【プロバイダー】

So-net、JustNetの全株式を取得~将来的なサービス統合も視野に

■URL
http://www.so-net.ne.jp/corporation/release/2001/010905.html
http://www.justnet.ne.jp/wonnews/0905.htm
http://www.justsystem.co.jp/just/finance.html?idx


左から浮川氏、山本氏、長井氏

 ソニーコミュニケーションネットワーク株式会社(SCN)と株式会社ジャストシステムは、SCNがジャストシステムが保有する株式会社ウェブオンラインネットワークス(WON)の全株式を2001年10月1日をもって18億円で取得することで合意したと発表した。これによりインターネットサービス「JustNet」を運営するWONは、So-netを運営するSCNの完全子会社となる。

 JustNetは、1996年3月よりパソコン通信サービスとして開始され、その後インターネット接続関連サービスを強化、ジャストシステムのインターネット事業として展開している。2000年6月には事業を分社化、株式会社ウェブオンラインネットワークスを設立し、JustNetのほか法人向けサービス「BizWeb」を運営している。  今回の子会社化についてSCNでは、「ネットワークの共通化によるコスト削減などで経営基盤をより一層強化するとともに、JustNetの接続・コンテンツサービスとの相乗効果を発揮させる」としている。


 5日、都内で開催された会見には、SCN代表取締役兼執行役員社長・山本泉二氏、ジャストシステム代表取締役社長・浮川和宣氏、WON代表取締役社長・長井定一氏が出席した。今回の実質的なSo-netによるJustNetの買収について山本氏は「会員数獲得が大きな要素としてあった」と語っている。現在の両サービスの会員数は、JustNetが34万人(そのうち接続会員25万人)、So-netが171万人(同124万人)となっており、接続会員、コンテンツのみ利用の会員合わせて200万以上のユーザーを抱えるプロバイダーが誕生することになる。なお、So-net側ではJustNetを選んだ理由について、コンテンツに力を入れているという基本的なコンセプトが近いこと、サービスのマネージメント、ユーザーへの対応の良さなどがあったとしている。

 JustNet事業は2001年3月期に赤字決算であったが、浮川氏は「他ISPと比べても利益を上げている事業だ。将来的にも可能性はあったと思う」としている。しかし、インターネット事業を進めていく上で「親会社がジャストシステムであることはどうかと考え、専門のISPと協力していくほうがよいと判断した」として、「私は『めでたく』(売却に至った)と言いたい」と語った。また、WON社長の長井氏は「振り返ってみるに、常にSo-netについては『ああなりたい』と思っていた」という。


ジャストシステム・浮川社長

SCN・山本社長

 双方のサービスは将来的には統合される予定だが、現在、具体的なサービス統合の時期等はまだ検討中の段階とのこと。まずはサービス運営オペレーション部分の統合から開始し、「半年から1年かけてじっくり検討する」(山本氏)という。今後のサービスについては「価格競争力」と「付加価値」の2つがポイントになるだろうとしている。

 Yahoo!BB登場以降、ISPの接続料金引き下げ競争は激化しており、もはや接続料金による収益を中心とするモデルは成り立ちが難しくなっているのは明らかだ。コンテンツ提供に注力してきたSo-net、JustNetが一つになるのは形としては解りやすいが、今回の買収によって得られる「会員数の増加」をどう収益に結びつけていけるかが鍵になりそうだ。一方で、“中堅プロバイダー”の生き残り策が本格化しているともいえる出来事であり、今後のISP業界再編激化への第一歩といえそうだ。

(2001/9/5)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]


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