の作品ではQuickTime用のファイルが用意されており、QuickTimeでは最大500kbpsとなっている。ストリーム映像だけまとめて見たいなら、各タイトルの紹介ページ以外に、「映像ステーション」のコーナーから一覧可能だ。

 これに対して「web the@ter」は、インターネット上で“映画館”を提供しようというサイト。有料で映画全編を公開していくという。現在、「伊藤潤二恐怖Collection」シリーズ(1話200円)や、村上龍原作の「オーディション」(500円)などが紹介されており、いくつかの作品は無料で予告編が見られる。ストリームは28.8kbpsモデム、56kbpsモデム、デュアルISDN 128kbpsのほか、LAN/CS/CABLE用が用意されている。なお、有料の本編については@nifty上での提供となり、視聴するには@nifty会員である必要がある(ただし、本編のほうのストリームは、それほどブロードバンドではなかった)。

 同じく、インターネット上で全編を配信するものとして「WAKWAK名画劇場」があるが、こちらはネット上の映画館というより、名作を扱うライブラリーといったイメージだ。チャップリンの主演作品やウォルトディズニーの初期の作品、世界初のSF映画「月世界旅行」などの“古典”がラインナップされている。ストリームは34kbps、80kbps、384bpsの3種類。料金は1作品につき100円から300円で、利用するには、NTT-MEのインターネットサービス「WAKWAK」に入会する必要がある。

 映画については、有料だけでなく、なんと無料で全編を公開しているサイトもある。関西のCATVインターネットサービス「ZAQ」が提供する「JMN・ZAQ」である。昨年11月にスタートしたこのプロジェクトでは、約1カ月ごとに配信するタイトルを入れ替え、現在、3本目となる「OSAKAビッグ・リバ-・ブル-ス~平成名探偵 阪田京介2~」という作品を配信している。民放テレビなどのようにCMを入れることで、ユーザーには無料で提供しているという。CATVインターネットユーザー向けに通常の4倍の画面サイズで配信しているが、同時アクセス数が400ユーザーと限られているため、接続できない場合もある。

■ISIZE MOVIE
http://www.isize.com/movie/

■web the@ter
http://theater.ne.jp/

■WAKWAK名画劇場
http://www8.wakwak.com/movie/index.html

■JMN・ZAQ~インターネット無料映画配信サービス~
http://www.zaq.ne.jp/jmn/

●音楽

 映像に比べて容量が小さいため、従来のナローバンドのストリームでもそこそこ満足できた音楽コンテンツ。今後ブロードバンドが普及すれば、音質の向上はもちろんだが、きちんとアーティストの顔が判別できるビデオクリップの配信や、ライブ中継サービスなどが期待される。

 「CHEREN.TV」は、沖縄を中心としたコンテンツのブロードバンド配信サイトで、音楽や芸能、ニュース、観光情報などを扱う。昨年末に開設され、3月までは無料でコンテンツを配信する予定だ。12月31日のオープニング時には、りんけんバンドのライブが生中継され、その模様は現在も300kbpsのオンデマンド配信で見られる。また、1月26日にも、りんけんバンドのライブ中継が予定されているという。

 ライブをインターネット中継するものとしては、12月からぴあが試験サービス中の「@LIVE PIA」がある。現在、新宿LOFT、チキンジョージなど5つのライブハウスを対象にライブ中継を行なっているほか、放送済みのライブについてもオンデマンドで見られるようになっている。ストリームはMODEM/ISDN(45kbps)、CATV/ADSL(150kbps)の2種類。本サービスでは、有料化される予定だ。

 ビデオクリップについては、音楽情報サイト「LAUNCH JAPAN」などでブロードバンドへ対応してきている。Real Player向けでは28kbps、56kbps、128kbpsの3種類だけだが、Windws Media Player用にはこのほか300kbpsのストリームが用意されている。

 参考までに紹介すると、海外のライブ中継サイトでは、国内に比べてより高速なストリームが用意されているようだ。例えば、ロック/ポップス系のライブ中継サイト「hob.com」では、人気アーティストのライブについては有料配信を行なっているが、100kbps、300kbpsに止まらず、650kbpsというストリームも用意されていた。逆に、ナローバンドの28kbpsと56kbpsは無料という仕組みだ。

