【調査結果】

「ネットの核ではトラフィックのバーストは起こらない」~米Bell研究所

■URL
http://www.lucent.com/press/0601/010606.bla.html
http://cm.bell-labs.com/cm/ms/departments/sia/InternetTraffic/index.html

 米Lucent Technologiesの研究開発部門であるBell研究所の4人の研究者たちは、インターネットに流れるトラフィックに関する研究を行なった結果、これまで考えられていたものとは全く異なる知見を得られたことを明らかにした。

 この新しい発見は、インターネットの末端に位置するLANでは時折トラフィックの量が急激に増大するいわゆる「バースト」が生じるが、インターネットのトラフィックが集中する核の部分ではバーストがほとんど起こらず、規則正しいトラフィックが続いている、というものだ。

 これまでインターネットに流れるパケットのトラフィックはバーストが起こりやすいもので、実際LANなどの末端においては激しいバーストが観測されてきたことから、ネットワークの流れが集まってひとつになるネットの核となる部分においては、そのバーストの大きさが極めてて大きくなると予測されてきた。そこでネットワークの中心に位置するルーターの設計においては、巨大なバーストを処理するために大きめのバッファを用意することが一般的だった。

 しかし今回の発見はこれまでのこうした考え方とは全く異なるものであり、ネットワークに接続するコンピューターの同時接続量が増大すればするほど、インターネットの中心部分ではパケットのトラフィックがランダム性を増し、規則正しく、滑らかに流れてゆくというのだ。

 この研究を実際の製品に生かすにはまださらなる研究が必要とされるが、将来的にはパケットバッファの容量をより小さくしたり、インターネットに流れるパケットのトラフィックを効率よく扱うための新たな方法の発見につながる可能性がある。

 この研究を行なったのはBell研究所の3人の統計学者と1人の計算機科学者で、Bell研究所と5つの大学に流れる高速ネットワークのパケットトラフィックのデータを数百GB収集した。彼らはこれを「S-Net」と呼ばれる独自のトラフィック計測解析ソフトウェアシステムで解析した。さらにこの解析結果を「PackMine」と呼ばれるパケットトラフィックをシミュレーションするための独自のソフトウェアで実証した。これらの研究結果の詳細はBell研究所の中のホームページで関係する論文と共に見ることができる。

(2001/6/7)

[Reported by taiga@scientist.com]


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