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【イベントレポート】

“ビジネスモデル”を考えるシンポジウム開催

■URL
http://www.nikkan.co.jp/eve/01internet&bmodel/index.html

 14日、東京都内のホテルで「インターネット時代のビジネスモデル」をテーマにしたシンポジウムが開催され、「ビジネスモデル特許の現状と課題」と題したパネルディスカッションが行なわれた。

パネルディスカッションの様子

 “特許”と言えば、かつては“技術”が対象とされていたが、インターネットビジネスの拡大にともない、現在では“ビジネスモデル”に対しても特許が認められるようになってきている。特許庁審判部主席審判官の扇谷高男氏によると、「国内でも2年ほど前から“ビジネスモデル特許”への関心が高まっている」としており、「1万件を超えるビジネスモデル特許が、1年後には公開されるのではないか」という状況だ。出願者は日本のコンピュータ/ソフトウェア関連の企業のほか、米国の企業や大学、個人なども日本の特許庁に出願しているという。

 さて、こういったビジネスモデル特許の出願増加にともない問題となるのは、どこまで特許として認めるかという基準だが、これについては日・米・欧の専門家により検討が進められており、各国で基準は異なるものの、「既存のやり方をインターネットでやるだけのものは特許として認めない」という方針が固まりつつあるという。

 このようにビジネスモデル特許が隆盛となった背景を、モノリス代表取締役社長の秋吉仰三氏は「ブレークスルーとなる新技術がなかなか出ない中で、他社との差別化のために、マーケティング的な意味あいでビジネスモデル特許が出されている」と説明。たとえ特許が取得できたとしても、技術にサポートされていなければ事業化はできないため、「技術オリエンテッドだということを、もっと明確にしないといけない」と指摘する。

 ビジネスモデル面にだけ注目が集まっていることに対しては、千葉大学工学部講師の豊田正雄氏も「少し行き過ぎの感がある」とし、ビジネスモデル特許は「広い意味でソフトウェア特許のいちジャンル。新しいビジネス方法そのものが特許になるわけではない」と指摘。今後は「技術的な裏付けをどうとるか」という点が重要になると強調する。その意味で、特にインターネット技術については、日本よりも海外の技術情報に配慮する必要があるとしている。

展示会場の様子

 一方、実際にビジネスモデル特許に取り組んでいる企業側の現状はどうなのだろうか。NEC知的財産部担当部長の高野孝一氏によると、同社は2年ほど前からビジネスモデル特許への本格的な対策を開始。今のところ、同社はビジネスモデル特許がらみで訴訟はないとしながらも、やはり事業に対する影響は小さくないようだ。まず、ビジネスモデル特許が「個人の発明から出されている例が多いのではないか」としており、これまでのように企業間でクロスライセンスを結ぶという解決手段が使えなくなり、一方的にライセンス料をとられる可能性が出てくるという。また、逆に自社特許の権利を行使する立場では、「差し止めを請求しづらい」という。これは、ビジネスモデル特許の適用が広範囲に及ぶため、差し止めに踏み切ったということが営業的なマイナスイメージにつながるからだ。いずれにせよ、ビジネスモデル特許は「拡大解釈の懸念」が起きないよう、一般にも認識を浸透させる努力が必要だとしている。

 なお、シンポジウムは、日刊工業新聞社と毎日新聞社の主催で同日より開催されている「インターネット&ビジネスモデルEXPO」の併催企画として行なわれたもの。同EXPOは、インターネットのビジネスモデルに的を絞った展示会で、池袋のサンシャインシティで16日まで開催される。入場は無料。今回が1回目の開催となるため、まだ規模は小さく、出展企業も13社に止まっている。

(2001/3/14)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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