【行政】

岡山市、ホームページへの有害情報書き込み禁止条例を制定

■URL
http://www.city.okayama.okayama.jp/doutai/joureisoan.htm (条例素案)
http://www.city.okayama.okayama.jp/doutai/ikensyuukei-top.htm (パブリックコメント)
http://www.city.okayama.okayama.jp/ (岡山市ホームページ)


条例の素案

 岡山県岡山市は、市のホームページ掲示板において差別を助長する有害情報の書き込みを禁止する条例「岡山市電子掲示板に係る有害情報の記録行為禁止に関する条例」を制定した。こうした試みは全国初という。施行は5月1日。

 条例制定のきっかけは、2000年6月にさかのぼる。巨大掲示板「2ちゃんねる」に被差別地区に関する書き込みがあり、岡山市では、直ちに削除要請を行なった。掲示板内を調べたところ、ほかにも全国各地の被差別地区についての書き込みがあったという。「日常生活で許されないことが、インターネット上でなぜ許されるのか」との思いから、岡山市では、法務省や総務省に国としてなにか対策ができないか要請したが「法的には限界がある」のが実状であった。

 2001年5月、岡山市議会本会議で議員より「インターネットの陰の部分をなんとかすべきではないか」との質問があったことから、プロジェクトチームを立ち上げ、本条例の検討を重ねてきた。インターネット全域における有害情報の書き込みの禁止は、岡山市の条例では不可能なため、まず岡山市が管理するホームページにおいて、責任を持って有害情報を排除することが問題提起となるとの考えから条例案を策定。2001年12月27日から2002年1月21日までパブリックコメントを募集した。最終的に387件の意見が集まり、条例制定に「賛成」する意見は334件であった。それら市民からの意見を踏まえ、今回の策定に結びつけた。

 条例では、「個人のプライバシーを侵害するおそれがあると認められる情報」「他者を誹謗、中傷すると認められる情報」「他者に財産的不利益,又は精神的苦痛を与えると認められる情報」「不当な差別を助長するおそれがあると認められる情報」「性的好奇心をそそると認められる情報」「非行・犯罪をあおるような情報」の6つを有害情報と定義した。これら有害情報が書き込まれた場合は、岡山市が削除を行なう。また、有害情報を書き込んだ者には5万円以下の過料を課すという。

 岡山市では、同市のホームページに2001年10月から現在までの間、特定の企業や個人を誹謗中傷する書き込み計10件を削除したとのことだ。他の市町村も同様の条例を策定するなど、同様の流れが広がることで「点から線になり、線が面になることで、有害情報の書き込みが単なるインターネットマナーの問題では済まされないということを多くの人に理解してもらえるようになれば」と岡山市の担当者は語っている。

 インターネットの発達は、日常生活における利便性や個人の情報発信という意味においては画期的な技術である。一方で、使われ方次第で、他人の権利を侵害したり、尊厳を傷つけたりしてしまう。岡山市の取り組みは、法的規制が及ばないものが数多く存在しているインターネットの世界に一石を投じることになるだろう。ブロードバンド時代の進展とともに、ますますインターネット人口は増加する。今後、健全なネット社会を築くためにも、インターネットリテラシーに関する教育が必要ではないだろうか。

(2002/3/20)

[Reported by maki@writeup.jp]


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