【法律】

総務省、“IT革命推進に向けた答申案”における意見募集の結果を公表

■URL
http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020121_2.html (意見)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011211_3.html (答申草案)

 総務省の情報通信審議会IT競争政策特別部会は21日、2001年12月11日に発表した答申案「IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての第二次答申(草案)」における募集の結果を発表した。応募は1月15日に締め切られており、通信会社や各種業界団体、個人から46件の意見が寄せられた。

 この答申案は、IT革命を進める上での電気事業者の現状の確認と今後の在り方について書かれたものだ。答申案は、通信会社の競争について現状と課題が述べられた「『競争政策』関連部分」、全国くまなく通信サービスを提供するための指針「『ユニバーサルサービス』関連部分」、情報安全保安に関する「『国際競争力』関連部分」の3章で構成されている。答申案については主に「『競争政策』関連部門」に関して通信会社などからの意見が多く寄せられた。

 まず、エムシーアイ・ワールドコム・ジャパン(MCI)は、「支配的電気通信事業者が業務範囲を拡大することは、新たな業務範囲でのその独占力を利用したサービスが可能となる」との考えを示した。また、支配的電気通信事業者が子会社を設立して新に業務範囲を広げたとしても、支配的な立場は変わらないとしている。答申案では、具体的な例としてNTT東西はNTT法により業務範囲が限られているが、子会社であるNTT-MEやぷららネットワークスはプロバイダー事業を行なっており「子会社を通じた事実上の業務範囲の拡大であり、脱法的行為ではないか」と指摘している。

 NTT分割について触れているのは四国情報通信ネットワークだ。意見書の中で同社は、現状はNTTグループとその他の業者との競争があるだけで「NTTグループ間での実質的な競争が起こりにくい状態」だとして、NTTグループ内を含め通信事業者の競争を促進するには「NTTグループの完全解体」が必要だと提案した。

 また、競争を促すためには「新規参入しやすい環境を整備することが重要」としたのは東京電力だ。答申案では、電柱や管路などを大量に所有している場合は公正競争条件を確保する観点から、本体業務と通信業務の会計を完全に分離する必要があるとしている。しかし東京電力は、「該当業者が明らかに公正競争を阻害していると見なしうる事実が存在する場合に限定するべき」として「必要以上に新たな規制等を課すことになれば、かえって競争の妨げとなる」と新規事業者への規制を緩めるべきと述べた。

 ほかにグローバル・クロッシング・ジャパン(GCJ)とMCIは、第一種業者が業務や設備を拡大する場合に必要となる「許認可」の緩和を求めている。意見書の中でMCIは、支配的業者について「既に膨大なネットワークを有し、許認可業務のスピードがビジネスに与える影響は極めて少ないと思われる」として、一方の新規参入事業者などは「業務エリア、相互接続点等を拡大することがビジネス獲得と直結している」と、同じ第一種事業者の立場でも、許認可作業が経営に与える影響の違いを示した。また、GCJは第一種参入における審査の「項目の簡素化」を求めている。

 さらに日立製作所の意見書では「『事業者を規制する制度』から『市場そのものを規制、監視する制度』へわが国の制度を変えるべき」と日本の制度の考え方そのものを変えるべきだという意見も見られた。

 総務省ではこれらの意見を参考に、第二次答申をまとめる方針だ。

(2002/1/22)

[Reported by adachi@impress.co.jp]


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