【イベントリポート】

マイクロソフト、開発者向けイベント「.NET Day 2002」を開催

■URL
http://www.web-event.ne.jp/netday/

イベントの冒頭「Visual Studio .NET」のパッケージを高く掲げるマイクロソフトの代表取締役社長 阿多親市氏

株式会社オービックビジネスコンサルタントの開発本部長リーダー原本剛氏

 マイクロソフト株式会社は8日、Webサービス「.NET」の開発者向けイベント「.NET Day 2002」を開催した。「.NET Day」は、事前予約で定員の5,000人を越える応募があったという。イベントでは、開発環境「Visual Studio .NET」の紹介や、「.NET」導入企業の紹介などが行なわれた。今回は、その中で興味深いプログラム「.NET vs Java」をお伝えする。

 「.NET vs Java」では株式会社オービックビジネスコンサルタント(OBC)の開発本部長リーダー原本剛氏が登場、Javaベースの開発環境から.NETへ移行した経緯について話した。OBCは、「奉行シリーズ」など各種業務システムをMS-DOSの時代から販売をしているソフトウェアベンダーだ。

 同社は、業務シリーズのASP版の開発環境としてJavaを利用した時期があったという。その理由として、マルチプラットフォームへの対応、汎用性、高性能サーバーが充実しておりハイパフォーマンスが実現できるといったことがあったという。また、このような環境を提供できる開発環境として「Java以外の選択肢がなかった」としている。

 しかし、Javaで開発されたASP版は、金額や機能の面でパッケージ版との差別化が図れない、業務システムのインターフェイスとしてWebブラウザーは不適切だったなどの問題があり見直しを迫られたという。特に業務システムでは、例えば伝票を見てテンキーだけを使って入力するといったことが多いため操作性は非常に重要だという。

 また、開発者側としては、パッケージ版の開発環境として利用している「Visual Studio(VS)」のエンジニアが多く、Java開発環境に慣れるまでに時間を要したなどの問題があったという。

 そこで、同社はこれらを解決するため「Visual Studio .NET(VS .NET)」の導入を決めた。また、VS .NETにおいてはデーターの処理系とユーザーインターフェイス系のモジュールが別々になっているため、OBCでは、インターネット経由の場合はwebブラウザー、VPNやLANの環境ではWindowsアプリケーションといったように、それぞれのプラットフォームの特性に合わせて対応させる予定だ。

 最後に、マイクロソフトのデベロッパー・マーケティング本部 .NETマーケティング本部長である安藤浩二氏が登場した。同氏は「マイクロソフトはJavaにケンカを売っている」と最近ささやかれていることを挙げたが「決してそんなことはない」と否定した。その根拠として、Javaを言語とした「.NET」開発環境「Visual J# .NET」の発売を予定していることを明らかにした。また、Javaで書かれた各種アプリケーションを「.NET」の主要言語である「C#」へ変換するツール「Java Language Conversion Assistant(JLCA)」を紹介して講演を終えた。

 今回の講演は、Webサービスの基盤である「.NET」とプログラミング言語である「Java」を比較したため、論点がぼやけた印象を受けた。講演の概要説明では「本セッションを通じて、.NETの優位性をご確認ください」とされているがWebサービスとしての有用性をアピールするのなら「.NET vs SunONE」とするべきだったかもしれない。

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(2002/3/8)

[Reported by adachi@impress.co.jp]


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