INTERNET Watch Title
Click

【Networld+Interop 2001 TOKYO レポート】

ワールドアクセル、IP電話をP2Pで実現するルータ

■URL
http://www.worldaxle.com/
http://www.notasip.com/

大きさは210mm×153mm×33mm。一般的なブロードバンドルーターと変わらない

 ワールドアクセルは、7月に発売を予定しているIP電話ゲートウェイ「Vox-Witch」を出展した。VoIP技術として「NOTASIP(Nothing Other Than A Simple Internet Phone)」というプロトコルを採用しており、これを導入したユーザー同士であれば、センターサーバーなどを必要とすることなく、P2PでIP電話を実現できる。

 NOTASIPは、同社が東京工業大学の太田昌孝講師らとともに研究を進めてきた技術で、IEEEでのRFC化へ向けてすでにインターネットドラフトも公開されている。通話パケットを送信する仕組みにSDP(Session Description Protocol)を用い、SDPをURL形式で記述する「Stream URL」という独自の方式を使っている。通話を行なうシーケンスがきわめて単純で、VoIP技術としてはもっともシンプルなプロトコルだという。

 さて、IP電話ゲートウェイと呼ぶと特殊に思えるかもしれないが、Vox-Witchは、 家庭用ブロードバンドルーターにIP電話機能を付加したものと考えるとわかりやすい。WAN側とLAN側の10Base-Tポートがそれぞれ1つずつ用意されており、NAT機能も備えているため、Vox-Witchに割り当てられた1つのIPアドレスで、複数の端末からのネット接続に加え、IP電話が使えるようになる。

 Vox-WitchのIP電話の機能を使うには、2系統用意されたアナログ電話ポートに既存の電話を接続。その後、内部に搭載された電話帳サーバーにあらかじめ相手のIPアドレスとそれに対応する任意の電話番号を登録しておく。あとは登録した電話番号をダイヤルすれば、対応するIPアドレスをもとに相手のVox-Witchを呼び出す仕組みだ。例えば、ADSLやCATVなどの常時接続サービス加入者であれば、ユーザー同士では電話が掛け放題になる。さらグローバルIPアドレスが使えれば、世界中のユーザー同士との通話が可能だ。

 同社では価格は4万9,800円程度になりそうだとしており、まずは、エンドユーザー向けへの販売を想定しているという。Vox-Witchでは、IP電話の通話自体に課金するという加入者ビジネスが成り立たないわけだ。しかし、すでに常時接続サービスを提供している通信事業者が、付加サービスとして加入者にVox-Witchを貸し出すなどの形態は考えられるだろう。

 ところで、ワールドアクセルの担当者によると「IP電話で110番はかけられるのか?」という質問をよく受けるという。しかし、110番はもちろん、相手が普通の電話ではつながらないため、Vox-Witchには公衆回線を接続するLINEポートも用意。例えばゼロ発信は公衆回線経由の普通の電話、何も付けなければIP電話宛というように切り替える設定が可能になっている。

 このほか同社では、NOTASIPによるWindows用のIP電話ソフト「Yucca for Windows」を無料でダウンロード配布している。スピーカーとマイクが使えるパソコンであれば、Vox-WitchのようなP2PによるIP電話が体験可能だ。6月30日までの限定版のようだが、将来は無料化を検討しているとしている。

(2001/6/8)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp