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■URL
http://www.ric.co.jp/expo/ip2002/index.html
フレッツの「フルラインナップ化」は、あらゆるユーザーのニーズに対応するための手段であると同時に、「当社にとっても収入を最大化するために必要」であるという |
「フレッツ・ISDNは、世界に冠たるサービスと思っている」──。ADSLも8Mbpsにシフトしつつあるこの時期に、64kbpsの同サービスについて時代遅れとも思われかねない考えを示すのは、NTT東日本の取締役サービス開発部長である古賀哲夫氏。パシフィコ横浜で開催中のイベント「IP.net JAPAN 2002」で行なわれた講演の中でのコメントである。
古賀氏はまず、日本におけるインターネット利用世帯数の推移に触れ、「2005年に全世帯の約8割にあたる4,000万世帯を高速接続する」という政府のIT基本戦略に疑問を投げかけた。これからはADSLやFTTHでなければならないという風潮があることに対して、インターネットは「ダイヤルアップを含めていろいろな使い方がある」と反論。4,000万世帯という数字について、「ダイヤルアップも含めてそのような数字になるのは間違いないが、すべてが高速接続ということはないのではないか?」としている。
その理由は、ユーザーの最大のニーズが「料金を気にせずに使える」という点にあると見ているためだ。もちろん、その一方で高速性というニーズも「そのうち出てくる」とも認める。その結果、フレッツではISDN、ADSL、光ファイバーという「フルラインナップ化」でニーズに対応しているわけである。
さて、これら各サービスのエリアカバー率だが、講演で示されたグラフによると、ISDNが約97%、ADSLの1.5Mbpsが約90%、同じく8Mbpsが46%(それぞれ2002年3月末時点の予定値)、光ファイバーが33%(1月末現在)となっており、ADSLの8Mbpsについては5月末までに約71%する予定となっている。
ただし、ADSLについては「理屈上、電話局をカバーしている数字」であり、距離などの問題で「実際に提供できるのは10~20%下がる」。その結果、ADSLについてカバー率は約70%に下がり、「残りをカバーできるISDNは大きい」という。古賀氏は、「時代遅れというマスコミなどの報道もあるが、最大のニーズは定額制」と繰り返したうえで、「国のほとんどの地域で定額制が楽しめるのは日本だけ」と強調する。これが、冒頭のコメントにつながるわけだ。
なお、講演後の質疑応答で古賀氏は、IP電話についてコメントを求められ、「地域IP網の付加価値を高めるために検討しているのは間違いない」「地域会社として開発は確実に進めていく」と述べたものの、事業化するかどうかを判断するにはまだ時間がかかるとして、IP電話事業参入を伝えた一部報道については否定した。地域通信会社である同社にとって、「(IP電話で)県内通話サービスやっても意味がない」としており、IP電話で効果があるのは長距離通話との見方を示した。
(2002/2/28)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]