【トラブル】

総務省、Yahoo!BBとNTT東西に対し業務改善指導文書を発出
~Yahoo!BBには“回線にぎり”、NTTには工事期間の尊守について

■URL
http://www.soumu.go.jp/

 総務省は8日、ビー・ビー・テクノロジー株式会社(以下、BBT)と東日本電信電話株式会社(以下、NTT東)と西日本電信電話株式会社(以下、NTT西)のそれぞれに対して指導文書を発出した。

 BBTへの指導文書は、「BBTが利用者が解約申し込みを行なってから、実際に回線解除されるまでの手続きの遅延」に関するもので、所謂“回線にぎり”問題に対するものだ。一方、NTT東西への指導文書の内容は、「DSLサービス開始までの標準的な工事期間の尊守や回線名義確認の簡素化等について」となっている。指導文書では、それぞれの問題を解消すべく、改善策なども述べられている。

 BBTへの指導文書によると、今回の指導文書の発出は電気通信消費者相談センター(以下、相談センター)に寄せられた苦情に対する調査に基づいて行なわれたという。この調査によると、この問題に関して相談センターに2001年12月1日から25日に寄せられた苦情は189件となっており、BBTが利用者から解約解除の申し出を受け付けてからNTT東西へ設備撤去工事の申し込みをするまでの平均日数は27日となっていた。なお、8日にBBTが発表した資料によると、BBTは現在「コールセンターの改善」、「自動キャンセル処理システムの稼動」、「NTT東西との情報刷り合わせによる処理漏れの確認」等を開始しており、最近では原則1日でBBT側の処理は完了するという。しかし、この資料によると、2001年12月のBBT側平均滞留日数は8.5日となっており、総務省の調査結果の27日と大きく異なっている点についての説明はない。


BBTが発表した月別解除申請数推移
解除申込年月
BBT滞留平均日数
NTT滞留平均日数
2001年9月

13.8日

66.6日

2001年10月

13.9日

32.5日

2001年11月

12.4日

14.5日

2001年12月

8.5日

13.3日

2002年1月

6.6日

7.7日

2002年2月

1.0日

4.0日

平均

9.4日

27.7日

 また、NTT東西がBBTから設備撤去工事の申し込みを受け付けてから、BBTに工事完了報告するまでの平均日数は11日だった。この要因として、NTT東西が実際に設備撤去工事を行なってからBBTへ報告するまでに相当の日数が必要だった為としている。これらについて総務省では、現在NTT東西が社内で運営している業務支援システムを、他のDSL事業者からも回線開通申し込みを受け付けられるように、システムの接続を行なうよう指導している。なお、BBTに対しては、利用者から契約解除申し出がなされた場合には、迅速且つ確実に処理し、また利用者に対して適切な説明ができるように顧客管理や事務処理手続きといった社内体制の整備を行なうよう指導している。

 NTT東西への指導文書は、BBTが2001年12月27日と28日に行なわれた電気通信事業法第96条の2の規定に基づいて行なった意見申出を受けて、総務省が調査を行なった結果発出されたもの。BBTが提出した意見の内容は、・NTT東西がDSL回線申し込み時の適合性確認作業やジャンパー工事について、「DSLの普及促進及びMDF等における接続について」に記された標準的な工事期間(7営業日)を尊守するよう業務改善命令を発動すること。・NTT東西が、他のDSL事業者申し込みの工事と比較して、自社サービスの工事を優先していないかどうか調査すること。・DSLサービス申し込み時の本人確認について、名義人のほか電話利用料支払い者名による申し込みも可能にする事、となっている。

 これに基づいて総務省が調査を行なった結果、2001年11月中にBBTからなされた回線開通申し込みについて、NTT東は概ねBBTの希望日内に工事が完了していたものの、7営業日以内に工事が完了していないものが約20%あったという。NTT西の場合、7営業日以内に工事が完了していないものが約77%だったが、その後改善の傾向がみられるという。これらの原因として、BBTの工事希望日が特定の局舎・日時に集中していることや、BBTの開通工事申し込みに一部不備があったことも一因としてあるという。しかし、総務省はNTT東西も改善すべき個所があるとして、以下の内容で指導を行なっている。

1.NTT内及び工事施工業者間の連絡をより効率的に行なうことにより、工事日調整の期間を短縮すること

2.他のDSL事業者から回線申し込みを受け付けるシステムと社内業務支援システムを接続することにより、工事完了報告までの期間を短縮すること

3.標準的処理期間内に工事が行なわれているか否かの実績や、遅延が発生した場合には、その理由を自社や他事業者毎に、3ヶ月に一度を目処に公表すること

 また、NTT東西と他事業者との間の同等性について、NTTは社内の場合でも「標準的な工事期間」は7営業日となっている。しかし、NTT西は自社の工事日を、特定の代理店に対して5営業日と宣伝していたことが発覚した。これにより、総務省は代理店に対してこのような行為を行なわないように指導したという。

 なお、DSL申し込み時の本人確認の方法に関しては、個人情報保護の問題があることから、今後総務省の研究会において検討していくという。

(2002/2/8)

[Reported by otsu-j@impress.co.jp]


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