|
■URL
http://interop.sbforums.co.jp/
「ブロードバンド時代、ここから始まる。」をテーマに開催された今年の「N+I」だが、需要密度の低いエリアでは商業ベースのサービスが難しく、地方においてはブロードバンド時代はなかなか始まりそうにない。ところがその一方で、大都市にも負けないくらい早くから積極的にブロードバンドに取り組んでいる事業者もいる。
7日に行なわれたコンファレンス「ブロードバンドアクセスの社会的/経済的インパクト」では、大都市以外にありながら比較的早い時期からDSLなどのサービスを展開しているコアラ、TOKAIグループ、長野県協同電算の3社の取り組みを報告。その後、司会を務めた東京めたりっく通信の小林博昭氏から「地方では必要としているところになかなかブロードバンドサービスが届かない。この“デジタルデバイド”をどうすれば解決できるか?」という問が3者に投げられた。
発言を求められるやいなや、コアラの尾野徹氏は「どうしようもない」と即答した後、これまでの体験から得た方法として、「実験で日本初のことをやれば、お金が出る」ことを挙げた。同社はパソコン通信の時代からADSLサービスの導入に至るまで、常に「何か新しいこと」を模索しながら発展してきた。そのため、先進的な取り組みに対しては国からの補助金を獲得することができたという。
しかし、そこから先、商用化となると「東京で始まってしまう」ということであり、裏を返せば、地方では商用ベースのブロードバンドサービスが難しいことに他ならない。「最近は“日本初”をやるのにも、ネタが尽きてきた」という尾野氏だが、「ブロードバンドで何ができるのか、どのように使うかを考えることが重要」と強調する。
TOKAIグループの早川博己氏は、「時間の問題」と見ている。
静岡県を中心に事業を展開するTOKAIグループは、1998年にCATVインターネット事業を開始した後、さらに2001年に入ってADSLサービスをスタート。ADSLについては積極的なエリア拡大を掲げており、県内の約80%の世帯をカバーする予定だ。しかし、提供もしくは予定されているのは東海道沿線の人口密度が高いエリアのみで、伊豆半島の中央や長野/山梨の県境に近いエリアまでは含まれていない。「過疎の地域にはDSLの投資は行ないにくいため、現段階では展開を考えていない」という。
ただし、「今はDSLは資金的に厳しい」ために提供できないとしても、収支が安定する2003年ごろには提供できるようになると見込んでおり、「今やらないからといって、将来もやらないということではない」と強調する。また、「2003年に実現する自治体のIT化がどういう形で進められるか」も、地方のデジタルデバイド解消の大きなカギになるとしている。
長野県協同電算の佐藤千明氏は、「地域リーダーが先頭に立っているところが、補助金を獲得してくる」とし、「そういう首長を選ぶことですね」と冗談混じりに指摘する。しかし、補助金に頼らざるをえないということは、商業ベースでの展開はまず不可能だということであり、ブロードバンドのユニバーサル化のためには税金を投入すべきだという。それも、「民間資本の論理だけでサービスが提供できる都市ではなく、地方へ」と訴えた。
(2001/6/8)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]