|
スロットに収まる部分の大きさや厚さは通常の無線LANカードと同じだが、見ての通り、外にはみ出るアンテナ部分が長い |
ルート株式会社は25日、2系統の独立した無線通信回路を1枚のPCカードに組み込んだ「2波同時通信型無線LANカード」を開発したと発表した。一方が無線基地局との通信を維持している間にもう一方が次のエリアの基地局を事前に捕捉することで、移動中でもよりスムーズなハンドオーバーが可能になる。
開発したのはType IIのPCカードだが、アンテナ部分が通常の製品よりも1.5倍ほど大きい。ハードウェア的には無線LANカードを2枚分詰め込んだものと言ってよく、これを専用のドライバーソフトで制御している。すでに電波産業会の技術適合証明を取得しており、同社がMISなどとともに京都で取り組んでいるIPv6無線インターネットの実証実験に投入して性能などを検証する。ただしプラットフォームがNetBSDのため、残念ながら一般募集するモニターユーザーへの配布は行なわないという。
同社の既存無線システム製品は、モバイルインターネットサービス(MIS)が東京都世田谷区などで実施している“街角無線インターネット”のフィールド実験でも採用されているが、こちらは1系統の回路で移動中の接続にも対応している。これに対して2波同時通信型無線LANカードでは、ハンドオーバー時の基地局切り替えが確実になり、その切り替えスピードも圧倒的に速くなるという。
なお、今回の技術開発および実験はあくまでも放送・通信機構の委託研究開発事業として行なわれたものだ。現時点では、MISが4月以降に予定している街角無線インターネットの商用サービスに採用されることが決まっているわけではない。
◎関連記事
■京都府下100ヶ所で、IPv6対応の無線インターネット実験
(2002/2/25)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]