【業界動向】

ドメイン名は商品名か? ~経済産業省がパブリックコメントを募集

■URL
http://www.meti.go.jp/feedback/data/i10305fj.html

 現在、経済産業省が実施中の「『不正競争防止法の一部を改正する法律案』に対するパブリックコメントの募集」が物議をかもしている。この改正案は、現行法ではドメイン名の不正取得などの問題について十分な対応ができないため、国際的なルールを踏まえて対応するための法整備を目指して提案されたものだ。先週末に各省庁に通達され、3月6日から意見募集を開始しているが、この内容が問題となっているのだ。

 改正案では、まず不正競争防止法の「商品等定義」に、ドメイン名を加えることを提案している。募集資料では「第2条第1項第1号の『商品等表示』に該当し得るものの例示に、ドメイン名を追加する」と書かれている。この「商品等表示」は、現行法では「人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するものをいう」と定義されている。つまり、改正によってドメイン名が商品名と同じ扱いをされる可能性が出てくる。またJPNICが定めたJPドメイン名紛争処理手続のベースである“ドメイン名vs「商標その他表示」”という枠を超え、“ドメイン名vs商号”、“ドメイン名vsドメイン名”という訴えが登場する可能性もある。
 さらに、ドメイン名については以下のように定義している。

「インターネット(電気通信の伝送路を自動的に選択する機能を有する設備を用いて多数の電子計算機を電気通信回線で相互に接続した世界的規模の情報通信網をいう。以下同じ。)において、人又は商品若しくは営業を識別するために用いられる文字、番号、記号その他の符号又はこれらの結合であって、インターネットに接続した個々の電子計算機を識別するために割り当てられる番号、記号又は文字の組合せに対応するものをいう。」
 これでは、URLのどこまでをドメイン名として定義するのかがはっきりしない。通常のドメイン名紛争で対象となっている第3ドメインだけでなく、登録者が設定できるサブドメイン、ひいてはURL全体もドメイン名として扱われ、不正競争の対象とされる見方はできないだろうか? また、上記の「インターネット」の定義では、クローズドなネットワークも該当する可能性もある。

 この改正案は、旧通産省の産業構造審議会情報経済部会が2000年8月に行なった「産業構造審議会情報経済部会第1次提言(案)に対するパブリックコメント」へ寄せられた意見を考慮し、まとめられたものだという。この時のパブリックコメントに対する見解として、情報経済部会は「ドメインネームと商標等の抵触の問題については、裁判外紛争処理手続きの運用状況や国際的な動向等をふまえつつ、法的ルール整備の必要性について健闘したい」と返答している。今回の改正案がこの見解を踏まえたものといえるかは、意見が分かれるところだ。社団法人日本インターネットプロバイダー協会に聞いたところ、今回の改正案を「あまりに性急、かつ強引な提案」として、正式な抗議も検討しているという。
 「『不正競争防止法の一部を改正する法律案』に対するパブリックコメントの募集」は、3月12日まで電子メール、ファクス、郵送で受け付けている。

(2001/3/7)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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