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斬新な社会人学習を提案する「丸の内シティキャンパス」が4月開講

■URL
http://www.keiomcc.com/
http://village.infoweb.ne.jp/~keiogjk/ (慶應学術事業会)

新しい学習のために工夫された設備。例えば、ここでは円形に集めた机と椅子を…
…こういった小グループでの議論用にすぐ組替えられる
 この4月から、異色の社会人学習プログラムがスタートする。丸の内の一等地で開講される、「丸の内シティキャンパス」(以下MCC)だ。従来のカルチャースクール的な生涯学習とは一線を画すコンセプトと内容で注目を集めている。

 これは慶應義塾大学が100%出資している「株式会社慶應学術事業会」の運営による、新しい形の社会人学習支援プログラムだ。慶應義塾大学は従来、社会人学習に対して慎重な姿勢をとっていたが、リカレント教育(過去に学んだ学問のアップデート)やプロフェッショナル教育の必要性の高まりや、旧文部省の動きを始めとする社会的なニーズを受け、社会人学習へ積極的に対応すべきという状況になっていた。そこで、子会社である慶應学術事業会で、独自の学術事業を展開することになった。その後、都心での展開を計画していたところ、三菱地所株式会社を中心に進行中の「丸の内地区再開発計画」との出会いがあり、この「丸の内シティキャンパス」の設立となった形だ。設立は2000年の夏で、この4月から正式開校となる。

 MCCでは自らを生涯学習とは呼ばず、「フロンティア学習のプラットフォーム」と名づけている。これまでになかった学びあい・教えあう学習スタイルをとる「方法論のフロンティア」、学習の分野で従来行なわれていなかった領域を開拓する「領域のフロンティア」、ネットワーク社会に対応した、新しい学習環境を作り出す「環境のフロンティア」の3点から、学習者の知と感性のフロンティアを開拓する意図があるためだ。
 このコンセプトを実現するため、学習設備から工夫を凝らしている。たとえば椅子や机のほとんどに車輪が付いていて、回転や教室内での自在な移動が可能だ。またワンタッチで椅子に小机を設置できたり、机の一部がポップアップ型のディスプレイになったりという機能もある。さらに、パーテーションで部屋の区切りを変えて使い方を変更したり、壁一面がホワイトボードで、そこに書き込めるという箇所もある。
 こうした機能を利用することで、先生が話す側、生徒が聞く側という壁を作らずに、自在な議論や共同作業を行なおうという狙いだ。もちろん、パソコンなどのIT機器にも対応している。ノートPCと接続し、ホワイトボードに画像を投影できるプロジェクターや、机ごとに設置されたコンセント、さらに床は全面フリーアクセスで、プラスチック光ファイバーが敷き詰められている。将来的にはギガビットネットワークを構築し、MCCからの授業発信も視野に入れている。また各部屋の模様を撮影できるビデオカメラが設置され、補講や記録に利用できるという。

 この一風変わった環境で行なわれるのは、少人数のワークショップを主体とした講座だ。たとえば国際ビジネスの舞台で必要なコミュニケーション能力を実践的に身に付ける「インターナショナルビジネスコミュニケーション」、IT環境を最大限に活用した共同創造作業を開発する「ITコラボレーション」、各分野のプロフェッショナルと積極的な意見交換を行なう「ラーニングチャット」などが予定されている。一方、これとは別に、100~200名の大人数に向けて、各界第一人者による講演会も多数開催する。まずは毎週3回、夕方に、「夕学五十講」と名づけた50回の講演会を開くことが決定している。前者の少人数のクラスは参加する側にも参加意識の高さや積極的な姿勢が求められるが、後者の講演会は気軽に参加でき、企業が社員教育の1つとして利用することも可能だ。
 MCCでは「まずは実践して、やってみた成果から新たな手法を開拓していきたい。社会人のニーズに合わせたものというより、ここで新しいことを提案していくことで、社会人学習の発展に寄与したい」(慶應義塾大学助教授・MCCエグゼクティブプロデューサー 妹尾堅一郎氏)としている。

(2001/3/6)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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