【イベントレポート】

財布の中にもJavaが進出!~JavaCardによる情報流通

■URL
http://jdc.sun.co.jp/javaone/conf/sessions/3309/index.html

 「JavaOne」では、基調講演や展示のほかにさまざまなセミナーも行なわれている。今回はその中のセッションから「コンビ型JavaCardを用いたICカード情報流通プラットフォーム」(スピーカー:NTT情報流通プラットフォーム研究所 庭野栄一氏、鈴木勝彦氏)を紹介する。


左からNTT情報流通プラットフォーム研究所の主任研究員である庭野 栄一氏と同研究所の鈴木勝彦氏

 ここ最近、電子マネーの「Edy」や、JRのプリペイドカードと定期券が一緒になった「Suica」などが登場し、やっとICカードが実用に向かいつつある。ICカードは、記憶容量が大きいこと、非接触式も可能であること、偽造が困難であるなどの理由で磁気カード以上のサービスを我々に提供してくれるが、現状でICカードの特徴である「大容量」が生かされていないのが現状だ。搭載されているアプリケーション(プリペイドカードやクレジットカード機能など)は、カードによって開発環境が違うため1枚のカードに統一するのは困難なためだ。そこで登場するのが「JavaCard」だ。

 JavaCardとは、1枚のカードでさまざまなサービスを受けられるようにするために開発された「複数のJavaアプリケーションを搭載したICカード」だ。Javaアプリケーションは、クレジットカード、キャッシュカード、定期券、診察券、保険証、電子マネーなど多彩な機能が実現可能で、これらのアプリケーションをインターネット経由でダウンロードしてJavaCardにインストールできるようにするのだ。例を挙げると「パソコンにつなげたカードリーダーにJavaCard挿入し、インターネットに接続、クレジットカードアプリケーションで決済を行ない、JavaCardにコンサートのチケットをダウンロードする」といったことが可能になる。

 また、セキュリティについても十分な考慮がなされている。JavaCardでさまざまな処理ができるため、サーバーとJavaCardが直接通信をすることができる。複数の暗号化アプリケーションを搭載することが可能なので、サーバーとJavaCardの双方で暗号化を行ない安全性の高い通信が実現できる。ほかには、同じJavaCardにインストールされているアプリケーションがお互いに影響しないように保護をする「ファイアウォール」も搭載されているという。

 セッションでは、最後に保険証と診察券のデモンストレーションが行なわれた。カードリーダーにJavaCardを挿入して病院のホームページに接続し「診察予約」をすると、JavaCardに診察券アプリケーションがインストールされる。それを受付に持っていくと実際に使えるようになるというしかけだ。病院を例に取ると、受付では診察券と保険証、診察ではカルテ、会計では電子マネー、薬局では処方箋とこれらの手続きを1枚のカードで実現させるという。


JavaCardにおけるビジネスモデル。「カード発行者」と「サービス提供」がそれぞれ独立するため、今までよりも簡単を発行することができるようになるという。 JavaCardを医療機関に適用した例

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(2001/11/29)

[Reported by adachi@impress.co.jp]


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