【技術】

次次世代インターネットの基盤インフラとして注目

米HPとMITが量子コンピューティング研究で提携

■URL
http://www.hp.com/hpinfo/newsroom/press/08aug01a.htm

 米HPと米マサチューセッツ工科大学(MIT)は8日、量子情報システムを構築するための研究を共同で行なうことで合意したことを発表した。量子コンピュータの分野では両者共に世界を代表する研究施設であり、この共同研究の成果が注目されるところだ。

 量子情報システムが実現すると、理論的に盗聴が不可能(盗聴すると通信内容が変化するためにすぐに察知される)な通信を行なうことができるようになるほか、巨大なデータベースを現在とは桁違いの速さで検索できるようになるため、次次世代のインターネットの基盤インフラとして注目されている。さらに極基本的なものであっても、量子コンピュータが実現すると、現在のインターネットのセキュリティー基盤である公開鍵暗号(RSA暗号)が破られてしまうため、早急に理論的、実験的な現象の解明が求められている。

 今回の研究プロジェクトは4年半に渡るもので、250万ドルの資金が提供される。これは2000年6月に両者の間で締結された2,500万ドル・5年に及ぶ研究プロジェクトの一部となる。研究に携わるのはPalo Altoや英国ブリストルにあるHPの研究所所員とMIT Media Labの研究員たちで、その中にはMITのNeil Gershenfeld教授、Issac L. Chuang教授、量子コンピューティング理論家でMIT機械工学科の助教授であるSeth Lloyd氏などが含まれている。

 この提携についてHP研究所量子科学研究部長でHPフェローのStan Williams氏は「分子エレクトロニクス研究において成功しているHPと、量子コンピューティングにおけるMITの経験を思ってすれば、我々は量子情報システムにワン・ツー・パンチを浴びせて進展させることができるだろう。われわれが共に仕事することで、理論的に全く安全な通信ネットワークといった価値ある、革新的なテクノロジーを開発できるかもしれない」とコメントした。

 HPの研究所は分子を使ったコンピューティングにおいて世界をリードしており、最近では分子コンピューティングの回路を配線する技術に関する特許を取得したことで注目された。またMITのGershenfeld氏やChuang氏はNMR(核磁気共鳴)を使って初めての実験的な量子コンピュータを実現したことでも知られている人物だ。量子通信システムは最近の進展が著しく、盗聴することが全く不可能な通信システムも近い将来限定的ながら実用化できるレベルには到達するだろうとみられており、今回のHPとMITの研究の成果が注目されるところだ。

(2001/8/9)

[Reported by taiga@scientist.com]


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