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ファイル交換サービス「ファイルローグ」に仮処分申請

■URL
http://www.riaj.or.jp/cgi-bin/press_release.cgi?date=20020129
http://www.jasrac.or.jp/release/02/01.html
http://www.filerogue.net/ (現在、つながりにくくなっている)

 社団法人日本レコード協会(RIAJ)の会員であるレコード会社19社と社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)はそれぞれ、有限会社日本エム・エム・オー(日本MMO)が運営するファイル交換サービス「ファイルローグ」が著作権法に抵触しているとして、CDから作成されたMP3ファイルの交換停止を求める仮処分を東京地方裁判所に29日に申請した。

 RIAJによると、ファイルローグ上で音楽CDから作成されたMP3ファイルが交換されていることは、公衆送信権(著作権法第23条の2)および、送信可能化権(同96条)を侵害しているという。現在、同サービス上では約7万~15万のMP3ファイルが交換されているという。

 仮処分命令申立書では、日本MMOを「本件著作隣接権侵害行為の主体として、又は少なくとも教唆・幇助により本件著作隣接権侵害行為に積極的に加担してこれを惹起せしめる者」と断定している。代理人の弁護士は、被害の甚大さ(交換されているMP3のほとんどが著作権侵害物)、違法性の強さ(クライアントに匿名性を与え「お膳だて」している)、法遵守を逸脱(既成事実化を図り、「正直者がバカを見る」システムを作ろうとしている)、および著作権に対する国際的な協調の4つの観点で申請を行なったと語った。

ファイルローグ

 日本MMOは、2001年9月28日付けの日経産業新聞紙上でファイルローグのサービス開始を発表した。この時、同社代表の松田道人氏は、「旧来の著作権を巡る利権団体や企業への挑戦」「日本法上違法とされた場合は、サーバー及び会社を海外に移して徹底的に戦う」などとコメントした。この報道を受けて、RIAJは10月5日に「ファイル交換による送信可能化状態の発生が日本法上は公衆送信権・送信可能化権侵害に該当する」と内容証明郵便で通知を行なった。10月17日には、RIAJと日本MMOで話し合いを持ったが、日本MMOは「交換の場を提供するだけで、日本MMOに責任はない」という姿勢を示したという。RIAJでは10月24日に、違法ファイルの遮断もしくはサービスの延期を求めたが、11月1日にファイルローグは開始された。RIAJは12月3日に約3万曲のリストを日本MMOに送付し遮断を申し入れたが、日本MMOからの回答は「機械的に選別して遮断する技術はない」(12月10日)というものだったという。

 今回の仮処分申請についてRIAJの富塚勇会長は「音楽業界の生命線はコピーライトである。音楽CDの売上が11%減という結果もあり、違法行為を許すことはできない」と語った。また、JASRACの吉田茂理事長も「3年連続でレコードの売上が減少しているのは、明らかにコピーの影響だ」とコメントした。また、ファイルローグのサイト上にある著作権問題などの解決方法「ノーティス・アンド・テイクダウン手続き」については、「個別案件についての解決方法で、今回のようにサービスそのものにかかわるものについては機能しない」(RIAJ)という。また、弁護士からは「会社が海外に移転しても、仮処分申請に影響ない」としている。RIAJなどでは、刑事・民事での訴訟を視野にいれ対応していく予定だ。

RIAJ・富塚勇会長 JASRAC・吉田茂理事長

(2002/1/29)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]


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