【イベント】

「ブロードバンドを活用して、ミナミの経済の起爆剤にするんや」

大阪で「ブロードバンドフォーラム」が開催~IRI、usenが主催

■URL
http://www.iri.co.jp/
http://www.usen.com/

 10月31日、大阪・ホテル日航大阪にて株式会社インターネット総合研究所、および株式会社有線ブロードネットワークス主催による「ブロードバンドフォーラム」が開催された。

 両社は8月に、通信・放送機構からハイビジョン品質の動画をインターネット上で配信する実証実験「次世代ハイエンド通信・放送総合システムの研究開発」を受託している。今回のフォーラムでは、実証実験の詳細発表が行なわれ、NHKが提供するハイビジョン番組3タイトルが正式に発表された。実験は、2002年3月まで実施される。


カラオケ店「ゆー坊西心斎橋店」

 実験では、アメリカ村にあるカラオケ店「ゆー坊西心斎橋店」内に、「デジタルコンテンツ交流センター」を開設する。そこに、MP@HL形式のハイビジョンストリーミングサーバーと、数台のハイビジョン再生ボードを実装したPCを配置する。また、大阪府吹田市のマンション約40世帯に光ファイバーを引き込み、有線ブロードネットワークス江坂支店のストリーミングサーバーからオンデマンドやライブストリームなどによる配信負荷実験を行なう。配信されるコンテンツは、NHKと京都府が提供するハイビジョンコンテンツのほか、未公開映画の本編を劇場公開前に配信する予定だ。なお、NHKが提供するのは、「北海道知床の森ヒグマ カムイの物語」など3タイトル。

 ブロードバンドフォーラムの基調講演では、「ブロードバンド時代における本プロジェクトの役割-超高速アクセス網による高解像度コンテンツの配信環境の実現を目指して-」と題し、インターネット総合研究所代表取締役所長の藤原洋氏が登壇した。

 まず、昨今の「IT不況」を打破するものとして、オリジナル技術を基本にした事業が必要だとして、ブロードバンド時代に到来するIPv6やユビキタスネットワークを挙げた。今後、ブロードバンドに対応したデジタル放送端末が出現してくるが、そのためには、大容量コンテンツの配信を可能にするネットワークへの負荷を回避する必要がある。藤原所長は、「負荷がかかるということは、コストがかかるということだ。それゆえ、大容量コンテンツ配信に耐えうるネットワークの運用研究が必要」と、今回の実証実験を位置付けた。さらに、「ネットワークはあくまでも手段であり、目的はユーザーの持つコンテンツである。もう一度、ユーザー主導のネットワークに回帰すべきだ。」と主張した。

IRI所長・藤原洋氏
有線ブロード社長・宇野康秀
ネットワーク構成図
アメリカ村の会会長・森本啓一氏
デジタルコンテンツ交流センター
ワイド画面によるコンテンツ表示

 現在のインターネット基盤の課題として、トラフィックの東京への一極集中が指摘されている。今回の実証実験で大阪からコンテンツを発信することができれば、マルチハブ化が進む。最終的には、拠点を分散し、あらゆるところから発信し、あらゆるところで受信する枠組みを作り、認証課金、顧客管理、著作権管理などが地域のビジネスを創出するのが目標だ。

 最後に、アメリカ村の会会長の森本啓一氏が登場した。アメリカ村近辺には、5年ほど前から多くのIT企業が進出しているほか、500~1,000人程度のクリエイターが住んでいるという。「携帯電話にICカードをつけたらどうなんやろうと、面白いことを考えている。ブロードバンドを活用して、ミナミの経済の起爆剤にするんや」と意気込みを語り、アメリカ村がIT産業のメッカとなることを目指すという。

(2001/10/31)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

INTERNET Watchグループinternet-watch-info@impress.co.jp