【イベントレポート】

市場形成はこれから?「e-Learning WORLD 2001」が開幕

■URL
http://www.cnt-inc.co.jp/elw/

イベントロゴ  日本初のeラーニング関連に特化した展示会「e-Learning WORLD 2001」が、7月26日に開幕した。110社が出展しており、初日から賑わいを見せている。
 会場は特にゾーン分けされておらず、システムやコンテンツ、研修サービスに教材作成ソフトと、異なる性質の出展を行なうブースがランダムに並んでいる。出展内容は大きく分けると“イントラネット向けの企業内研修用システム”、“eラーニング関連サービス・コンテンツのASP提供”、“eラーニング教材の作成支援ツール”、“eラーニング用コンテンツ・教材”などが中心となっている。開催時期が夏休みで教育関連イベントであるにも関わらず、コンシューマー向けの出展はほとんど見当たらず、多くはBtoB、またBtoCでもビジネスユーザー向けの内容だった。出展者側としては、このイベントを通じてパートナー企業や新たな顧客企業との出会いを求める狙いが強いのではという印象を受けた。

 そういったなか、このイベントで新しい発表を行なっていた企業もあった。まずNTT-Xが運営するeラーニング事業の「イーキューブ・ラーニング」の「Global LMS」。これは米Smart Force社による人材マネジメント機能を備えた学習管理システムで、企業がeラーニングと集合研修、実地訓練といったリアルの要素を組み合わせ、効果的な人材育成が可能になるという。8月よりイントラネット向けの販売を開始し、また10月からはASPでの提供も開始する予定だ。

 またマクニカでは、590社以上の導入実績を持ち、米国のライブeラーニング市場(講師と生徒でインタラクティブなコミュニケーションができる、リアルタイムの講義方式)でシェア1位というeラーニングシステム「Centra」シリーズの新バージョン、「CentraOne」を発表した。これはサーバー・クライアント型のeラーニングシステムで、講師による授業をストリーミングしながら教材を配信、参加する生徒は拍手ボタンや「はい・いいえ」を表示するボタンで理解状況を表したり、ボイスチャットで質問・発言を行なえるといった多彩な機能を備えている。
 こうした動画・資料(ホワイトボード含む)・チャットといった3つの要素を組み合わせたライブeラーニングの形態は注目を集めているようで、教材作成ツールからコンテンツまで、似た機能を持つものが会場内の各所で見かけられた。

イリンクスはPalm型プロジェクターでデモを披露
 異色製品としては、イリンクスがPalmOS向けのモバイルラーニングシステム「Xiinoラーニング」を参考出品。コンテンツサーバーとの自動シンクロ機能に対応したPalmOS用次世代ブラウザー「Xiino」(ジーノ)を活用して、通勤・通学時に手軽に学べる環境を提供するという。デモでは英会話学習コンテンツを使って音声や動画、ミニテストといった機能を見せていた。正式な発表は2002年の予定という。

 既存製品でもユニークなものが見受けられた。ソフト・オン・ネットジャパンが出展した「AMS Z!Stream」という製品は「アプリケーション・オン・デマンド」とも呼ばれるもので、WindowsアプリケーションをサーバーからユーザーのPCへストリーミング配信する機能を持つ。ユーザーがWebブラウザーから「AMS Z!Stream」へログインするとアプリが配信され、アプリを終了するとローカルPCからアプリ関連データが削除される仕組みだ。教材不要でeラーニングを導入できる、eラーニング事業者は教材の不正コピーなどの心配がなくなりライセンス管理がしやすいといったメリットがある。すでにラーニングウェア社が「Native World Pro」という英会話トレーニングソフトで「AMS Z!Stream」へ対応しており、今後学校などを中心に導入拡大を図る方向だ。

 また日立ソフトウェアエンジニアリングでは、既存の多地点会議用ソフトウェア「ShareWorksシリーズ」を活用した遠隔教育支援システム「ShareWorksシリーズ Web対応版」を参考出品。オンライン上で相手のWebブラウザーに教材となるWebページを表示させ、マウスやタブレットを使ってWebページ上にメモを加えたりアンダーラインを引ける機能がある。答案の添削や教材の要点解説、案件の共同検討といった場面で利用でき、書き込んだ内容はWebページごと保存可能なため、あとから見直すことも容易だ。今秋に実用化する方向で、同社のプロジェクターとホワイトボードが一体化した「デジタルボード」シリーズと組み合わせての展開を行なうという。

 会場全体を見終わって、eラーニング市場そのものが確立しておらず、またソフト・ハードとも、まだデファクトスタンダード的な存在に欠ける印象を受けた。今回出展されている製品のどれが今後のeラーニング市場で台頭するのか、注目していきたいところだ。
 「e-Learning WORLD 2001」は7月28日まで、東京・有明の東京国際展示場(ビッグサイト)で開催している。

「InterWise」もシェアの高いライブeラーニングツールだ オンデマンドで音声認識機能も配信「Native World Pro」 「ShareWorksシリーズ Web対応版」のデモ

(2001/7/27)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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