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【イベント】

慶應大学SFC、ネットワーク社会の未来を
垣間みることができる研究展示イベント

■URL
http://www.kri.sfc.keio.ac.jp/ORF/2001/

 慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)で21日と22日の2日間にわたり、「SFC Open Research Forum 2001」が開催されている。SFC研究所が取り組んでいる研究を一般に広く紹介するイベントで、研究成果のデモンストレーションや講演会が行なわれている。

 紹介されている研究は約40テーマにも及び、SFC内に点在する建物のロビーや研究室を利用して展示されている。以前本誌でも紹介した“インターネット自動車”をはじめ、W3Cへの取り組み、情報家電、ブロードバンドのエンターテイメントコンテンツ/サービスなど、インターネット分野の展示も多い。パネルと係員の説明だけで実際にデモが見られないものがあるのは惜しいだが、ネットワーク社会の未来を垣間見ることができるイベントとなっている。

 例えば情報家電の展示「e-Kitchen」では、ユーザーが空腹の旨を冷蔵庫に通知すると、冷蔵庫が現在の在庫から作れる料理の一覧を表示。希望する料理を選択すると、レシピを表示するとともに電子レンジのコントロールなどまで行なってくれるというデモを体験できる。これは、「VNA(Virtual network Appliances )」というミドルウェア技術の上で構築されているものだ。VNAは、既存の情報家電機器をネットワーク上で組み合わせることで、実際には家電を追加することなく、新しい機能を持つ“仮想情報家電”を提供するものだ。e-Kitchenでは、冷蔵庫は冷蔵庫、電子レンジは電子レンジというふうに、比較的もとの家電の機能がほぼそのまま利用されているが、VNAでは家電に搭載されている機能を個々の機能単位に分割し、機能単位で再構成することが可能だ。どこの家庭にでもある家電製品の組み合わせから、まったく想像もつかないような新しい種類の仮想家電が生まれるかもしれない。

「e-Kitchen」のデモの様子(左)。実用化への最大のハードル「食品の在庫をいかにして認識するのか?」という点については、ここでは触れまい。今のところ、SFCでそのような認識技術への研究には取り組んでいないという。情報家電をコントロールする端末としては、iPAQが使われていた(左)。無線LANで家電ネットワークに接続されており、ここに料理の選択肢やレシピが表示される

 また、インターネットからは少し離れるが、今回の展示の目玉の一つとして「高性能8輪電気自動車KAZ」と「自動運転車」が挙げられるだろう。KAZというのは、環境に優しいだけでなく、「性能と機能面でこれまでの車を凌ぐこと」をコンセプトに開発された電気自動車だ。7月に東京都江東区にオープンした日本科学未来館にも出展されたが、今回SFCでも公開されており、しかも試乗できる機会も提供されている。

 一方、自動運転車は「自動運転を行なうカーナビ」だ。通常のカーナビは、目的地を入力すると経路を検索・表示し、そこにたどり着けるように道案内をしてくれる。これに対して自動運転車は、ドライバーに指示を出すのではなく、自分で運転までしてしまおうというものだ。高精度GPSによる位置情報、レーザーレーダーによる障害物検知などによりハンドルやアクセルなどを制御するという。なお、21日にはこれらの研究に取り組んでいる清水浩・環境情報学部教授による「21世紀の交通社会」と題した講演も行なわれた。

「高性能8輪電気自動車KAZ」(写真は、日本科学未来館に展示されたときのもの)

 SFC Open Research Forum 2001は入場無料、事前登録も不要だ。22日には、フルCG映画「ファイナルファンタジー」のメイキングを紹介する特別講演も開催されるほか、SFCにある慶應義塾大学総合政策学部と環境情報学部、4月に開設したばかりの看護医療学部もオープンキャンパスとして公開される。

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(2001/9/22)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]


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