【調査結果】

「落札価格はなぜ上がるか」~ビジネススクール教授がオークションの秘訣を分析

■URL
http://www.informs.org/Press/miamibeach03b.htm

 米国のビジネススクールの教授が3年間米eBayのオークションのデータを分析し、オークションにおける最終的な落札価格がどのようにして決まるかという学説を学会で発表した。この研究の概要は6日に開かれた会合で内容が説明されたもので、話の主題は「インターネットオークションで最終的な価格を決める要素は何か。eBayにおけるコインの取引に関する経験的な調査」というものだ。

 この研究を行なったのはノートルダム大学メンドーザビジネススクール助教授Charles A.Wood氏とミネソタ大学カールソン経営大学院教授Robert J.Kauffman氏だ。2人はオペレーションリサーチの手法を使って1999年から2001年の間にeBayで取引されたコインの取引7,362例を分析した。研究者たちはこの調査結果がコイン特有のものであることを認めながらも、他の品物にもこの結果が当てはまるものと考えている。

 著者たちは落札価格が上がる要素を4つ挙げている。

 ●週末効果

 週末に終了するオークションの落札価格は平日に終了するオークションの落札価格よりも平均して2%高かったことが判明した。この傾向は3年間にわたる調査で継続してみられている(1999年に2.6%、2000年に2.3%、2001年に2.2%)。1999年以来オークション参加者が増加し状況が変化している中で一定の傾向が見られることで、この数字には信憑性があると考えられる。著者たちはこの週末効果が市場全般に起こる現象というよりは人間の特性によるものと考えており、考える時間があるときにはより高い価格でも容易に支払う傾向にあるのかもしれないと考えている。

 ●画像効果

 画像とともに出品してある商品は通常の画像がない商品に比べて高く売れる傾向がある。その割合は2001年では11.3%にのぼっており、これは1999年の5.7%、2000年の6.8%に比べて大幅に上昇している。これは全体的にデジタルカメラなどの道具が普及しているなかで消費者ができる限りの情報を求めていることを示していると考えられる。

 ●人物評価点効果

 経験を積んだ出品者は経験のない人に比べて大幅に有利であるという傾向は1999年に比べて大幅に増大している。2001年にはeBayで高い人物評価を得ている人には価格プレミアムが6.8%ついており、この数字は1999年の4.8%、2000年の5.3%に比べて増加傾向にある。しかしながら著者たちはこの人物評価点が時間とオークションの出品回数によって増えることから、その人物に対する「評価」というよりはオークションの経験を示す数字であると主張している。

 ●オークション期間効果

 長く開催されているオークションはより多くの入札を得るという傾向がある。しかしながらこの効果はオークションへの参加者が増えるにつれて減少傾向にある。また参加者が少なかった1999年には長く開催されているオークションの商品には5.2%のプレミアムがついた。しかし2001年の段階でこのプレミアムは1.7%にまで減少している。これはオークションへの参加者が増えるつれて買い手がより良い取引を求めるため、開催期間が短いオークションも人々を引きつけることができるようになっているからだろうと分析されている。

(2001/11/7)

[Reported by taiga@scientist.com]


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