【技術】

世界200カ国から参加者

分散コンピューティング技術を使った炭疽菌治療研究が24日間で完了

■URL
http://www.chem.ox.ac.uk/anthrax/handover.htm
http://www.chem.ox.ac.uk/anthrax/
http://www.ud.com/company/press/press_releases/03082002.htm
http://www.microsoft.com/presspass/features/2002/mar02/03-08anthrax.asp

 英オックスフォード大学は8日、分散コンピューティング技術を使った炭疽菌治療研究プロジェクトが完了し、その成果を米国防省と英政府に引き渡したと発表した。

 このプロジェクトは、インターネット上で多数のコンピューターを接続して分散コンピューティング環境を構築し、35億種類もの分子から炭疽菌の毒素に対して有効な分子を見つけ出すというもの。2002年1月22日に開始され、2月14日に完了した。これらの中から見出された有望な30万種類の分子データをCDに格納し、オックスフォード大学のGraham Richards化学教授がワシントンDCにある英国大使館において米英政府に引き渡した。

 プロジェクトには、オックスフォード大学のほか、米IntelやMicrosoft、米国立癌研究財団、United Devicesが参加。ユーザーがスクリーンセーバーのように機能する解析ソフトをダウンロードして、各分子が炭疽菌の毒素に対して有効かどうかを調べ、処理データを管理サーバーに送って治療薬を探し出すというプロジェクトだ。

 同プロジェクトでは、世界200カ国から参加者があり、140万台のPCに解析ソフトが導入された。当初3~6カ月間の期間で予定していたところを、わずか24日間で完了した。今後、見込みのある30万種類の分子について、さらなる研究を行なう予定だが、これらのうち12,000種類が特に有望であることも発見されている。

 このプロジェクトについて、Graham Richards教授は「炭疽菌と戦うための仮想スクリーンセーバープロジェクトが驚異的な成功を収めたことで、生命科学分野において新薬発見の手法は根本的に変わるだろう。私が生きている間には不可能と信じていた研究が、いまや可能になっただけではなく、わずか数週間で完了したのだ」とコメントしている。

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(2002/3/10)

[Reported by hiro@nakajima-gumi.net]


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