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■URL
http://www.netcaucus.org/speakers/2001/berners-lee/ (動画もあり)
Tim Berners-Lee氏 (写真は'98年来日時のもの) |
米国議会インターネット政策決定幹部会において13日、Webの開発者として知られるTim Berners-Lee氏がWebの進化の方向性について講演を行なった。
彼はまず、進化の方向性の最も重要なこととして、彼が提唱している「セマンティックWeb」つまり意味づけられたWebについて話した。これはXMLなどのコンテンツのメタデータを使うことでコンピューターが意味を理解する形で情報交換することができるというものだ。彼はその例としてプライバシー保護規格である「P3P(Platform for Privacy Preferences」を挙げた。P3Pが完全に実装されたブラウザーでは、P3Pに対応したWebサイトと“対話”し、ユーザーが設定したプライバシー情報とそのWebサイトのプライバシーポリシーとか合致するかを自動的に判断し、プライバシーを保護した状態でWebをブラウズできるようにする。将来「セマンティックWeb」が実現する世界はこのように信頼によって裏付けられたものとなることが期待されるという。
さらにTim Berners-Lee氏は「自己統制ネットワーク」について言及した。これは例えば、孤立した村同士がポータブルデバイスと無線で相互に通信しあうことで、データを交換しあうワイヤレスネットワーク網ができあがり、そのネットワークが成長するに従って自動的にインターネットに接続するほどの規模に達するというもの。彼はこうしたネットワークが世界的なデジタルデバイドの技術的な解決策となると考えている。このような技術は、電話線が引かれていない地域でも応用できると考えられるだけでなく、共通の言語を持たない人同士が意志を伝え合うためにも役立つのではないかと彼は指摘している。
さらにWebの発展にとって技術が誤って利用されることがないように注意しなければならないことも指摘された。Webは、いつでも普遍的なものでなければならず「特定のサービスプロバイダーが独自の機能を自らの利益のために付け加えてはならない」と訴えた。また、こうした技術の発展によって政府がコンテンツの検閲を行なうのではないかとの指摘に対しては、暗号技術がこの課題に解決策を与えると信じていることを明らかにした。
最後に彼は議会の関係者に対して「法律を作る人々とビットを創る人々」の間の対話を求め、こうした努力こそがすべてのユーザの利益になり、インターネットの進化につながるとの信念を議会に伝えた。
(2001/6/14)
[Reported by taiga@scientist.com]