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雪の北海道
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開設に併せ、札幌市内で行なった事業説明会で、同社の長谷川純一社長は、日本における事業が好調であることを説明。12月のMediaMetrix調べでは、オンライン書店の分野で11月に引き続き1位で、リーチ率が11月の3.9%から4.5%に増加、ユニークユーザー数は80万人以上に達したと報告した。またオンラインショッピング全体でも、12月はYahoo! Shopingや楽天などに続いて4位に付けているという。一方、11月の開設から募集を開始したユーザーによる書評「カスタマーレビュー」が1万件を超えたことにも触れ、「和書の売上げトップ10書籍にも、いくつかカスタマーレビューで人気を主導した形の書籍がある」と、ユーザーのコミュニティとしての機能が成長している点を強調した。
今回、札幌にカスタマーサービスセンターを開設した理由は、「我々の業務には光ファイバーの敷設が不可欠だが、地方都市では申請しても敷設に数ヶ月かかることもある。札幌はITインフラが整備されており、こういった問題はない。また優秀な人材が比較的に集まりやすい土地柄でもある。行政によるコールセンター誘致や支援のためのプログラムも用意され、理想的な環境」(長谷川氏)からという。「札幌の企業として、IT化の促進や雇用促進、教育機関と提携したインターンシップなどを積極的に行なっていきたい」(カスタマーサービスセンター・谷口修ディレクター)と、地域と密接な関係を持つ姿勢を見せた。実際、今回の開設では、スタッフは道内、特に札幌市からの採用がほとんど。「スタッフはアマゾンでのすべてのプロセスを知っていないとサポート対応ができない」(谷口氏)という理由から、採用後は全員に米シアトル本社での研修を行ない、徹底したトレーニングを実施したという。サービススタッフが全員正社員というのも、コールセンター事業では異例のことだ。
テープカットには在札幌アメリカ合衆国総領事のメザーブ氏、札幌市長の桂信雄氏など、北海道産業界の要人が出席
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長谷川社長(左)と谷口ディレクター
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Amazon.com全体では、現在世界に9つ(札幌含む)のカスタマーサービスセンターを運営、世界的規模で電話・電子メール対応の分散処理を行なっている。日本ではこれまで千葉県市川市の物流センターで業務を行なっていたが、今回の札幌センターで、アジア全体への展開を含めたサービス業務を行なっていく方向だ。サービススタッフは現在約50名で、今後人員を追加し、150名の体制に持っていくという。そのため、現在はセンター内の半分が使われていない状態だ。
カスタマーサービスのプラットフォームはアマゾンの共通プラットフォームを利用しているが、日本ならではのサービスもいくつかある。まずは領収証の発行。「個人のカードで決済したが、社用のものなので会社宛ての領収証が欲しい」という要望が多く、郵送で対応している。また「クレジットカード番号の入力に不安を感じる」という相談も多く、これにはファクスとWebサイトを併用してカード番号を部分ごとに入力する方法を採用。「翻訳本だが、和書と洋書のどちらで買うのが安い?」「あの著者の本が欲しいんだけど」などの質問に併せて検索して回答するケースも多いという。
また、対応時間外にセンター宛てにかかってくる電話は自動応答だが、そのアナウンスに作家やタレントなどの著名人を起用。「ただいま受付時間外です、恐れ入りますが~」というお決まりのセリフのあと、著者が自分の作品をPRする内容を語り、これが好評を得ているという。これまでに郷ひろみ、田口ランディなどが登場し、お正月にはAmazon.comのCEO、Jeff Bezos氏がたどたどしい日本語でアナウンスをするバージョンもあったそうだ。
アマゾンジャパンでは「センター設置を契機に、Amazon.comのカスタマーサービスを浸透させることで、日本のEC全体へのボトムアップを計っていきたい」(長谷川氏)としている。
札幌市中心部の新築ビルがセンターの所在地
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サービスセンター内部。メールでの応対も多いため、中は案外静かだ
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スタッフブースの様子。状況を見て電話応対を含めた24時間体制を目指すという
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(2001/1/24)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]