【レポート】

Yahoo!BB、本誌記者宅に導入してみました ~その1

■URL
http://bb.yahoo.co.jp/

 正式なサービス開始を9月に延期した「Yahoo!BB」だが、一部ユーザー宅への導入は、徐々にではあるが進みつつある。本誌記者宅でもサービスインのお知らせがきたので、ここでどういったものが送られ、実際つないだ状況は?という体験をご報告しよう。まずはモデム自力設置で申し込んだ記者Aから。

■約1ヶ月で手続き完了


到着したADSLモデム
 導入記に入る前に、自宅の状況を簡単に説明しよう。中野区内の賃貸集合住宅で、家族のものを含めアナログ2回線を引き込んでおり、うち1本はこの3月からe-AccessでADSL接続している(ルーター型)。そこで、音声電話のみに使用していた1回線を使って、Yahoo!BBを導入しようというわけだ。使用ハードはMacintosh G4-466になる。
 さて、実際に導入するまでは、以下のようなステップを踏んでいる。

・6月21日  予約申込み(当初は対象地域外だった)
・7月 3日  「本申込受け付け開始のお知らせ」という題名のメールが到着
・7月 3日  本申込み
・7月20日  以下の内容の無題メールが到着
 「弊社からNTTへ回線名義の確認、並びに局内工事の申請を出させていただきました。現在、弊社ADSLサービスの接続プロセスに入っております。いよいよあなたのYahoo!BBサービスが開通間近です。NTTからの返答結果は近々にお伝えいたします。次のご連絡をお待ちください。」
 ・7月27日 「局舎工事予定日のご案内」という題名のメールが到着。NTTの局内工事日程およびモデムを発送する旨を伝える内容。
 ・7月29日  局内工事完了、開設
 27日に工事のお知らせがあり、ADSLモデムが開通日に届くのかが少々気がかりだったが、28日の午後に「Yahoo!bb配送センター」から宅急便で無事到着した。局内工事の時間がメールに書かれていなかったため、念のため夜を待って、29日の午後11時ごろから自宅での接続作業を開始した。

■さっそく接続、3Mbpsだ!


「ADSL実験室」での測定結果
 到着したキットは、ロゴ入りのADSLモデム本体・スプリッター・ACアダプター・モジュラーケーブル3本・LANケーブル1本、マニュアル3冊という内容。マニュアルは非常に薄い、ごく簡単なもので、内容を見ても各パーツの説明とDHCPの設定くらいしか書いていない。今回はMacでの接続となるが、Windows関連の説明のみで、Macに関する記述は「対応可能です」という注意書き以外は見当たらない。
 ADSLモデム自体は、別回線で使用しているe-Accessのものに比べるとかなり小さい。三分の二くらいの容量という印象を受ける。小型化のためなのか、Yahoo!BBのモデムには電源スイッチがついていない。電源をつなぐと起動し、モデムを切るにはプラグを抜くしか方法がない。

 やや不安になりつつも、とりあえずモデムをスイッチつきのタップに接続。そして電話回線をつなぎ、MacへLANケーブルでつないで、電源を入れてみたら、つながってしまった。全く何もしていないのに。もともとTCP/IPで「IPアドレスを自動的に取得」する設定にしていたが、これほど簡単とは! ちょっと拍子抜けしてしまった。早速、ADSLでの回線速度測定で人気の高いサイト「ADSL実験室」で回線速度を測ってみる。結果は、3.7Mbps! ベストの8Mbpsには及ばないものの、これまで使っていたe-Accessから比べると、2倍以上の数値が出た。その後も何度か試したが、平均して3Mbps以上は出ているので、NTT局から自宅までの距離(約1.2km)を考えると、妥当な線なのだろう。まずは快適、快適だ。

■突然の不通で、情報不足を実感


e-AccessとYahoo!BBのモデムを並べてみた
 だが、一夜明けて事態は一転した。翌日の午前10時ごろから、まったくつながらなくなってしまったのだ。正確には“つながるがデータが流れない”、という状態に陥ってしまった。Yahoo!BBの場合、モデムの電源を入れると最初にLED5つが30秒ほど点滅し、その後2つのLEDが点灯すると、接続完了した合図となる(これ以外に電源用LEDが常時点灯している)。データのトラフィックがあると、このほかに2つのLEDが点滅し、トラフィックがあることを知らせる形になっている。それが、接続完了まではいくのだが、その後データが流れてこないのだ。IPアドレスは取得できているようなのだが…。Mac、モデムとも、何度か再起動を繰り返してみたが、まったく状況は変わらない。おりしも「正式サービスが9月に延期」との発表もあり、「昨日のはぬか喜びだったのか?」と疑心暗鬼になってしまった。
 ところが、夜12時を越えたあたりで、急に復旧した。今までの状態は何?と思えるくらい、まったく突然に復旧したのだ。サポートにメールでこの状況について報告はしたが、原因は未だに不明のままだ。また似たような事態が起こったら…と怯えながらも、現在は無事に使えている状態だ。

 ここで実感したのが、Yahoo!BBのサポート体制の弱さだ。サービス開始発表時から“サポートはダイヤルQ2などを用いて有料で行なう”ことは表明しているが、現在のところサポート用に用意されているのは、受け付け用メールアドレス1つのみだ。Yahoo!のサイト上をいくら見ても、Yahoo!BBの入会受付サイトしか見つからず、開通時や開通後についての記述はどこにも見当たらない。サポート用のダイヤルQ2での電話番号すらも見当たらないのだ。「現在は無料の試用期間だから」という見方があるのかもしれないが、一応はプロバイダーである以上、ユーザーへの情報提供が現状では全く見受けられず、またサポート窓口としてメールアドレスが1つあるのみという状況は、少々問題かと思われる。
 またADSLモデムについても、付属のマニュアルではかなり情報が少ないと感じた。Macへの記述がほとんどない点もそうだが、たとえばe-Accessの場合、モデムを使った簡易セキュリティ対策(IPフィルタ)の設定方法について説明があるが、Yahoo!BBではそうした設定が可能かという説明も見当たらない。常時接続ではダイヤルアップよりセキュリティに留意する必要があるわけだが、低価格で広めようというYahoo!BBの場合、特にそうした注意を促す必要があると感じるのだが。

 現在のところ、導入して3日しか経っていない面もあり、まだ安心して使えないなというのが本音。当分のあいだ、別回線で導入していたe-Accessと併用しながら、使ってみようと思っている。
 なお、これは余談なのだが、もともと使っていたe-Accessが、Yahoo!BBの導入後、600Kbps前後の速度に落ちてしまった。それ以前は1.2Mbps前後は出ていたのだが…。これはYahoo!BBと関係があるのかどうか、引き続き調べていく予定だ。

  ※レポート続編は近日中に掲載予定です。

(2001/7/31)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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