【業界動向】

米Asynchronyコミュニティーから誕生したソフトが大手流通経路に乗る

■URL
http://www.asynchrony.com/
http://www.pdabomb.com/

 米Asynchronyは19日、米Handangoの子会社Handango Softwareとの提携を発表し、Asynchronyコミュニティーが開発したPalmOS用のセキュリティーソフトをHandangoのレーベルのもとで販売することを明らかにした。

 Asynchronyは、ソフトウェア開発者がオンラインでコラボレーションしながらソフトウェアを開発するためのコミュニティー。それぞれがアイディアを持ち寄り、ソフトウェア開発やアイコンのデザイン、ソフトウェアのテスト、ドキュメント作成、翻訳など得意分野の能力を発揮し、完成したソフトウェアの売り上げから貢献度に応じた“分けまえ”を得る仕組みとなっている。また、Asynchronyは製品をマーケティングし、その売り上げから決められた割合を手数料として受け取る。

 今回Handangoが採用したのは、このコミュニティーから発表された初めてのソフトウェアである「PDABomb Security Platform」。これは、PalmOSの中身を暗号化することでPDAが盗まれたりしたときに貴重な情報が他の人に知られるの防ぐためのソフトウェアだ。これまでもシェアウェアとして販売されており、128bitの堅牢な暗号化機能、高速な復号、ソフトウェアの扱いやすさなどが人気の要因となっていた。

 この両者が提携したことにより、Handangoはこのソフトウェアを「Handango Security Guard」の名称のもとでマーケティングを行ない、同社の流通経路に乗せることになる。今年第3四半期にはHandangoがこのソフトをCompuComやCompUSAなどのソフトウェア小売り業者や関連する40のオンライン小売り業者を通して販売する予定だ。

 この提携についてHandangoの製品管理担当副社長Clint Patterson氏は「PDABomb Security Platformは、我々がPalmOSのセキュリティー分野において最良のものだと感じるだけでなく、2万7,000人の会員を持つAsynchronyの開発者コミュニティーがこのテクノロジーに寄与しているということが、我々が最先端でいられるという安心感を与えてくれるのだ」とコメントし、Asynchronyのコミュニティーに対して敬意を表した。

 Asynchronyは、その創業当時ドットコムバブルの絶頂期にあったが、当時でさえビジネスモデルがうまくいくのかどうか懸念の声が絶えなかった。また、オンラインで大勢の人が集まって商用のソフトウェアを作るということから金銭問題が絡み、結局プロジェクトがうまくいかなかったケースも多い。そうした中から出てきたソフトウェアの第1号が商用化され、ハンドヘルドソフトウェア販売で大手のHandangoと提携したことは、Asynchronyのビジネスモデルに対する保証とまでは行かなくとも、今後に期待を持たせるという意味で大きな意味を持つだろう。Handangoは、PDA向けのソフトウェアを開発しているシェアウェア開発者など4,000社との関係を持っているだけでなく、Palm、Microsoft、Sony、Symbian、Compaq、RIMなど大手各社とも戦略的な提携関係を持っており、Asynchronyコミュニティー全体に今後与える影響が注目される。

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(2001/6/20)

[Reported by taiga@scientist.com]


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