INTERNET Watch Title
Click

【特集】

ブロードバンド導入前/導入後に見ておきたいお役立ちサイト

 ADSL、CATV、FTTH、無線LANなど、コンシューマー向けブロードバンドサービスが一気に拡大しようとしている。競争激化のおかげでここにきて低価格化が加速、ヘビーユーザーでなくとも抵抗なく支払える料金帯になりつつある。そんな今、「うちもブロードバンドに加入しよう」と検討されている方も多いことと思われる。

 今回の特集では、これからブロードバンドを導入しようとしている方々ならぜひ見ておきたいお役立ちウェブサイトを紹介する。

プロバイダーを選ぶ[その1]~サービスエリアを検索
プロバイダーを選ぶ[その2]~ユーザーの評判をチェック
スループット測定でブロードバンドを実感する
ブロードバンドを究める
最後に

プロバイダーを選ぶ[その1]~サービスエリアを検索

「RBB TODAY」のエリア検索結果画面(上)。ここで主な項目について比較が可能。さらに詳しい情報は会社名をクリックすれば表示される(下)
 まずは、自分の住んでいるエリアで、どの事業者がどんなサービスを提供しているかを調べる必要がある。いちばん確実なのは各事業者のウェブサイトをチェックすることだが、大都市圏では事業者数が多過ぎて、全部確認して回るのはたいへんだ。一方、まだ事業者が少ない地方では、そもそもブロードバンドサービスがあるのか、あるとすればどの事業者なのかを探さなければならない。

 そんな時に利用したいのが、ブロードバンド事業者を横断的に検索できるサイトだ。「RBB TODAY」や「SonyStyle Broadband NAVI」、「パソconeco」の中にある「高速ネット接続」コーナーなどがこれにあたる。基本的にはいずれも、自分の住んでいるエリアを指定すると、そのエリアで提供中のサービスもしくは事業者名をリストアップしてくれるというものだ。

 ただし、使い勝手はそれぞれかなり違っている。まず、エリアの指定方法だが、「RBB TODAY」ではマップをクリックしてエリアを絞り込んでいくか、郵便番号を入力する方式。住所で検索する方法と言える。一方、「SonyStyle Broadband NAVI」では電話番号からの検索、「パソconeco」では「北海道・東北」「関東」といった大まかなエリア指定のみとなっている。一般には住所からの検索がやりやすいが、ADSLのエリアは電話局単位となるため、それについては電話番号からのほうが精度は高そうだ。

 検索結果についても、表示方法や項目がかなり異なっている。まず、「RBB TODAY」と「SonyStyle Broadband NAVI」では、基本的にアクセス回線事業者単位(NTT東日本、アッカ・ネットワークス、東京めたりっく通信など)でリストアップされ、さらにそれぞれのアクセス回線事業者について対応ISPがリストアップされる構成だ。「パソconeco」ではこの逆で、ISP単位(BIGLOBEやDTI、So-netなど)でリストアップされ、それぞれのISPについて対応しているアクセス回線事業者が表示されるという具合だ。アクセス回線事業者で選ぶのか、ISPで選ぶのかによって使い分けられるだろう。

 リストアップされる項目については、「RBB TODAY」では、サービス提供中の事業者名だけでなく、通信速度や回線の種類(ADSL、CATV、無線、FTTH、フレッツなど)、月額料金がリストアップされており、一目でサービスを比較できて便利だ。詳しい情報が見たい場合は、事業者名をクリックすれば、対応ISPや詳細なエリア、初期費用のほか、過去に「RBB TODAY」で掲載された関連ニュースも見ることができる。一方、「SonyStyle Broadband NAVI」で一覧表示されるのは事業者名とサービスの提供状況(すでに提供中なのか、もしくはいつから提供予定なのか)だけで料金や通信速度などは別ページを開かなければならないのが少し煩わしい。逆に「パソconeco」では、サービス名や初期費用、月額料金、通信速度、提供エリア(都道府県単位)、回線提供事業者などの情報をすべて一覧表示するため、ページが重くなってしまっている。

