【レポート】

ミニストップ無線LAN実験現地レポート~ホットスポット拡大中

■URL
http://www.hifibe.net/
http://www.ministop.co.jp/release/pdf/011025bbsts.pdf

 11月15日より、都内のコンビニエンスストア「ミニストップ」4店舗で無線LANを利用したホットスポット接続実験が開始されている。これは、NTTコミュニケーションズ株式会社(NTTコム)の行なっている高速公衆インターネット実証実験「Hi-FIBE」の一環だ。今回は、千代田区神田と荒川区内の店舗に出向いて、実験を体験したのでレポートしたい。

 ミニストップでは、これまで千葉県幕張の「イオンタワー店」にてADSL接続のインターネット端末を提供していた。今回、IEEE802.11b準拠の2.4GHz無線LANを利用した「Hi-FIBE」に参加したのは、「プラザ24神田錦町1丁目店」「プラザ24荒川1丁目店」「高井戸3丁目店」「高円寺南2丁目店」の4店舗。実験店舗までの回線は、アッカネットワークスのADSL回線8Mbps(神田錦町は設備に空きがなかったので1.5Mbps)だ。ミニストップでは、これら5店舗を「ミスト・カフェ」と位置付け、会員制(無料)のサービスを展開する。同社社長室広報担当マネージャーの森出芳孝氏によると、「国内コンビニ業界で実際にサービスを開始したのは、ミニストップがはじめて」という。

 ミニストップは、世界的にも類を見ないイートインコーナー(飲食用座席)を持つコンビニエンスストアだ。実験店舗のイートインコーナーは、8~10人程度の座席が用意されているほか、コンセントの利用も可能だ。また「プラザ24」を冠している店舗は、惣菜チェーンの「オリジン弁当」と合同の店舗になっており、通常店よりも広くゆったりとした雰囲気になっている。

 ミニストップからインターネットに接続する方法は2種類ある。1つは、「Hi-FIBE」のモニターに申し込み、自分のノートPCとWi-Fi認定を受けた無線LANカードを持ち込む方法。PDA+無線カードでもアクセス可能だ。もう1つは、店内イートインコーナーに1~2台準備されているモニター端末を利用する方法で、こちらを使う場合は「ミスト・カフェ」の会員になる必要がある(「Hi-FIBE」モニターになる必要はない)。なお、いずれの利用方法でもミニストップで商品を買う必要はない。

 設置端末を利用する場合は、レジで「ミスト・カフェ」会員カードを提示し、セキュリティ用のICカードを受け取る。これをPCに接続されているカードリーダーに差し込み、Alt+Ctrl+delを押して端末を起動する。メールソフトの利用やアプリケーションの追加は禁止されているが、Webメールの利用は可能。アダルトサイトなど他者に不快感を与えるサイトは、フィルタリングソフトで閲覧できないようになっている。

ICカードとカードリーダー 設置端末

●ビジネス街の神田錦町店、住宅地の荒川店


 「プラザ24神田錦町1丁目店」では、実験開始5日目時点で約30人程度の「ミスト・カフェ」会員を獲得した。この店舗で注目すべき点は、イートインコーナー入り口に3台並んだ業務用電子レンジ(1,500W)の存在である。これは、お弁当などを購入者が自由に温められるサービス用なのだが、従来、電子レンジの出す電波は無線LANに干渉する問題源とされている。実際に「やきそば」を購入し、1,500Wで30秒間暖めながらインターネットに接続してみたところ、接続状態の悪化や干渉を体感することはなかった。NTTコムの田部井経営企画部担当課長によると、「さすがに電子レンジ3台全部を同時に起動して、ノートPCとアクセスポイントの間に入る位置で使えば接続が切断されます」とのことで、干渉はあまり問題にならない様子だった。

 一方、「プラザ24荒川1丁目店」は、都電荒川線「荒川区役所前」下車すぐのところにある。のんびりとした住宅街で、店舗前に駐車場があるタイプの郊外型コンビニだ。こちらの店舗の注目点は、横断歩道を挟んだ反対側にNTT東日本東京荒川局があることだ。この距離ならば、8Mbpsに近い接続速度で利用できるだろう。

 早速、荒川店で「ミスト・カフェ」会員になるべくレジの女性に「インターネット端末を使いたいのですが」と声をかけてみると、慌てて店長を呼びに行ってしまった。神田店と違って、まだ慣れていないようだ。その小泉店長は、マニュアル片手に会員登録用紙を取り出す。運転免許証を提示して会員登録を終えると、セキュリティを解除するICカードを受け取った。神田店では、設置端末の利用には1人30分が目処と教わったが、小泉店長は「次のお客さんがいらっしゃるまでご利用してくださって結構です」と言う。

 ICカードをカードリーダーに挿入してAlt+Ctrl+delを押してみるもPCが起動しない。どうやら電源そのものが入っていないようだ。小泉店長がやってきて、PCの電源を入れ、「Hi-FIBE」のユーザーIDとパスワードを入力するが、インターネットに接続できなかった。どうやら、ノートPCのダイヤルアップ接続設定が上手くできていないようだ。結局、荒川店ではインターネットに接続することはできなかった。小泉店長によると、筆者が初めての利用者のようで、「若者などが利用すると思っていたのですが、POPなどでアピールしても、あまり使わないみたいですね」とのことだった。まだ実験開始から5日なので、これから口コミなどで認知度が上がってくるのだろう。ビジネス街との違いを大きく感じた。

電子レンジとの共存 プラザ24荒川1丁目店 ミスト・カフェ会員証

●「Hi-FIBE」の可能性


 ミニストップでは、12月末まで利用者の属性や利用動向などの情報収集を行なうという。その後、サービスの継続判断をする予定だが、地域情報の発信基地となるべく、オリジナルコンテンツなどの展開もしたいとのことだった。また、神田店では、Webブラウザーのホームページに、ミニストップのECサイト( http://www.e-ministop.com/ )が設定されていた。同社システム本部システム部店舗システム担当の金子傑氏は、「ECサイトから注文を受けて、店頭で引き渡すなど利用者の幅が増えることも理想の1つ」と語った。

 「Hi-FIBE」は、来春の商用化に向けて確実に進んでいる。NTTコムの田部井氏は、「『Hi-FIBE』は、インフラ提供者であるNTTコムや、飲食店などの場を提供する側がWin-Winの関係でなければ成功しない」という。つまり、どちらか一方だけが、維持費を捻出するのではなく、双方でできる部分を負担していく方針を目指すのだ。ミニストップの場合は、「ミスト・カフェ」を会員化することで、顧客を囲い込みができる。NTTコムとしては、ホットスポットが増えることはユーザーの利便性の向上に役立つ。同氏は、「おそらく今後、すでに『Hi-FIBE』に参加しているモスバーガーさんも同様の展開をしていくのではないでしょうか」と語った。

 モスバーガー5店舗(現在7店舗開設、さらに2店舗準備中)から開始した「Hi-FIBE」は、今回のミニストップ4店舗だけでなく、品川プリンスホテルやブレンズコーヒー2店舗にも展開している。また、モニター登録受付も再開している。

◎関連記事
モスバーガー無線LAN実験現地レポート~公衆高速ネットはどこへ行くのか

(2001/11/20)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

INTERNET Watchグループinternet-watch-info@impress.co.jp