【技術】

米国防総省がGPSの誤差精度を100メートルから36メートルに改善

■URL
http://www.defenselink.mil/news/Oct2001/p10182001_p233-01.html

 米国国防総省は18日、GPSの誤差精度を以前の標準規格の100メートルから36メートルへと大幅に改善する標準規格を法律として成文化したことを発表した。

 GPSでは国防上の理由から一般の利用者へのサービスには位置測定精度が劣化するような操作が施されているが、2000年の5月に国防総省はこの操作を止めることを発表していた。今回の発表はこれを正式に成文化、標準としたもので、それに伴って技術仕様が文書として正式に公開された。昨年の5月の発表以来、実質的に精度が向上したGPSは民間で利用されていたので、今回の発表で直接的に精度が向上するかどうかは判断できないが、技術仕様書が公開されたことでGPS関連の新しい技術が開発される可能性はある。

 GPSとは「全地球測位システム」と訳される位置を測定するシステムで、地球の周りを飛ぶ人工衛星からの電波を受信して現在の位置や高度を測定する。もともとは軍事利用目的に開発されたものだが、通常の利用に関しては民間用にも開放されている。カーナビゲーションシステムなどに搭載されていることでも知られている装置だ。今後インターネットに接続した機器で位置情報サービスを提供するためにGPSの役割はますます大きくなるものと考えられている。

 国防総省では今回精度が向上したサービスを正式に運用するに際して、利用者に対してこの精度が保証できない事態が生じた場合には通知することを約束している。今後GPSサービスには電離層による信号歪みの解消など主な目的としたサービスの改善が行なわれるほか、安定継続的にGPSサービスを運用できるようにするために新しい人工衛星を2003年から2012年の間に打ち上げ、完全な運用が行なえるようになるのは2014年になることを明らかにしている。

(2001/10/21)

[Reported by taiga@scientist.com]


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