【技術】

家を制御する「OS」をNokiaなどフィンランド企業が共同開発

■URL
http://www.coba-group.com/en/index.shtml

 フィンランドに拠点を置く複数の企業が29日、家やビルを制御するためのOSを標準化する団体「COBA Group」(Connected Open Building Automation)を設立した。この団体はすでにいくつかの技術文書を公表しており、開発されるOSが商用にリリースされるのは2002年の夏頃になると思われる。

 COBAグループに参加したのはNokia、ABB、Elisa Communications、Hewlett Packard、Lonixなどフィンランドに拠点を置く企業だ。

 COBAプロジェクトの目的は、インターネットを通してブラウザーや携帯電話を使いながら家やビル内のデータすべてにアクセスし、制御できるようにすることにある。グループでは、これにより家やビルのセキュリティーや快適性を向上させることができるだけでなく、コストを削減しエネルギー消費量を減らすことができると主張している。

 例えば、一般的なビルには防犯カメラ、火災警報装置、空調設備、配管管理などさまざまな装置が備え付けられているが、それぞれが別の企業によって運営されていることがほとんどだ。そのためメンテナンスにはそれぞれの企業の人員が派遣されてくるため非常にコストがかかる。しかし、ビル全体のシステムをCOBA OSで制御すること、また、このOSによりインターネットを通してこれらビルのシステムにアクセスすることにより、一つの会社、または複数の会社が同時に遠隔操作でビルのメンテナンスをできるようになる。これによりビルのメンテナンスコストが大幅削減できると考えられる。

 また、別の例としては、COBA OSがインストールされている“インテリジェントハウス”が考えられる。例えば、夜中に生じた大雨によって雨漏りが生じた場合、家の人は全員寝ていてその事態に気づかないとしてもシステムはこれを感知することができる。外が嵐であることを気象システムが認識し、水漏れ感知センサーが水漏れを認識すると、この2つの要素からシステムは屋根が壊れたことが水漏れの原因となってると結論づけることができるかもしれない。システムはすぐに警報を慣らして家族を起こすと同時に、インターネットを通して屋根を修理してくれる業者をWebサービスを使って検索する。Webサービスを使って複数の業者に問い合わせ、建物の構造、場所、見積もりなどをとり自動的に携帯電話かPCのディスプレイに表示することができる。これにより家の人は迅速に事態を把握するだけでなく、対策をとることができるようになることが期待される。

 COBAは現在開発段階にあるが、基本となってるのはNokiaが開発したホームサーバ環境だ。Nokiaはこのホームサーバの基盤としてLinuxを選択していることもあり、COBAグループもLinuxをシステム基盤として選んだ。フィンランドの著名なコンサルタントであるRisto Linturi氏は「2005年にはCOBAはビル施設のための簡単で安全なアクセス手段として地球全体で標準規格となるだろう」とコメントしており、フィンランドにとどまらず世界的な規模でこのシステムをマーケティングすることを示唆した。

(2001/11/30)

[Reported by taiga@scientist.com]


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