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「汎用JPドメインを登録したいのだが、いったいどのレジストラを利用すればいいのかわからない」──。先月22日に申請の受付がスタートするや否や、汎用JPドメインの管理業者(レジストリ)である日本レジストリサービス(JPRS)には、ユーザーから問い合わせのメールや電話が殺到した。
JPRSからドメイン登録代行業者(レジストラ)として認定を受けた「指定事業者」は約400社にも上る。ドメイン登録サービスの向上を狙ってレジストラ業務を広く開放、自由競争を促しているわけだが、それが逆にユーザーを困惑させてしまった。レジストラによっては受けられるサービスが限られていたり、提供条件が限定されているなど、誰もが400社から自由に選べるという状況ではないのだ。
特に今回は優先登録申請期間ということで、受付は3月23日までと限られている。締切が迫る一方で、思うようなレジストラが見つけられないユーザーが、JPRSの窓口に殺到するのも無理はない。現在も、同社に寄せられる問い合わせのかなりの部分がこのような内容で占められており、電話がつながりにくくなるなど、対応もままならない状況が続いているという。
●ユーザーが戸惑う3つの要因JPRSのウェブサイトに掲載されている「指定事業者名簿」のリンクを辿ってレジストラ各社のページを見ると、ユーザーが戸惑うのもうなずけるだろう。その要因は、大きく分けて3つある。
・ウェブサイト上でサービス内容をきちんと紹介しているレジストラが少ない
編集部でざっと確認した限りでは、ドメインの登録サービスを提供していること自体、明記されていないところがかなり多い。指定事業者には認定されても、実際にはサービスを提供していないのではないかと思われるところが、半数ぐらいはありそうな感触だ(指定事業者自身はサービスを提供しておらず、別会社にサービスを委託していたり、代理店経由でサービスを提供している事業者もある)。
・優先登録の「区分」によっては、サービスで取り扱っていない場合がある
一般の先願主義による登録に先がけて申請を受け付けている優先登録は、CO.JPなど既存のJPドメイン登録者が同じ文字列を優先的に登録できる「第1区分」、日本国内で登記されている会社名や登録商標などを優先的に登録できる「第2区分」の2つに分かれている。このうち第2区分については、受付時に商標登録番号などの確認が必要となり、レジストラにとっては余計に手間がかかる。そこでこれを嫌ってか、第2区分の登録を扱わないレジストラが実は少なくないのだ。
・サービスの対象が既存の顧客のみというレジストラが多い
指定事業者として認定されているレジストラは、「お名前.com」や「NAME 24」などの専門のドメイン登録サービスを用意しているところとは限らない。ISPやレンタルサーバー系のレジストラでは、自社サービスの顧客向けに、もしくはサービスと組み合わせてドメイン登録サービスを提供しているところが多い。
もちろん、すでにその事業者のサービスを受けているユーザーであれば問題ないが、ドメイン登録のみを新規で利用したいというユーザーは利用できない。
このように、受けられるサービスの範囲や提供条件が錯綜して、「誰もが、どのレジストラでもサービスが受けられる」という状況にはなっていないわけだ。
●レジストラの絞り込みしかし、逆にこれらのポイントを裏返せば、サービスを比較する際に検討対象となるレジストラは絞られてくるだろう。
1)ウェブサイトで十分な情報提供を行なっているか
インターネットのドメイン登録サービスなのに、ウェブサイト上でサービスを紹介していないようでは、一般向けのレジストラとは言えない。特別な事情がない限り、候補から外してしまっていいだろう。
2)「第2区分」をきちんと受け付けているか
第2区分は商標などとからんでくるだけに、現在、申請を考えているユーザーはかなりの数に上ると考えられる。ところが、優先登録の期限は3月23日と差し迫っている。次は、この区分を取り扱っているレジストラを抽出することになる。
また、第2区分の申請者にはもちろんだが、その他のユーザーにとってもこれは重要なポイントと言える。なぜなら、手間のかかる第2区分を扱っているということは、それ相応の体制でドメイン登録サービスに臨んでいるということであり、今後、維持・管理サービスを受けていく上では大きな判断材料となるはずだ。
3)誰にでも広く提供されているサービスか
これは、ユーザーがレジストラの他サービス(専用線やレンタルサーバーなど)を利用しているかどうかで選択肢が分かれる。
a)レンタルサーバーなどを利用しておらず、利用する予定もない場合
当然ながら、顧客限定のレジストラは候補から外れ、上記3)の条件を満たすレジストラを選ぶことになる。b)レンタルサーバーなどを利用している場合、もしくは利用する予定がある場合
まずはその業者が汎用JPドメインのレジストラかどうかを確認するのがいいだろう。同じ業者をまとめて利用することで窓口が一元化される、割引料金が適用される(中には無料で提供してくれるところもある)──などのメリットがあるため、その場合は必ずしも上記3)の条件を満たすレジストラである必要はない。
一方、その業者がレジストラでなかった場合や、今回はドメイン登録だけを行ないたい場合は、3)の条件を満たすレジストラを選ぶことになる。
さて、編集部ではこれら3つのポイント──1)ウェブサイトで十分な情報提供を行なっていること、2)「第2区分」も受け付けていること、3)誰にでも広く提供されているサービスであること──を条件に、主なレジストラを記事末にリストアップした。レジストラ選びの際に参考にしていただければ幸いである。
また、上記の3点以外にも、レジストラ選びにあたっては、次の点にもあわせて注意されたい。リストには、これらの項目も掲載している。
4)受付期間
第1区分、第2区分ともに優先登録の申請期間は3月23日までとなっている。しかしこれは、JPRSにおける受付期間。レジストラでは通常、この数日から1週間程度前に受付を締め切ってしまうところが多い。特に大手業者では締め切りが早めに設定されているため注意が必要だ。
5)料金
料金が安いか高いかだけでなく、登録料のほかに事務手数料が発生するのか、登録料には初年度の維持費が含まれるのか──といった料金の体系も確認する必要がある。
維持費については、登録料に1年分が含まれており、2年目以降に発生するというのが一般的。まだ登録が始まったばかりのため、明記していないところが多い。一方、月単位の維持費設定により、登録が完了した時点から維持費が発生するというところもある。その場合、月額は数百円でも、年間に換算するとかなり高額な部類に入ることもある。
さらに優先登録申請においては、ドメイン登録料のほかに、「事前申請手数料」が発生する。これは、商標などを根拠とした申請を判断するための時間や手間、抽選などの手続きに当てられるもので、申請したドメインが取得できなかった場合にも返金されない。
一方、登録料については、取得できない場合どうなるのか確認する必要がある。全額返却(もしくは請求しない)というのが一般的だが、一部しか返却されないレジストラもあるようだ。
指定事業者は400社にも上るため、現時点ですべてをチェックすることはできなかった。ここに挙げたものはそのうちの一部であり、編集部で確認がとれたものだけであることをお断りしておく。ただし、今後も確認がとれしだい、リストを更新していく予定だ。
■主なレジストラ一覧 (3/15更新 1件追加)なお、JPRSによると、指定事業者に認定されるには審査はあるものの、実際にサービスを開始する時期まで規定されているわけではない。また、サービス項目についても、現状では指定事業者任せになっているという。実際にレジストラ各社が提供しているサービスの内容までは、JPRSでもすべて把握しきれていないのが実状だ。JPRSでは現在のところ、取り扱い申請件数の多い主なレジストラについて、サービス項目の一覧表をウェブサイト上で公開している。
■日本レジストリサービス(2001/3/7)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp / okada-d@impress.co.jp]