【業界動向】

デジタル通信技術の礎を築く

情報理論の創始者クロード・シャノン氏が死去

■URL
http://web.mit.edu/newsoffice/nr/2001/shannon.html
http://www.bell-labs.com/news/2001/february/26/1.html

 情報理論の創始者でデジタル回路の数学的基礎を確立した数学者として知られるクロード・シャノン氏が84歳で死去したことが27日、明らかになった。

 シャノン氏はBell Laboratoriesにいた1948年に記念碑的な論文「A Mathematical Theory of Communication」を著し、今日では情報理論として知られるようになった分野を創始したことで広く知られている。この論文の中で彼は「通信の基本的な問題は、一点にあるメッセージを別のもう一点に正確に、あるいは近似的に再製することにある」との考えを表明し、ある情報を送信するのに1と0の組み合わせを送るだけで十分であることを数学的に示した。これはすべて今日のインターネット、光通信、無線通信などのデジタル通信技術の基盤となっている。

 また遡って彼の修士論文「A Symbolic Analysis of Relay and Switching Circuits」はデジタル回路の数学的基盤が1と0で全てを記述できるブール代数にあることを示したもので、これによりシャノン氏は近代的なスイッチング理論の創始者ともなった。ハーバード大学教授のHoward Gardner氏はこの論文について「たぶん今世紀で最も重要で、かつ最も有名な修士論文」と評した。

 戦時中にシャノン氏は暗号に関する研究に携わったが、それにより彼は1949年に「Communication Theory of Secrecy Systems」を著し、単なる複雑なパズルのように思われていた暗号の分野を科学の域に高め、暗号学の基礎を確立した。

 彼は1916年にミシガン州に生まれ、ミシガン大学で数学と電気工学の学士号を、1940年にはMITから電気工学と数学の博士号を同時に取得して卒業している。その後、1941年にBell Laboratoriesに就職、1956年にMITの客員教授、1958年には教授になるも、Bell Labolatoriesとの関係は1972年にまで続いた。

 シャノン氏は独創的な数学の才能と旺盛な好奇心で知られるが、MITを卒業するときには語学で苦労し、ドイツ語の試験を2度受けなければならなかった、というエピソードも残されている。彼はまた著名な発明家トーマス・エジソン氏の遠い親戚でもある。

(2001/2/28)

[Reported by taiga@scientist.com]


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