【業界動向】

Amazon.comの1-Click特許は有効か?~さまざまな類似先行技術が報告される

■URL
http://www.bountyquest.com/infocenter/1click.htm
http://www.oreillynet.com/pub/a/patents/2001/03/14/bounty.html

 米O'reilly&AssociatesのCEO・Tim O'Reilly氏は「さまざまなビジネスモデル特許が技術開発の芽を摘んでおり、特許法の意義に反している」とかねてから主張してきた。そこで、問題となる特許の先行技術を多くの人で探し、探し出した人に賞金を与え、そのデータを共有することで実質的に特許を無効にできると考え、Webサイト「BountyQuest」を開設した。

 O'Reilly氏は2000年の10月に有名なビジネスモデル特許であるAmazon.comの「1-Click特許」の先行技術を探して欲しい、との声明文をBountyQuestに投稿したが、その結果がこのほど明らかになった。

 結論から言えば、1-Click特許の無効を主張できるような全く同等の先行技術はなかった。しかし、O'Reilly氏は「ぴったり一致する優勝者はいなかったが、1-Click特許のすべての請求項に極めて似ている先行技術を見つけることができた」と語る。1-Click特許に関してはAmazon.comがBarnes&Nobleを相手取って訴訟を起こしたために、多くのデータが裁判で争われているが、興味深いことに今回のコンテストで発見された30の先行技術の中には、米国特許庁も、Amazon.com、Barnes&Noble双方の弁護士も見つけていなかったものもあった。同氏はこれによってAmazon.comが特許権を無理に行使するのを押しとどめることができるのではないかと期待している。

 BountyQuestの試みは、特許弁護士が検索する一般的なサーチエンジンやデータベースに載っていないような外国の文献やオフラインの情報も駆使できるという点で興味深いものだ。また、今回の結果では、米国特許庁でも見つけられなかった先行技術を見つけられたことで、先行技術の調査が如何に困難か、ということも明らかになったと言えよう。同社ではここで発見された情報は、米国特許庁、発明家、弁護士、裁判所に自由に利用して貰いたいと考えている。

(2001/3/15)

[Reported by taiga@scientist.com]


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