■CHEREN.TV
http://cheren.net/

■@LIVE PIA
http://www.pia.co.jp/live/index.html

■LAUNCH JAPAN
http://www.launch.co.jp/

■hob.com
http://www.hob.com/

●ニュース

 地味なジャンルかもしれないが、ニュースサイトにおいてもブロードバンド化は確実に進んでいる。ニュース映像をネット接続で見たいかどうか?という疑問があるのは確かだろう。しかし、テレビ局や新聞社といった大きな枠組みから脱し、ジャーナリスト個人の色を打ち出したり、専門分野に特化してニュースを扱えるなど、一般のテレビ放送には求められない側面も持っている。

 「ビデオニュース・ドットコム」は、ビデオジャーナリストの神保哲生氏が主宰するニュース専門のインターネットテレビ局。世界各地のビデオジャーナリストによるレポートやインタビュー番組を提供している。50kbpsと100kbpsが中心だが、一部の番組では300kbpsも用意されている。

 一方「Bloomberg TELEVISION」は、世界の金融情勢やビジネスニュースを専門に扱う「Bloomberg co.jp」のCSチャンネル。これが、インターネットのウェブサイトでも、24時間日本語によるライブ放送を行なっている。Real PlayerとWindws Media Playerに対応しているが、Windws Media Playerのみ300kbps用のストリームが用意されている。

■ビデオニュース・ドットコム
http://www.videonews.com/

■Bloomberg co.jp
http://www.bloomberg.co.jp/

●ISPのブロードバンドサイト

 昨年後半からは既存の大手ISPでもADSL接続への対応が進み、その結果、当然のこととして会員向けのブロードバンドコンテンツが不可欠となった。BIGLOBEや@niftyが、ブロードバンドユーザー用のポータルサイトを開設している。ただし、これらはブロードバンドというよりも、既存のストリームコンテンツやゲームなど比較的容量の大きいコンテンツを集めているに止まっているようだ。今後の充実に期待したい。

 一方、ソニーが開設した「Mega-Channel」は、同社の提供する無線による高速インターネットサービス「bit-drive」のユーザーをメインに想定しているだけあって、最初から“高画質インターネット放送”を謳っている。通常の回線でも見られるが、推奨は200kbps以上。編集部で視聴したところ、実測で約1Mbpsに達したものもあった。CSなどで放送されている専門チャンネルなどから、各番組が数分ずつオンデマンドで見られるサービスだ。アニメ専用チャンネルの「ANIMAX」のほか、環境ビデオやCM集など、あまり他では見られないジャンルの映像が提供されている。現在、利用は無料だが、会員登録が必要だ。

■BIGLOBEブロードバンド
http://broadband.biglobe.ne.jp/

■Broadband@nifty
http://broadband.nifty.com/

■Mega-Channel
http://mega-channel.com/

●ストリームコンテンツポータル

 このほか、ストリーミングソフトのガイドページにも、もちろん映像コンテンツのリンク集がある。ただし、まだブロードバンドという括りでは捉えられていないようだ。「リアルガイド」に「ブロードバンド」というカテゴリーがあるものの、紹介されているコンテンツは少ない。

 一方、「Yahoo!ブロードキャスト」の中にある「ブロードバンド」カテゴリーは、コンテンツの種類は少ないものの、なかなか充実している。300kbps以上の環境のユーザー向けに、CSの「食チャンネル」と「北野チャンネル」、オスカープロモーション所属タレントによる「水着ライブショー」と「美女カタログ30」などを提供している。

 なお、Yahoo!ブロードキャストからは、米Yahoo!の「Broadband」カテゴリーへもリンクされている。国内よりも種類豊富な海外のブロードバンド向け映像コンテンツを見るのもいいだろう。

 また、参考までに、海外のストリームコンテンツポータルとして、最後に「IFILM」と「AtomFilms」を紹介しておく。いずれも、個人の映像クリエーターや制作プロダクションが作品を登録できるシステムの映像系コンテンツポータルだ。クオリティが高いものでもせいぜい150~200kbpsのストリームなので、それほどブロードバンドとは言えないが、一時は素人の変な映像が多く楽しめた。今後は、こういった個人的映像もブロードバンド化されていくのかもしれない。

■リアルガイド
http://realguide-jp.real.com/

■Windows Media ガイド
http://windowsmedia.msn.co.jp/home.htm

■Yahoo!ブロードキャスト
http://broadcast.yahoo.co.jp/

■IFILM
http://www.ifilm.com/

■AtomFilms
http://www.atomfilms.com/

(2001/1/22)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]


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