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【レポート】

“Webサービス”実現への課題とは?
ベンダー各社が参加してコンファレンス開催

■URL
http://itpro.nikkeibp.co.jp/seminar/ad/wsj/index.html

 “Webサービス”をテーマとしたコンファレンス「The Web Services Japan 2001」が、24日と25日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜にて開催されている。Webサービスの開発環境やソリューションを提供するマイクロソフト、サン・マイクロシステムズ、富士通などが参加。最新技術の解説や各社製品の紹介のほか、Webサービスの今後の動向について話し合うプログラムが組まれている。主催は、日経BP社「日経コンピュータ」「日経オープンシステム」「日経インターネットテクノロジー」の3誌。

 24日の最後に設けられたブログラムは、「Webサービス実現に向けた課題と国内でのソリューション」と題したパネルディスカッション。パネラーはマイクロソフトの熊谷恒治氏、富士通の上原三八氏、ボーランドの藤井等氏の3名。「日経インターネットテクノロジー」編集長の稲葉則夫氏が司会を務め、あらかじめ来場者から寄せられた質問や疑問に答える形でWebサービスの動向についてディスカッションが行なわれた。

 最初の質問は、「やっと開発ツールが出始めてきたこの時期に、企業はWebサービスに取り組むべきなのかどうか?」。これに対して熊谷氏は、Webサービスが盛り上がろうとしていることは事実だが、全ての企業が取り組むべきということではなく、「まず、(Webサービスによって)どういうアプローチができるのかを考える」ことが重要だ指摘する。「問題は、どんなサービスを提供したいのか」であり、もしそれに適合するツールがすでに提供されているのであれば、サービスのプロトタイプ開発にとりかかればいいとしている。

 ただし、現時点ではすべての企業のニーズを満たすほど開発環境や技術仕様が整っているわけではないようだ。上原氏は、Webサービスについていくつかの問題を挙げた。まず、XMLを使うことでやりとりするデータ容量が大きくなり(CSVの2~10倍程度)、パフォーマンスが出ない恐れがあるという。また、これまでのEDIが専用線ベースだったのに対し、Webサービスではインターネットを介することになるため、セキュリティーや署名といった信頼性の問題も当然考慮しなくてはならない。

 この点について藤井氏は、パフォーマンスがインフラに依存するのは事実だとしながらも、「今とりくむべきことは、(Webサービスが)性能的に満足できるのかどうか、提供したいWebサービスではどういう性能が必要なのか」を含めて判断することだと強調する。

 さて、ネットを介して公開され、企業間で広く利用されることを目指すWebサービスでは、相互接続性が確保できなければ意味がない。実際のところ、相互接続性については大丈夫なのか?

 藤井氏は、Webサービスの要となる「SOAP(Simple Object Access Protocol)」や「WSDL(Web Services Description Language)」といった仕様自体、まだベンダー間で解釈の違いがある段階だと指摘する。しかし、(仕様を)かっちりと決めた上で各社が対応ツールを提供するのは不可能だとしており、「まずやってみて、うまくいかなかったら直す」というプロセスになるという。熊谷氏も、「ドラフトの段階でどんどん実装が始まり、その結果つながらなかった場合もあった」が、ベンダー間でディスカッションしながら解決してくという「今のプロセスはうまく回っている」と述べている。

 しかしながら、枠組みがまだまだ流動的だというのでは、Webサービスに取り組もうとしている企業にとっては大きなネックとなる。現時点の仕様に基づいたWebサービスを開発したとしても、今後も相互接続性が保たれるという保証がないため、その都度作り直さなければならないのではないかという心配がある。

 この点について、藤井氏は「(変更点については)開発ツールで吸収していく」ことになると述べる。すなわち、Webサービスを提供する企業が実際にツール上で開発する部分は「ビジネスロジック」の部分であり、「(相互接続性について)仕様の違いを気にする必要のない環境になるだろう」と見ている。上原氏は、プロトコルの種類やバージョン情報などを入れることで、接続する企業ごとにどのバージョンでやりとりするか設定できるような仕組みがB2BXMLの中にあることを挙げ、Webサービスについても同様の機能が盛り込まれるのではないかとしている。

 このほか、Webサービスのディレクトリである「UDDI(Universal Description, Discovery and Integration)」について、「まったく知らない企業のWebサービスを果たして使うのか?」という疑問も投げかけられた。これについて熊谷氏は、「(そのWebサービスが)信頼するに足るものなのかどうかを保証してくれるビジネスも今後は推進していく必要がある」と、技術的な側面以外の検討課題も指摘した。

(2001/7/24)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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