【事業展開】

ネットレイティングス、ブロードバンドユーザー動向も調査へ

■URL
http://www.netratings.co.jp/

ネットレイティングスの萩原社長
 インターネット利用動向の調査を行なっているネットレイティングス株式会社が、「サービスロードマップ説明会」と名づけた事業説明会を開催した。
 説明会では同社の萩原雅之社長が出席し、現在ネットレイティングスで提供しているサービスと、今後の展開について説明を行なった。萩原氏はまず、インターネット視聴率調査でどういった効果が得られるのかを、「リアルだと店舗に行けばお客さんがどれくらいいて、何を買っていてということが分かるが、Webサイトでは体験を共有することができない(自分の他に今何人がWebサイトに訪れていて、何を見ているかが分からない)ため、自分の経験を元に考えてしまう面があるが、インターネット視聴率調査によって第三者の目でWebサイトを正確に捉えることができる」と述べ、現在同社で展開中のサービスと、今後の展望について解説した。

 現在ネットレイティングスで提供しているサービスは、インターネット視聴率調査として知られる「オーディエンス・メジャメント・サービス」(以下AMS)と、ユーザーのサイト内での行動を対象とした「Eコマース・ストラテジィ・サービス」(ECS)がある。「AMS」はサイトの利用状況とバナー広告の露出状況をまとめたもので、サイトへのトラフィックやランキングに重点を置かれたものだ。そのため、Webサイトを広告媒体として見る場合のメディアデータとして、また広告効果測定やマーケティング戦略の指標として使われている。
 一方、2001年9月から開始した「ECS」は、サイトの訪問回数や滞在時間といった“サイトがどれくらいユーザーに支持されているか”を示すデータが中心で、主にECサイトの顧客維持(リテンション)戦略での活用が主体となる。「AMS」とはサイトカテゴリーの分類も異なっており(例えばJTBはAMSでは“企業”だが、ECSでは“旅行”)、より正確かつ効果の高い測定が可能という。

 この2サービスに加え、2002年3月から新たに「インターネット・メディア・ストラテジィ」(以下IMS)という新サービスを開始する予定だ。これは接続環境別の分析を中心としたブロードバンド対応調査で、接続速度や環境別の利用行動比較や、動画・音楽再生ソフトの利用行動分析、Webサイト単位のブロードバンド利用比率などのデータを提供するものだ。「ブロードバンドユーザーになることで、アクセス回数や利用時間は明らかに増加するが、それがどういった行動やWebサイトに向かうのかをいち早く読み取って活用する」(萩原氏)ために有効な調査としており、例として米国でブロードバンドを導入した家庭が、導入前と比較して平均利用時間が23%増加、平均ページビューは55%増加したという調査結果を取り上げていた。

NetRatingsのサイトへ  ブロードバンドでは韓国がADSL世帯普及率が約60%に達する世界的な先進国であり、ネットレイティングスでは韓国のインターネット利用動向をレポートした「Broadband Report KOREA 2001」を発行している。その調査結果から「ストリーミングの利用率ももちろん高いが、それよりもインスタントメッセージやビデオチャット、アバターを使ったチャットなどの個人間コミュニケーションが非常に盛ん」(萩原氏)という状況を紹介。またアバターをカスタマイズするためのデータ販売サイトも高い人気だという。「むしろ日本はブロードバンドコンテンツとして、映像や音声にばかり目が向きすぎているのでは?」(萩原氏)と指摘しており、「IMS」によってどのようなユーザー動向が登場するかが注目される。

 またネットレイティングスは世界29カ国で同一の仕様・ブランドでサービスを行なっているが、「英語のコンテンツについては、もはや国境は存在しない状況で、例えばAmazonやMSNについて米国のデータだけ見ているわけにはいかない。このためグローバル契約を結んでいる顧客企業も多い。これはテレビとは明らかに違う点」(萩原氏)として、グローバル展開の優位性にも触れた。なお先日、米NetRatingsが競合調査会社の米Jupiter Media Metrixの買収に合意との発表があったが、これに伴う事業統合などについては、まだ米国側で検討中の段階で、現在は未定とのことだった。

(2001/11/14)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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