【リサーチ】

「Webの時代は終わった」と米Forrester Research

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http://www.forrester.com/ER/Press/Release/0,1769,567,00.html

 米ハイテク調査会社のForrester Researchは27日、Webはインターネットの普及段階において大きな役割を果たしたものの「ブラウザーに縛られたWebの時代はもはや終わった」との見方を明らかにした。今後起きる変化についてForresterは“実行可能なNet”と“拡張されたNet”の2つが鍵となる「X Internet」の時代になるだろうと考えている。

 Webの問題点についてForresterの会長兼CEO、George F.Colony氏は「ニュース、スポーツ、天気予報が静的なWebページに表示されているのは、実質的に紙に表示されているのと同じ。新しいメディアに参加しているというよりは、埃だらけの図書館で本を読んでいると言ったユーザー経験しか提供できていない。今や目新しさが薄れた結果、企業幹部たちや一般消費者たちは新聞やテレビを見ることに戻りつつある。結果的にネットは我々の実世界の一部と成りえなかったのだ」と批評した。

 その結果、第1段階として「実行可能なNet」が登場する。これはインターネットの利用者がネットを通して使い捨てのプログラムを通してリアルタイムに双方向のメディアを経験するというものだ。これまで静的だったWebサービスと比べて、この段階に突入するとネットサービスはユーザーと会話するような形となる。これについてForresterの研究部長で主幹アナリストのCarl D,Howe氏は「(現在の状態は)テレビの初期の時代にアナウンサーが画面に写ってただラジオと同じように文章を読みあげていたのと少し似ている。しかし、実行可能なアプリケーションはユーザーがネットをもっと娯楽性にあふれ、ユーザーを関与させるような経験をさせることができるだろう。例えば企業のバイヤーが『DOOM』(オンラインゲーム)のようなユーザーインターフェイスのバーチャルマーケットプレイスをナビゲートして、バイヤーが自分が欲しいものを単に撃ち落とすだけで買うことができることを想像してほしい。これは今日のWebからは考えないほどの変化だ」と説明した。

 このように実行可能なネットが台頭した後の段階として「拡張されたNet」の時代となる。Forresterは、この段階がインターネットに接続されたデバイスやアプリケーションが実世界を感じ、分析し、コントロールする時代になると予測している。安価なチップ、世界規模のインターネットのバックボーンによって、ほとんどすべてのデバイスがインターネットにつながり、その結果としてインターネットデバイスの数は2010年までに現在の1億から140億にまで増大すると予測している。

 この変化についてHowe氏は「拡張されたインターネットデバイスは何が起こっているのかについてリアルタイムの情報を提供してくれ、企業が自分たちのビジネスをコントロールするためのノブやレバーの役割を果たすだろう。カリフォルニアにあるデータセンター企業は電力会社と顧客双方からエアコンの電力消費とその電力需要のピークに関する情報を得て、両方合わせてコントロールすることができるかもしれない。そしてそれら全てはインターネットデバイスによるものだ」とコメントした。

(2001/5/18)

[Reported by taiga@scientist.com]


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