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インクリメントPは22日、同社の電子地図ソフト「MapFan」をオンライン配信する有料サービス「MapFan.net」を開始した。ユーザーが必要なエリアの地図データのみをダウンロードでき、インターネットを通じて最新データに更新できる仕組みを提供する。料金は年額3,200円で、現在Windowsに対応している。
同社ではこれまで、パソコン用のパッケージソフト「MapFan」シリーズと、ウェブサイト「MapFan Web」という2つの方法でMapFanを展開してきた。しかし、パッケージは1年に1回程度のバージョンアップのため最新情報を反映することができない、すべてのエリアを収録するためデータが肥大化する──といった欠点があった。一方、MapFan Webについては、インターネットに接続していなければ閲覧できない、データ容量が大きく読み込みに時間がかかる、バナー広告など地図とは直接関係のない情報も同時に表示される──などの欠点があった。新たに提供するMapFan.netは、これら既存の製品/サービスの欠点を解消するもので、しばらくは3つの製品/サービスを並行して提供していく考えだ。
MapFan.netを利用するには、まずウェブサイトから表示用アプリケーションソフトをダウンロードし、その後、オンラインでアクセスキーを購入する(無料の体験利用あり)。購入後は、1年間の期限内であれば、必要なエリアの地図データを何回でも自由にダウロードできる。地図データは320ドット×240ドットのメッシュ単位で管理されており、初めて利用するエリアおよび縮尺のメッシュについては、表示する際にサーバーからダウンロードされる。一方、一度表示したものについてはローカルにキャッシュされ、インターネットに接続していなくても表示可能。ただし、キャッシュ済みのエリアについても、サーバー上にさらに新しいデータがあれば、その差分のみが自動的にダウンロードされるようになっている。
同社では、MapFan.netの提供に合わせ、オンラインでの利用に最適化した地図フォーマット「iフォーマット」を新規に開発した。従来のフォーマットに比べて容量が軽くなっており、MapFanパッケージ版の地図データが3GBもあったのに対し、iフォーマットでは1GB以下に抑えられているという。また、地図のクオリティについても改善されており、より紙の地図に近い美しい表示になっている。さらに、レンダリングエンジンの改良により、スクロールスピードが2倍程度に向上しているという。
提供される地図は、縮尺が1/6,400,000から1/6,250の11段階については日本全国をカバー。さらに、約750都市については、より詳細な1/3,125と1/1,562の縮尺が用意されており、建物や歩道の形までわかるようにした。また、MapFan Webのデータベースを利用し、最新のスポットについても検索できる。
編集部で実際に使ってみたところ、表示のたびに地図データをダウンロードしていることを感じさせないくらい、ストレスなく表示できた。今回は専用線環境での試用だったが、インクリメントPによると、推奨は56kbps以上。28.8kbpsでも実用上は問題なく、ウェブサイト上の地図よりも明らかに高速だとしている。参考までに、メッシュあたりの地図データ容量は、道路などの密度により異なり、東京都内の平均で2KB以下になるという。
なお、住所や駅、ランドマークなどの検索機能はオンラインでの提供となる。地図自体の表示が高速なだけに、逆に検索結果のレスポンスに時間がかかるのが気になった。同社では、まずオンラインで検索した後、そのエリアの地図をダウンロード、次回からローカルで表示するという使い方を想定しているという。一度表示したエリアやスポットについては、ローカルにブックマークとして保存され、検索機能を介さずに表示が可能だ。
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(2001/1/22)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]