【新技術】

米OnlinePrivacyGuard、“完全に匿名”で買い物できる技術のベータテスト開始

■URL
http://www.onlineprivacyguard.com/

 “完全に匿名”でオンラインショッピングができる技術を米OnlinePrivacyGuard社が開発し、5日より大規模なベータテストを開始することを明らかにした。

 オンラインショッピングをする際には、住所氏名やクレジットカード番号など重要な個人情報を店に渡すことになり、多くの人がその不安からオンラインショッピングに抵抗を感じているとの調査結果が複数の調査会社から出されている。米国政府もこうしたオンラインプライバシーの問題に強い関心を寄せるなど、大きな問題になっている。通常は企業ポリシーを明記し、第三者に認定してもらう方法をとって顧客に安全性を保障しているが、これには拘束力がない。完全に匿名で買い物が出来る技術がこのベータテストによって認知されれば、B2C市場に大きな影響を与える可能性がある。

 OnlinePrivacyGuardが開発した技術「GOPAN」は、これまでのようにデータをまとめて数学的に暗号化するのではなく、むしろ住所氏名といった個人情報をあたかもシュレッダーにかけたかのように細分化し、その上で細分化されたそれぞれの情報に架空の別の名前(エイリアス)をつける。エイリアスと細分化された本当の情報には対応関係が付けられ、それらもまた別々に保存される。「架空のデータの細切り」は、それぞれ全く別々のデータベースに保管されて、これまでのように一つのデータベースに一人分の個人情報がまとまって保存されることがない。しかもそれぞれはエイリアスでしか認識できず、元の情報が分からない。その結果としてショッピングをするとしても、店側は顧客の住所氏名などを知ることができないことになる。また、OnlinePrivacyGuard自体も個人情報がバラバラにされて保存されているため、まとまった形で個人情報を知ることはできない。結果として顧客のプライバシーをほぼ完全に守ることができる、とOnlinePrivacyGuardでは説明している。

 この匿名の顧客に対して商品を発送する際には、店側は顧客の郵便番号とOnlinePrivacyGuardが発行する暗号化されたバーコードを商品に張り付けるだけで、顧客の住所を知ることができない。運送会社は郵便番号にのっとって配送を行ない、末端の配送先で暗号化されたバーコードをOnlinePrivacyGuardのサーバーにアクセスすることによって復元する。結果として末端の配送員しか顧客の住所を知ることはできないが、末端の配送員は買い物の中身などを知ることはもとよりできない。

 しかし、これでは店で買い物をしてくれた顧客に対するマーケティング活動ができない。それでOnlinePrivacyGuardでは顧客の個別の情報を店が知ることなく、匿名を守ったままで顧客に対して接触できる方法を別に用意している。

 このGOPAN技術は、これまで2回のテストによって機能が確認され、カリフォルニア大学の数学の教授によって技術の安全性が確認されたと同社では説明している。そして今回一般に広く公開された形でオンライン店舗と顧客双方に対してベータテストに参加する機会を設けた。完全にサービスを始めるのは今年の秋頃になるものと思われる。

(2001/6/6)

[Reported by taiga@scientist.com]


INTERNET Watchホームページ

INTERNET Watchグループinternet-watch-info@impress.co.jp