 総合的には、「RBB TODAY」がもっとも使いやすいようだ。検索対象となる事業者も全国47都道府県944市区町村の372社(4月時点)と多い。一方、「SonyStyle Broadband NAVI」の検索対象事業者はまだ20社未満で、特に地方のCATV事業者などについてはカバーしきれていないようだ。なお、「SonyStyle Broadband NAVI」では、登録時に指定したエリアで新規の事業者が現われた際に通知してくれるというメールサービスを提供している。

RBB TODAY
http://www.rbbtoday.com/

SonyStyle Broadband NAVI
http://www.jp.sonystyle.com/Broadband/index.html

パソconeco
http://www.coneco.net/

プロバイダーを選ぶ[その2]~ユーザーの評判をチェック

Yahoo! BB 非公式掲示板には、総合掲示板のほか、開局情報や技術的な情報を扱う専門掲示板も用意されている
 自分の住んでいるエリアで提供されているブロードバンドサービスが見つかったら、スペックや料金などを比較するのは自然だが、“最大速度”で表示されるというブロードバンドの性格上、公表されているスペックだけでは本当のところはわからない。実際にそれらのサービスに加入しているユーザーの声を参考にすることも大切だ。

 ADSLをはじめとしたブロードバンドサービスについては、“非公式掲示板”というスタイルがあちこちで見かけるようになった。事業者と独立したサイトとして、ユーザーからの報告、質問、回答など生の情報交換が行なわれている。ここではメジャーな事業者の非公式掲示板をピックアップしたが、この他の事業者についても同様の掲示板が見つかるはずだ。

 この中からいくつかのサイトについて説明しておこう。「xDSLのページ」には、「東京めたりっく通信非公式ユーザー掲示板」のほか、日本銅線活用研究会による「DSL総合掲示板」も用意されている。

 「un-Official.net with NTT」はその名の通り、フレッツ・ADSLやフレッツ・ISDN、BフレッツなどNTT地域会社の提供するブロードバンドサービスについての掲示板。MacintoshとUNIX特有の問題を扱う掲示板もある。さらに、NTTに申し込んでから回線が開通するまでの“開通速度”を調査するコーナーも用意されている。アンケート画面のプルダウンメニューから「0~5営業日」「3ヶ月」といった項目を選ぶのだが、「約1ヶ月後116に電話し、3分で」「HPで申込音沙汰無し。NTTに電話したら15分後」といった選択枝が用意されているのが笑える(しかし、冗談ではなく、集計結果を見るとそういう例もあるらしい)。

 「Yahoo! BB 非公式掲示板」では、総合掲示板のほか、気になる開局情報についての専門掲示板も用意。サイト運営者自身の導入レポートも掲載されている。なお、Yahoo! BBについては、今もっとも注目を浴びているサービスだけあって、他事業者の非公式掲示板でも特別コーナーが用意されているところもある。この中では、「un-Official.net with NTT」「非公式J-DSL-HP」「eAsy-eAccess連合非公式板」の中に、Yahoo! BBの話題専用の掲示板が開設されていた。

 「CATV研究所・臨時サイト」では、ブロードバンド全般に関する総合掲示板のほか、イッツコミュニケーションズ(旧・東急ケーブルテレビジョン)やJ-COM@NetHomeなどの事業者別掲示板が用意されている。

xDSLのページ
http://www.metallic.gr.jp/

un-Official.net with NTT
http://www.un-official.net/~ntt/

非公式J-DSL-HP
http://www.un-official.net/~j-dsl/index.html

eAsy-eAccess連合非公式板
http://www.dearest.net/easy/

ACCA Networks 非公式掲示板
http://homepage2.nifty.com/adsl/

Yahoo! BB 非公式掲示板
http://www.menter-jp.com/adsl/

CATV研究所・臨時サイト
http://www2u.biglobe.ne.jp/~hasegawa/catv/

スループット測定でブロードバンドを実感する

「ブロードバンドスピードテスト」の計測結果画面。INTERNET Watch編集部のスループットを測定してみた
 さて、ブロードバンド回線が無事開通したら、なんといっても気になるのはスループットだ。通信速度が「最大○○Mbps」などと表記されるブロードバンドサービスだが、実際はどの程度まで出るのか? ここでは、簡単にスループットを測定できるウェブサイトやツールを紹介する。

