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サーチエンジン「Teoma」が正式リリース~情報発見のための新しいツール

■URL
http://www.teoma.com/
http://www.irconnect.com/askj/pages/news_releases.mhtml?d=25648

 米AskJeevesはサーチエンジン「Teoma」を2日、正式にリリースした。Teomaは2001年春からベータテストを続けていたが、1日に正式版がデビューし、今回の正式発表に至った。Teomaは、Rutgers大学の科学者が開発したサーチエンジンで、2001年9月にAskJeevesによって買収された。このサーチエンジンは「Googleキラー」としても知られ、多くの期待を集めている。

 今回発表されたTeomaは大幅に機能を向上させており、特徴的な検索方法を用いることによって他のサーチエンジンとは一線を画す情報を表示する。

 Teomaは、まずデータベースの中にあるWebサイトをその内容に応じてどれだけ多くの“権威あるサイト”からリンクされているかという情報に基づいて仕分けする。これはGoogleなど多くのサーチエンジンが使ってる方法とよく似ているが、Teomaはこの手法をさらに一歩推し進めて、同じ内容を扱っているサイトの「コミュニティー」を構築し、その中からその分野のエキスパートを発見するという方法をとった。

 その結果としてTeomaでは表示結果のページに「Results」「Refine」「Resources」の3つの欄が表示されることになる。「Results」の表示結果は一般的なサーチエンジンと同じように表示されるが、これは分別したコミュニティーのなかでサイトがどこに位置するのかをランキングしたデータに基づいて表示されるものだ。この手法をTeomaでは「Subject-Specific Popularity」と名付けている。

 Teomaで最も特徴的なのは「Refine」と「Resources」の二つの情報だ。TeomaではWeb空間の中のコミュニティーに注目するため、まず、どのようなコミュニティーがその検索語に対応しているのかを探す。「Refine」に表示される情報は、検索語に対してどんなコミュニティーが考えられるかという情報だ。したがって検索語に対して自分が知らなかった情報を知ることができる機会が増える。

 また「Resources」の欄では、コミュニティーの中のエキスパートや、最も権威あるサイトやリンク集が表示されるため、このサイトを見ていくだけで自分が探している情報をさらに深めることができるだろう。


「Microsoft Bill Gates」で検索したところ。左に「Results」右上に「Refine」右下に「Resources」が表示される。

 一例として検索語に「Microsoft Bill Gates」と入力してみよう。「Results」のトップにはMicrosoftのBill Gates氏の公式Webサイトが表示される。これはGoogleなど他のサーチエンジンと比較しても納得できる結果だ。興味深いのは「Refine」で、ここではMicrosoftの公式ホームページだけでなく、「Personal Wealth Clock」(世界の億万長者の富の推移を示すページ)や反Microsoft運動を続けているサイトなどのコミュニティーが表示される。このことによりBill Gates氏がMicrosoftの人であり、大金持ちで、しかも彼に対する抗議運動を続けている人がいることが一目でわかる。これは最初検索語を入力しただけでは分からなかった情報だ。さらに情報を調べようと思うときには「Resources」の所を見ればよい。ここではファンの人が開設した「Unofficial Bill Gates」のページや反Microsoftのリンク集「Anti-MS links」などBill Gates氏に関連するさまざまな有名サイトが列挙される。

 このようにTeomaは一般的なサーチエンジンの枠にとどまらない「調査型サーチエンジン」となっている。実際検索語を入力して検索するだけであれば、Googleの方がはるかに優れているため、収集したデータの量を考えてもGoogleとTeomaは比較にならない。しかし新たな話題に関して本格的な調査を行なおうと思う場合、今度はGoogleよりもTeomaの方がはるかに優れているといえる。従って多くの報道ではTeomaのことを「Googleキラー」と呼んでいるが、両社のアプローチは全く異なっており同列に扱うことは難しい。実際Teomaはキャッチフレーズとして「Search with Authority」を挙げている。これは検索結果の数を競うのではなく、最も重要で意味のあるサイトを返すサイトになりたいという願いだろう。

 一方でTeomaは日本語をはじめとして外国語にほとんど対応できていないという重大な問題もある。これについては再三取材を申し込んできたが、この記事の執筆段階までに回答を得ることはできなかった。今後日本語に対応することがあれば、国内でも人気を集めることは間違いないだろう。

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(2002/4/3)

[Reported by taiga@scientist.com]

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