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■URL
http://www.accsjp.or.jp/
http://www.pref.kyoto.jp/fukei/hightech.htm
社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は28日、「ファイル交換ソフト」を使い、著作権者に無断でビジネスソフトなどを不特定多数のインターネットユーザーに送信し得る状態に置いたとして、京都府警ハイテク犯罪対策室・山科署・五条署が東京都と埼玉県の男性2人を著作権侵害(公衆送信権の侵害)の疑いで家宅捜査し、同日逮捕したことを発表した。
逮捕された男性は、東京都杉並区の大学生(19歳)と埼玉県さいたま市の専門学校生(20歳)の2名。それぞれファイル交換ソフト「WinMX」をインストールした自宅のパソコンを使って、アドビシステムズの「Adobe Photoshop 6.0日本語版」などを他のユーザーがダウンロードできる状態にしていた。特に東京都の大学生の場合は、Photoshopのほか、ジャストシステムの「一太郎」、マイクロソフトの「Microsoft Visual C++ for Windows」などACCS会員企業のソフト約100タイトル(総額700万円相当)を含む約2,400のファイルを“公開”していたという。
京都府警ハイテク犯罪対策室などでは、以前からこの男性らの著作権侵害行為について捜査を進めていたという。また、ACCSでは、警察からの要請を受けソフトウェアの公開状況について調査を進めるなど捜査に全面的に協力していたとのこと。
ACCS 久保田 裕 専務理事・事務局長 |
28日ACCSが行なった説明によると、大学生と専門学校生宅に28日早朝から家宅捜索が入り、同日14時40分頃逮捕された。当初、京都府警ハイテク犯罪対策室は、同様の被疑者10名程度に目処をつけ、ACCSに調査協力を依頼してきたという。これら、10名のうち、「付加価値の高い、ビジネス向けアプリケーションソフトを扱っている」、「公開しているソフトの本数が多い」、「常時的に継続して公開を行なっている」などの「特に悪質的および故意であったユーザー」である2名が逮捕された。
今回、逮捕の法的根拠となったのは、平成9年に改正された著作権法第23条1項で定義された「送信可能化権」によるもの。それによると、「著作権者の承諾なく、WinMXなどのピアトゥーピア(以下、P2P)ソフトを利用して、インターネットに接続し、共有ファイルを指定し、違法ファイルを自由にダウンロード可能な状態にしていること」が違法行為にあたる。このように、P2Pソフトを利用して、違法ソフト交換が違法であると明文化されているのは、世界でも日本とオーストラリアだけであるという。
ACCSによると、日本でのP2Pソフト勢力は、「napster」の衰退により、一時的に「Gnutella」が勢力を伸ばしたが、2バイト文字が利用できる、検索が速い、日本語パッチが容易に入手可能、などの理由から、現在では圧倒的に「WinMX」の利用者が多く、2001年5月時点で利用ユーザーが100万人を超えているという。
通常、「Photoshop」や「Microsoft Office」などのビジネスアプリケーションは、数百MBの容量がある。ISDN回線やダイヤルアップを利用して、ダウンロードを行なうためには、6時間~8時間程度の時間が掛かる。従って、これまで企業側もP2Pによる不正交換に対して、余り懸念を抱いていなかったという。しかし、「WinMX」の普及と同時に、ADSLなどのブロードバンドが爆発的に普及したことにより、数百MBのソフトであっても、2時間程度でダウンロードが可能になり、交換数が爆発的に増え、企業や警察などが本格的な対応を始めたという。
説明を行なった、ACCS久保田裕専務理事・事務局長によると「今回の逮捕により、日本がIT著作権について、法基盤およびその執行力において、世界最高水準であることが証明された。一般ユーザーに対して、対価を得ないP2Pによるファイル交換であっても『違法ソフトを扱う限り、著作権法に抵触する』ということに、争う余地がないことを広報・啓蒙していきたい」と語った。
(2001/11/28)
[Reported by okiyama@impress.co.jp / otsu-j@impress.co.jp]