 「ブロードバンドスピードテスト」「ADSL実験室」「Broadband Networking Report」ではいずれも、ウェブブラウザーでアクセスするだけでスループットを調べることができる。特に専用のソフトは必要なく、測定用のボタンをクリックするだけだ。ホストサーバーに用意されたデータのダウンロード時間をもとにスループットが算出される。

 「ブロードバンドスピードテスト」では、2カ所のホストサーバーから計4回のデータ転送を行ない、スループットを推定している。結果のデータが統計情報としてまとめられており、事業者ごとに“中央値”と“90%範囲(速度順に並べて上と下の5%ずつをカットしたもの)”のデータを見ることができる。ちなみに、7月13日から20日における有効サンプル9万3,169件の統計では、1位が有線ブロードネットワークス(公称値最大10Mbps)で中央値が3.4Mbps、90%範囲が480kbps~13.9Mbpsだった。また、2位はYahoo! BB(公称値最大8Mbps)で中央値2.0Mbps、90%範囲が390kbps~5Mbpsとなっている。

 「ADSL実験室」も同様にデータをダウンロードすることで測定するサイトだが、データが置かれたホストサーバーがISP別に多数用意されているのが特徴だ。ホストサーバーが自分の加入しているプロバイダーとは異なる場合、測定結果は、バックボーンや相手先ネットワークの利用状況などにより影響を受けることになり、アクセス回線や自社中継網の部分のパフォーマンスを把握しにくい。そこで、複数のホストサーバーで測定した結果から総合的に判断できるようにすることで、それらの影響を差し引いた値を推定できるようにしているわけだ。

 これら2つのサイトはいずれも下り回線の測定だったが、上り回線も測定したいという人は「Broadband Networking Report」を利用するといいだろう。このサイト自体は会社のADSL導入レポートなどブロードバンドの解説的な内容がメインで、回線速度調査コーナーはそれほど大きなコーナーではない。しかし、下りだけでなく上りも測定できる点で、スループット測定サイトとしても非常にユニークな存在と言える。

 スループットを測定する専用のツールも公開されている。「Webベンチでスピード測定」というサイトでは、Windows 95/98/Me/2000用のフリーソフト「Webベンチ」を使った測定法が紹介されている。同ソフトはVectorからダウンロード可能だ。専用ソフトを使うことで、ウェブサーバー上の好きなファイルやURLを指定した測定が可能になるとともに、 Windows内部のタイマーを用いるため精度のよい時間測定ができるといったメリットがあるという。

 さて、測定結果に一喜一憂したあとは、ぜひそのデータを公開して、他のユーザーとも共有したいものだ。「ADSL実験室」には掲示板が用意されており、ユーザーからの報告を受け付けている。「Webベンチ」でも“公式競技”として、専用のJPEG画像、Yahoo! JAPAN、AltaVistaという定点観測ホストが設定されており、ウェブサイトで測定データの投稿を受け付けている。公開されているデータベースは、プロバイダーや回線の種類、測定日時を絞り込んだ検索が可能だ。

 こういったスループット情報の共有を主眼においたサイトが「実効速度測定掲示板」だ。掲示板に登録されたデータについては、ISDN、ADSL、CATV、専用線、FTTH、無線、衛星、電灯線、LAN、その他の回線というカテゴリー別で検索が可能。さらに都道府県別に絞り込みこかけたり、プロバイダーからの逆引きも可能だ。もちろん、ウェブブラウザーを使ったスループットの測定も行なえる。これらのサイトで公開されているデータは、ブロードバンド導入後のユーザーだけでなく、まだ導入前のプロバイダーを検討しているユーザーにとっても参考になるはずだ。

