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【ブロードバンド】

So-net、8月15日より月額2,980円でADSLサービスを提供開始
最大8Mbpsのメニューも月額3,280円で9月から投入

■URL
http://www.so-net.ne.jp/access/adsl/
http://www.so-net.ne.jp/corporation/release/2001/010725.html

 ソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は25日、同社の運営するISP「So-net」において、アッカ・ネットワークスのADSL回線を使用した低料金メニュー「So-net ADSLコース」を新設すると発表した。

 最大速度が下り1.5Mbps/上り512kbpsのサービスを、従来の「さくさくADSLコース」の半額程度(電話共用の「タイプ1」の場合)となる月額2,980円で提供する。さらに、ADSLのフルレート規格であるG.992.1(G.dmt)Annex Cを採用した下り8Mbps/上り1Mbpsの高速サービスも投入。こちらも月額3,280円という低料金で提供する。8月1日より予約受付を開始し、1.5Mコースは8月15日から、8Mコースは9月中旬から順次開始される。

 料金の詳細は以下の表の通り。例えば、電話と回線を共用する「タイプ1」の場合の月額費用は、NTTのADSL回線使用料(月額187円)と合わせ、1.5Mコースで3,167円、8Mコースではモデムレンタル料も合わせて3,967円となる。初期登録料は、9月末まではキャンペーン期間として無料。ただし、NTTの契約料(800円)や工事費(「タイプ1」の場合2,800円)は別途必要となる。

コース月額料金初期登録料モデム/スプリッター料
So-net ADSLコース 1.5M2,980円2,200円買い取り14,800円(USBタイプ)
買い取り19,800円(ルータータイプ)
So-net ADSLコース 8M3,280円2,200円レンタル月額500円

 国内で普及しているG.992.2(G.lite)Annex C規格を採用する1.5Mコースでは、モデムは買い取りのみとなっており、レンタルは設定されていない。「G.lite Annex Cのモデムはかなり近い将来、市場で流通するようになる」(SCNの菊池正郎執行役員)と見ており、「(1.5Mコースについては)ユーザーがモデムを選択する時期に来ている」と判断したためだ。当面は、SCNが用意したモデムを販売する方針だが、他のメーカーの製品についても「接続試験を進めている」(アッカの坂田好男代表取締役社長)としており、ユーザー側で好きなモデムを用意できるようになる見込みだ。

 「So-net ADSLコース」の提供エリアは、アッカのサービスエリア全域。1.5Mコースについては、8月15日のサービス開始時点で全国464のNTT収容局で提供、9月末までに529局に拡大する。8Mコースについては、まず東京23区の20局で開始。10月末までに神奈川県と大阪府を含む100局に、11月末までに東京都下と埼玉県、千葉県を含む224局に、12月以降、北海道や京都府、福岡県などに拡大し、最終的には1.5Mコースと同じ529局で展開する予定だ。その時点で、全国のカバー率は約50%に達するという。

 アッカでは現在、So-netをはじめ7社のISPに対して、G.lite Annex C規格のADSL回線を提供しているが、今回発表された「So-net ADSLコース 1.5M」が低料金だからといって、品質的に従来の回線と差があるわけではないという。一方、「So-net ADSLコース 8M」については、アッカが準備を進めているG.dmt Annex C規格の回線を、ISPとしてSo-netが最初に使用することになる。バックボーンについては、従来からSCNで利用しているNTT PCコミュニケーションズのネットワークを活用する。

25日に東京都内のホテルで開かれた記者会見で。SCNの山本泉二社長(中)、同じく菊池正郎執行役員(左)、アッカの坂田好男社長(右)
 Yahoo! BBの“価格破壊”に対する大手ISP各社の出方が注目される中、So-netがその先陣を切る形となった。So-netが、インターネット接続以外のサービスにも注力しているISPだということを考えれば、今回の低料金ADSLメニューも、Yahoo! BBと同様の収益モデルを想定しているのではないかという見方が成り立つかもしれない。すなわち、接続サービス単独で採算をとるのではなく、その上で提供するコンテンツやECも含めて「総合的なビジネスとしての収益の上げ方」(ソフトバンクの孫正義社長)を目指すというものだ。

 しかし、SCNでは「接続サービスで収益をあげることを目指して動いているのは間違いない。少なくとも採算がとれる見込みの基にやっているし、やっていけるという自信がある」(SCNの山本泉二代表取締役兼執行役員社長)と否定。「今年度末の目標である30万加入まで行けば、収益は出る」としている。

 実際のところ、「So-net ADSLコース」が低料金とはいえ、Yahoo! BBとは月額で1,000円の開きがある。もし本当に「So-net ADSLコース」が接続サービス単独で採算ベースに乗るというのであれば、このあたりの料金帯にADSL接続サービスの採算ラインがあると言えるだろう。

 その価格差によるYahoo! BBとの競争力についてだが、「(ADSLだけでなく)国内207カ所のダイヤルアップAPや海外60カ国以上のローミングサービスも利用できることが多くのユーザーにとってメリット」(山本社長)とアピールする。また、ISP事業に新規参入するYahoo! BBとは異なり、6月末で169万の加入者を抱え、すでにADSLサービスも展開しているSo-netなら「サポート体制にも自信を持っている」という。さらに採用するADSL規格について、Yahoo! BBが採用するAnnex Aでは、ISDNとの干渉問題があると指摘。「日本の“風土”に合ったAnnex C」(坂田社長)であることが、品質面での強みになるとしている。

 なお、イー・アクセスおよびアッカのADSL回線を利用した既存の「さくさくADSLコース」は、今後も継続して提供される。ただし、同スペックの「So-net ADSLコース 1.5M」が半額程度、さらに高速な「So-net ADSLコース 8M」についても「さくさくADSLコース」より安い料金設定となっている。このことを考えれば、「さくさくADSLコース」を選択する必要があるのは、イー・アクセスしか開局していないエリアのユーザー、もしくは「どうしてもイー・アクセスが好き」(SCN広報セクション)というユーザーに限られるだろう。

 すでに「さくさくADSLコース」を利用しているユーザーのうち、アッカの回線で契約しているユーザーは自動的に「So-net ADSLコース 1.5M」に移行されるが、コース変更手続きにより「So-net ADSLコース 8M」に移行することも可能だ。また、「さくさくADSLコース」においてイー・アクセスで契約しているユーザーも、コース変更手続きにより「So-net ADSLコース 1.5M」または「So-net ADSLコース 8M」に移行できる。いずれも変更手数料は発生しない。

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(2001/7/25)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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