■URL
http://www.w3.org/2002/02/pp-update-pressrelease
Web技術の標準化団体「W3C(The World Wide Web Consortium)」は26日、改訂されたパテントポリシーワーキングドラフトを公開した。W3Cはこれまでの方針を変更し、標準規格策定に参加した企業が特許料を徴収する権利を認めない方針に転換した。
W3Cは、昨年秋に標準規格に含まれる特許権の扱いに関する枠組み「Patent Policy Framework」の草案を公開していたが、その中で提案された「標準規格に技術が使われる企業が、低額の非独占的な方法でのみ特許料を徴収することを認める」との方針(RAND方針)が大きな批判にさらされていた。パテントポリシーワーキンググループでは、この件に関して疑問や懸念を表明する何千ものメールを受け取ったという。これを受けてワーキンググループではオープンソースコミュニティーのメンバーを招くなどしてポリシーの策定を急いでいた。
その結果として改訂されたワーキングドラフトでは、W3Cの標準規格ではいかなる条件であっても特許料を徴収することを禁止し、W3Cのワーキンググループ参加者はロイヤルティーフリーでライセンスすることに同意しなければならないことになった。特許権を行使する唯一の例外は、W3C勧告に含まれている技術によって特許権侵害訴訟が行なわれる際に特許を防衛的な方法で使う場合のみと定められた。
しかし、W3Cではまだこの議論が完全に決着したわけではないとの見解を示している。プレスリリースでは「しかしながら多くのW3Cメンバーは、少なくとも幾つかの例外的な場合ににのみ低額の非独占的な条件で特許料を徴収する方法をW3Cプロセスに残しておくべきだと感じている。これは引き続き議論が必要な問題だ」と述べている。さらにGPLなどを含めたオープンソースライセンスとロイヤルティーフリーライセンスがどのように競合するかといった法的な問題も残されており、今後議論が深められていく予定だ。
このパテントポリシーは未だワーキングドラフトの段階にあり、最終的に確定するまでには今年末までにあと一度ドラフトが発表される予定となっている。
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(2002/2/27)
[Reported by taiga@scientist.com]