ブロードバンドスピードテスト
http://speedtest.pos.to/

ADSL実験室
http://webclub.kcom.ne.jp/tm/ogata/adsl/index.htm

Broadband Networking Report
http://www3.ocn.ne.jp/~adsl/

Webベンチでスピード測定
http://www.ne.jp/asahi/tsu/i/webbench/

実効速度測定掲示板
http://www.oak.dti.ne.jp/~flash/index.html

ブロードバンドを究める

「NetTune」では、回線に合ったMTU設定を選択できる。RWINなどは「推奨設定」ボタンで自動設定可能だ
 スループットを調査したユーザーの中には、期待していたほどの速度が得られず、がっかりしている人がいるかもしれない。もしくは、十分な速度が出ているにも関わらず、さらに高速化したいと思う人もいることだろう。事業者の中継ネットワークやバックボーン、電話回線の品質など、ユーザーではどうしようもない原因もあるだろうが、実はユーザー側で取り組むことができる高速化手段がある。

 前述の「ADSL実験室」では、速度が出なかった場合の解決事例が「速度改善報告例一覧」として紹介されている。「電話線の長さを短くする」「モデムのリブート」「モデムを冷やす」といった方法が紹介されていた。効果のほどは定かではないが、“安全な”手段と言えよう。

 これに対して、リスクをともなうが、数値的な効果を期待できそうな方法が、ブロードバンドユーザーの間で話題になっている。Windowsのレジストリを書き換え、パケットサイズなどの設定をブロードバンド向けに最適化しようというものだ。ただし、ここで紹介する各サイトでも述べている通り、レジストリを変更するということでリスクをともなうということをきちんと認識しておく必要がある。レジストリのバックアップをとっておくことはもちろんだが、操作に自信のない人は手を出さないほうが無難だ。

 「つっくんのホームページ」にある「MTU等の調整で高速接続・高速表示」というコーナーでは、3種類のMTU(Maximum Transmission Unit)調整ソフトの使い方を解説しているほか、あらかじめADSL用、CATV用、ISDN用に設定したレジストリの一部をファイルとして公開している。掲示板には成功事例の報告が寄せられており、回線の種類などによって効果にはバラツキがあるものの、それなりに効果があがっているようだ。

 「NetTune」は、Windows用の日本語版MTU調整ソフト。表示が日本語であり、ボタン一つで推奨設定やリセットが可能だということえ、比較的とっつきやすいだろう。

 「OSO's Modem Site」にある「SPEED TEST」コーナーは、前章で紹介したサイトと同様、スループットを計測するページだが、RWIN(TCP Receive Window)の最適な数値を計算するページも用意されている。

つっくんのホームページ
http://www.asahi-net.or.jp/~vj5y-tkur/

NetTune
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-PaloAlto/3342/

SPEED TEST(OSO's Modem Site)
http://member.nifty.ne.jp/oso/speedtest/

最後に

 今回の特集では、プロバイダー選び、スループット測定、高速化という流れで、ブロードバンドの導入前/後に役立つサイトを紹介した。これでとりあえずはブロードバンドの恩恵に授かれるわけだが、だからといって、あとは手放しでブロードバンドを楽しめるわけではない。もっとも注意を払うべきセキュリティ対策という項目が残っている。

 常時接続におけるセキュリティ対策については、次回の特集で詳しくとり上げる予定だ。とりあえずここでは参考になるサイトを1つ、最後に紹介しておこう。セキュリティに対する基礎的な考え方を確認するには最適なサイトだ。特にネットワーク初心者の方は、ぜひ目を通しておくことをおすすめする。

パーソナルファイアウォールジャパン.com
http://www.personalfirewalljapan.com/

(2001/8/6)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp / Watchers]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp